【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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崩れた均衡

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「失礼しまーす」

 店員が扉を開け、飲み物とパーティープレートを持って入ってきた。

 よかった...これで重かった空気が変わりそう。

 店員がいなくなったところで、遼がリモコンとキョクナビをテーブルに置きながら皆に声をかけた。

「ほら、せっかくみんなで集まってんだし、楽しもーぜ!」

 大和も気を取り直し、遼を揶揄う。

「ってか、遼って日本の曲とか歌えんのか? ずっとアメリカいたからわかんねーだろ」
「大和...お前な、今時ネットで日本の最新の音楽情報だって見れるし、曲もダウンロードできるっつーの。それに韓国街とか行けばカラオケボックスもあって、日本の曲も豊富だし、最新の歌だってすぐに入るんだぜ」
「マジか!? すげぇな、グローバル社会」
「つーか、国際政治経済学とか専攻してる癖に、それぐらい知っとけよ」

 大和と遼の会話により、ようやく場の雰囲気が和んできた。

 カラオケでは遼、大和、陽子、真奈美が歌い、悠と薫子は見ているだけだった。

 遼ちゃん...私よりも流行りの歌、詳しい......

 大和に話していた通り、彼はアメリカにずっと滞在していたとは思えないほど日本の最新曲をよく知っていた。

 大和は、ある人気バンドの歌を中心に歌っていた。自分たちが中学生の頃にデビューし、それからずっと根強い人気を誇っており、今でも曲が出ればすぐにオリコンのベスト1に上がっているバンドで、大和はデビュー時から彼らのファンだ。

 陽子は普段はサバサバした感じなのに、歌っている時の声は驚くぐらいに可愛かった。そして選曲もアイドル中心で、薫子はここで陽子の新たな一面を見た気がした。

 真奈美は逆に大人びた切ない恋の歌をよく選んでおり、その声量と歌声はプロかと思うぐらい上手かった。 

 みんな、凄いな......堂々と歌ってて。

 薫子は今までにカラオケボックスに来たことはあるものの、人前で歌うという行為が恥ずかしく、いつも見ているだけで終わっていた。

 そんな薫子に、遼がキョクナビを突きつけてきた。

「おい、薫子。お前まだ歌ってねーだろ。せっかくみんなで来てんだし、歌えよ」

 え......そ、そんな......無理、だよ......

「わ、私は...いいよ」

 だが、そんなことで引き下がる遼ではなかった。

「もしかして音痴だからとか気にしてんのか? んなこと、誰も気にしねーから歌えって。
 なんなら、俺が一緒に歌ってやろうか?」

 ニヤニヤしながら薫子に問いかけた。その言葉に、悠が反応する。

「それなら、俺もまだ歌ってないから。俺が、薫子と歌う」

 ゆ、悠......っっ。
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