【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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運命の朝

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 会場は既にたくさんの人々の熱気で溢れていた。出席者たちは殆どが幼稚舎、小等部または中等部から青海学園に通っている者で、高等部や大学から青海学園に入学した者は数える程しかいなかった。

 会場である『鳳凰の間』は、『絢爛の間』の次に大きい。ここには、セミナーや講演会を行うためのステージが設けられている。

 ステージ下の空間の半分は座席で埋められていた。座席は4つに分けられており、右側が学園関係者、来賓席、真ん中を半分に仕切った前列側が成人者席、その後列が保護者席、そして左側も保護者席となっていた。

 保護者席には特に指定はないのだが、左側は特に学園側に寄付を多くしていたり、子供が幼稚舎から通っている所謂セレブ層である者が座り、そうでない者は真ん中の後列側といった暗黙のルールがあった。

 会場に踏み入れた途端、自然と薫子の視線が悠を探して彷徨う。

 悠を見つけることは困難ではない。女性たちの視線が集まるところを追って行けばいいのだ。その熱い視線の集中する先に、悠が大和と共に立っているのが見える。

 薫子は驚きのあまり足が止まり、目が釘付けになってしまった。

 悠は、薄墨色の羽織に漆黒の袴を纏っていた。

 悠が羽織袴を着ているの、初めて見た……

 浴衣姿なら高校生の時に皆で行った花火大会で見たことがあったが、羽織袴を纏った悠の更に洗練された美しさに、薫子は息を呑んだ。

 まるで彫刻のように足元から背筋まですっと伸びる凛とした佇まいに加えて、そこはかとなく漂う大人の男性の色香。それでいて、高貴で神秘的な雰囲気を漂わせている。

 悠の元へと今すぐにでも駆け寄って行きたい思いを心の奥底に滾らせながらも、薫子はそれを必死に抑えた。

 ここには悠の両親もおり、周囲の視線もある。絶対に疑われるような行動は出来ない。

 引き剥がすようにして、薫子は視線を悠から逸らした。

 後ろ半分の空間には、簡単に一口で摘めるようなフィンガーフードやプチデザートがバッフェスタイルで置かれている。バースペースも備え付けられ、そこではウェルカムドリンクとしてシャンパンが配られていた。もちろん注文すれば、無料で好みの飲み物を受け取ることも出来る。

 まだ午前中の早い時間帯にも関わらず、バースペースには人だかりが出来ていた。

「凄い、人だね......」

 人混みが苦手な薫子は、圧倒された。

 社交でのパーティーには何度か参加しているが、今日の成人式の集まりはもっと熱気と喧騒に包まれており、混沌していた。

「そう、だね......」

 いつもなら、そういった場でも物怖じすることのない美姫も、不安で怯えているような表情を見せた。

「ウェルカムドリンクでございます」

 給仕が美姫に向かって銀のトレイに載せられたシャンパンを差し出すが、美姫はそれを取るのを躊躇う様子を見せた。

「シャンパン、頂く?」

 薫子の問いに頷いた美姫に、彼女の代わりにシャンパングラスを2つ受け取ると、給仕は颯爽と去っていった。

 美姫......

 薫子は、美姫を心配そうに見つめた。
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