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決意
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悠は薫子を認めるとスマホを持ち上げ、電話をするような仕草をした。それを受け、デスクに置いていた鞄のがま口を開くと、受信を知らせる光が目に入る。
慌ててスマホを手にし、受信ボタンを押し、再び窓際に立った。
『薫子に電話してたけど、出なかったから。部屋にいるかもしれないと思って』
そ、そうだ。私、今日は新年会だから無音にしてて、そのままになってたんだった。
「ご、ごめんなさい...せっかく電話くれてたのに気がつかなくて」
『今日は......新年会だったんでしょ?』
毎年櫻井家が元旦に新年会を行っていることを、悠は知っている。
「うん。悠こそ......新年なのにご家族と過ごさなくて大丈夫?」
薫子は新年会のことを詳しく聞かれたくなくて、慌てて悠に話を振った。
『薫子のことが気になって......それどころじゃなくて。今すぐに会いたくて、抜け出してきた』
悠の切なさと甘さの滲む声を聞き、薫子の胸が一気に熱くなる。
私も、悠に会いたくてたまらなかった。こうしてお互い視界に入る距離にいるのに、触れ合うことが出来ないのがとてももどかしい......
『あ、車......』
悠の言葉を聞いて窓から覗き込むと、視界の端から一台の軽トラックが近づいてきた。荷台には、包装紙に包まれ、更にその上から布が被せられた松、竹、大輪の百合や菊等が載っている。
花屋さんだ......
櫻井家の屋敷は洋館で和風の年賀飾りは合わないので、外には置いておらず、室内のみに飾ることにしている。それも父の意向により、年が明けた元旦に懇意にしている花屋にわざわざ届けてもらい、そこで生けてもらうのだった。
老舗であるその花屋は勤めている店員は全て、生け花の師範代とフラワーアレンジメントの講師資格を持っている。生け花は薫子が習っているのと同じ流派だ。
悠が道の端に隠れて立っていると、軽トラックは裏門へと回る。運転席から花屋が降りると、インターホンを鳴らした。
その隙に、悠は監視カメラに映らないようにしてトラックの陰へと入る。
えっ......!?
すると、突然通話が途絶えた。
薫子の目が見開かれる。一瞬思考が止まった後、慌ててバルコニーの窓を開けた。
悠、もしかして家の中に入ってくるつもりなの!?
薫子の動悸が激しく鳴り響く。寒風の中、上着も羽織らず立っているのに、寒ささえも忘れて悠を一心に見つめる。
いつもなら警備員が常時監視カメラについているけれど、今日は新年会の方にも行かされているから警備員は少ないはず......
そう思いながらも、薫子は悠の大胆な行動に爪が食い込むほどに手を握り締め、背中や脇から嫌な汗が湧き出してくる。
運転席に花屋が乗り込むと自動的に裏門が開き、軽トラックが屋敷の中へと入る。ゆっくりと進むトラックに合わせるようにして、その陰に隠れて悠が進み、庭園の茂みにしゃがみこんだ。
やがて裏門が自動で閉まり、トラックは庭園を抜けて裏口の脇へと車を停めた。
庭園と言っても表門のように広いわけではない。車をほんの少し動かしただけで、裏口のすぐ横につけた。
荷台の後アオリを下ろし、そこから掛けてあった布を外して包装紙に包まれた花材を慎重に取り出す。その束を肩に担ぎ、裏口へと向かって歩いて行く。
薫子が立っている位置からは、花屋が裏口に入ったのかどうかは見えなかった。バルコニーの手摺から覗き込めば辛うじて見えるかもしれないが、それをもし花屋に見られてしまったら不審に思われるに違いない。
薫子は、悠のしゃがんでいた庭園の辺りに目を凝らしてみた。悠は、動いていないようだ。さすがに堂々と裏口から入ることは出来ないだろう。
悠、どうするんだろう......
慌ててスマホを手にし、受信ボタンを押し、再び窓際に立った。
『薫子に電話してたけど、出なかったから。部屋にいるかもしれないと思って』
そ、そうだ。私、今日は新年会だから無音にしてて、そのままになってたんだった。
「ご、ごめんなさい...せっかく電話くれてたのに気がつかなくて」
『今日は......新年会だったんでしょ?』
毎年櫻井家が元旦に新年会を行っていることを、悠は知っている。
「うん。悠こそ......新年なのにご家族と過ごさなくて大丈夫?」
薫子は新年会のことを詳しく聞かれたくなくて、慌てて悠に話を振った。
『薫子のことが気になって......それどころじゃなくて。今すぐに会いたくて、抜け出してきた』
悠の切なさと甘さの滲む声を聞き、薫子の胸が一気に熱くなる。
私も、悠に会いたくてたまらなかった。こうしてお互い視界に入る距離にいるのに、触れ合うことが出来ないのがとてももどかしい......
『あ、車......』
悠の言葉を聞いて窓から覗き込むと、視界の端から一台の軽トラックが近づいてきた。荷台には、包装紙に包まれ、更にその上から布が被せられた松、竹、大輪の百合や菊等が載っている。
花屋さんだ......
櫻井家の屋敷は洋館で和風の年賀飾りは合わないので、外には置いておらず、室内のみに飾ることにしている。それも父の意向により、年が明けた元旦に懇意にしている花屋にわざわざ届けてもらい、そこで生けてもらうのだった。
老舗であるその花屋は勤めている店員は全て、生け花の師範代とフラワーアレンジメントの講師資格を持っている。生け花は薫子が習っているのと同じ流派だ。
悠が道の端に隠れて立っていると、軽トラックは裏門へと回る。運転席から花屋が降りると、インターホンを鳴らした。
その隙に、悠は監視カメラに映らないようにしてトラックの陰へと入る。
えっ......!?
すると、突然通話が途絶えた。
薫子の目が見開かれる。一瞬思考が止まった後、慌ててバルコニーの窓を開けた。
悠、もしかして家の中に入ってくるつもりなの!?
薫子の動悸が激しく鳴り響く。寒風の中、上着も羽織らず立っているのに、寒ささえも忘れて悠を一心に見つめる。
いつもなら警備員が常時監視カメラについているけれど、今日は新年会の方にも行かされているから警備員は少ないはず......
そう思いながらも、薫子は悠の大胆な行動に爪が食い込むほどに手を握り締め、背中や脇から嫌な汗が湧き出してくる。
運転席に花屋が乗り込むと自動的に裏門が開き、軽トラックが屋敷の中へと入る。ゆっくりと進むトラックに合わせるようにして、その陰に隠れて悠が進み、庭園の茂みにしゃがみこんだ。
やがて裏門が自動で閉まり、トラックは庭園を抜けて裏口の脇へと車を停めた。
庭園と言っても表門のように広いわけではない。車をほんの少し動かしただけで、裏口のすぐ横につけた。
荷台の後アオリを下ろし、そこから掛けてあった布を外して包装紙に包まれた花材を慎重に取り出す。その束を肩に担ぎ、裏口へと向かって歩いて行く。
薫子が立っている位置からは、花屋が裏口に入ったのかどうかは見えなかった。バルコニーの手摺から覗き込めば辛うじて見えるかもしれないが、それをもし花屋に見られてしまったら不審に思われるに違いない。
薫子は、悠のしゃがんでいた庭園の辺りに目を凝らしてみた。悠は、動いていないようだ。さすがに堂々と裏口から入ることは出来ないだろう。
悠、どうするんだろう......
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