【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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遼の想い

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 ついにお見合い当日。

 あまり緊張することがない俺もこの日はさすがに緊張し、出された水を何度もお代わりしてお袋に小声で怒られた。

 薫子の母親に会うのは初めてだったが、驚くぐらい薫子に似ていた。控えめで、物静かな印象だ。隣の龍太郎の酌をしている姿は、絵になった。

 ほんと、親父に似なくてよかったよな......

 薫子がもし親父に似ていたら、俺はここにはいなかっただろう。

「薫子は、まだ来んのか...」

 不機嫌そうに薫子の親父さんが言った途端、足音がしずしずと近づいてくる音が聞こえてきた。

 やっべぇ......マジ緊張してきた。

 手に汗が一気に噴き出してくる。

「失礼致します。お待ちのお客様がお見えになりました」

 仲居の声に、喉をゴクリと鳴らした。

「おお、来たか」

 薫子の登場に気を良くし、親父さんが機嫌を直した。

 世話人が座る席を案内する。薫子は母親の隣に腰を下ろしてお互いに見つめあうと、正面を向いた。

 いよいよだ......

 一瞬、薫子が俺を見て分からなかったらどうしよう......という不安が起こる。

 あれからもう8年だ。まさか、俺のこと覚えてないってことは......ないよな。

 今まで一度もそんなこと考えたことなかったのに、急に芽生えた弱気な心が覗かせる。

 薫子は俺と両親に向かって詫びた。

「お待たせしてしまい、申し訳……!!!」

 あいつの声に頭を上げた俺を見て、薫子が絶句した。

 ふぅ...よかった。覚えてたみたいだな......

「りょう、ちゃん……?」

 その懐かしい響きに、俺の鼓動が急に激しくなった。

 焦んな。ここは俺様が成長した大人の男だってことを、薫子に証明してやんねぇと。

「薫子さん、ご無沙汰しています。いやぁ、すっかりお綺麗になられて……見違えましたね」

 その言葉に薫子は呆気にとられた。

 ざまぁみろ、俺だってやろうと思えばできるんだ。どうだ、惚れ直したか!

 まじまじと俺を見つめる薫子の目線に俺は酔いしれた......お袋の余計なひとことが発されるまでは。

「ふふっ、この子ったら薫子さんに会える今日の日をずっと心待ちにしてたんですよ。なんせ、初恋の君ですものねぇ」

 なーーーーーに、暴露してんだ!!!!!てか、ぜってぇネタにされると思ってお袋には話してなかったのに、親父のやつバラしやがったな。裏切り者め......

「ばっ!!!か、母様っ……!!!」

 思わず本音がこぼれそうになり、慌てて取り繕った。薫子の親の目の前で俺の本性を現すわけにいかねぇ......くそっ。

「でも薫子さんにお会いして、すぐに納得できたわ。こんな素敵なお嬢さんがうちの義娘になるかと思うと、私もとても楽しみですわ」

 俺のそんな心の内をわかってるくせに、お袋はしゃあしゃぁとまだ言いやがる。

 薫子は...どう思ってんだ......

 そう思って見つめた先には、目を丸くしたアホ面の薫子がいた。
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