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同じ想い、異なる守り方 ー悠sideー
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「そ...そりゃ、あん時俺は...駆け落ちしねぇ限り一緒になれねぇって言ったけど......
ほんとに、やる気なのかよ......」
ほんの2週間前にした、冗談とも思っていた駆け落ちの話がまさに今日、現実に為されると知って遼は動揺し、狼狽えた。
「あぁ」
「全てを失うんだぞ?」
「構わない」
冷静な悠の態度に、焦りと苛立ちが湧き上がってくる。
「お前だけじゃねぇ、薫子も、全てを失うんだぞ。お前、分かってんのか!?」
感情の昂りに従って声が大きく、速くなってきた遼は、ついに悠の胸倉を掴んだ。
「分かってる...彼女も、そのつもりだ」
今まで自分から駆け落ちについて話したことがなかった薫子が、彼女の部屋に忍び込んだ際に言った言葉。
『お願い......もう、ここにはいられない。
私を、どこか遠くに連れて行って......』
その時の薫子の表情には、悲愴な決意が込められていた。
「分かってねぇ!ぜんっぜん分かってねぇ!!!」
遼が激昂する。
「お前、あいつの性格わかってて言ってんのか?あいつは生粋のお嬢だ。籠の鳥なんだ!そんな奴が、広い空に突然放たれて、生きていけると思ってんのか!?」
「薫子は一人じゃない。俺が、全力で守っていく」
「あいつの親父だって黙っちゃいねーだろ。娘がいなくなって、しかも風間の息子と駆け落ちなんて知った日にゃ、血眼になって探し回るぞ。
お前らは、ずっと日の当たらないところで隠れて生きていかなきゃなんねぇーんだぞ!」
「...あぁ、分かってる」
「分かってねぇ!分かってねぇ!分かってねぇっっ!!!お前、あいつが何も出来ねーの知ってんだろ?料理も掃除も出来なきゃ、洗濯機のボタンひとつどこにあるか知らねーような女なんだぞ。
あいつは今までなんも知らずに生きてきたんだ。この環境を抜け出すなんて、到底無理に決まってんだろが!!!」
立て続けにマシンガンのように言葉を叩きつけた遼は、興奮と怒りで鼻息を荒くし、肩を大きく上下させた。
俺にだって、分かってる。きっとこれから先、薫子にとっては苦難の道のりであることは.......
それでも......
「......無理でも何でも......もう、これしか道はないんだ......」
悠は拳を硬く握り締めた。
「そんな...こと......あるかよ。俺は、あいつを幸せにするために...死ぬほど勉強して、仕事で成功して、まっとうな手段であいつを手に入れる為に努力した。
お前は...お前らは、ただ逃げてるだけじゃねーか。真正面からぶつかろうとしないで、ただガキみたいに駄々捏ねてるだけじゃねぇか」
遼の真を突いた言葉に、悠は喉を詰まらせた。
......だが、どうしろと言うんだ。
俺が正面から挑もうと思っても、薫子は...薫子には、無理だ。とても父親に正面切って、反論など出来ない。
「俺は、これから先、何があろうとも彼女を守り抜いてみせる」
それが、悠に今言える精一杯の言葉だった。
長く重い沈黙が続いた後、遼が大きく息を吐き出した。
「お前が、俺に直接打ち明けた。これは男と男の約束だ。俺はぜってぇ薫子の親父には話さねぇ。
だが...前にも話したように、薫子が戻ってきた時には、お前はもうあいつのことは諦めろ。それは自分の意思で戻った時だけじゃなく、連れ戻された時もだ」
「あぁ...分かってる」
遼が拳を震わせてサイドウィンドウを軽く叩き、その上に額を預けた。
「それ、で......何時に、出るんだよ......」
「15時20分のフライトだ」
遼が、チラと悠の顔に視線を投げる。
「......空港には 、行かねぇからな」
そう言うと、再びそっぽを向いた。
「あぁ...」
悠はギアに手を置くと、車を発進させた。
遼の家の前で、車が停まる。
「俺はまだ、諦めてねぇから」
「俺は薫子を手放さない......どんなことがあっても」
悠と遼は視線を交わした。互いの真剣な瞳の奥に潜む、愛しい人の姿。
もし、同じ相手を好きにならなければ、俺達の関係は変わっていたのだろうか......
ふと悠は、そんな思いが過った。
遼はその思いを知ってか知らずか、ニヤッと笑った。
「お前が勝負に負けて日本帰ってきても、ダチとして付き合ってやっから安心しろ」
「いや、そんなことにはならないから」
互いに軽口を叩き、悠も笑みを浮かべる。
遼が悠の肩をポンと叩いた後、扉を開けて助手席から降りた。
「またな!」
その言葉に悠は何も答えず、ただ片手を挙げ、車を発進させた。
ほんとに、やる気なのかよ......」
ほんの2週間前にした、冗談とも思っていた駆け落ちの話がまさに今日、現実に為されると知って遼は動揺し、狼狽えた。
「あぁ」
「全てを失うんだぞ?」
「構わない」
冷静な悠の態度に、焦りと苛立ちが湧き上がってくる。
「お前だけじゃねぇ、薫子も、全てを失うんだぞ。お前、分かってんのか!?」
感情の昂りに従って声が大きく、速くなってきた遼は、ついに悠の胸倉を掴んだ。
「分かってる...彼女も、そのつもりだ」
今まで自分から駆け落ちについて話したことがなかった薫子が、彼女の部屋に忍び込んだ際に言った言葉。
『お願い......もう、ここにはいられない。
私を、どこか遠くに連れて行って......』
その時の薫子の表情には、悲愴な決意が込められていた。
「分かってねぇ!ぜんっぜん分かってねぇ!!!」
遼が激昂する。
「お前、あいつの性格わかってて言ってんのか?あいつは生粋のお嬢だ。籠の鳥なんだ!そんな奴が、広い空に突然放たれて、生きていけると思ってんのか!?」
「薫子は一人じゃない。俺が、全力で守っていく」
「あいつの親父だって黙っちゃいねーだろ。娘がいなくなって、しかも風間の息子と駆け落ちなんて知った日にゃ、血眼になって探し回るぞ。
お前らは、ずっと日の当たらないところで隠れて生きていかなきゃなんねぇーんだぞ!」
「...あぁ、分かってる」
「分かってねぇ!分かってねぇ!分かってねぇっっ!!!お前、あいつが何も出来ねーの知ってんだろ?料理も掃除も出来なきゃ、洗濯機のボタンひとつどこにあるか知らねーような女なんだぞ。
あいつは今までなんも知らずに生きてきたんだ。この環境を抜け出すなんて、到底無理に決まってんだろが!!!」
立て続けにマシンガンのように言葉を叩きつけた遼は、興奮と怒りで鼻息を荒くし、肩を大きく上下させた。
俺にだって、分かってる。きっとこれから先、薫子にとっては苦難の道のりであることは.......
それでも......
「......無理でも何でも......もう、これしか道はないんだ......」
悠は拳を硬く握り締めた。
「そんな...こと......あるかよ。俺は、あいつを幸せにするために...死ぬほど勉強して、仕事で成功して、まっとうな手段であいつを手に入れる為に努力した。
お前は...お前らは、ただ逃げてるだけじゃねーか。真正面からぶつかろうとしないで、ただガキみたいに駄々捏ねてるだけじゃねぇか」
遼の真を突いた言葉に、悠は喉を詰まらせた。
......だが、どうしろと言うんだ。
俺が正面から挑もうと思っても、薫子は...薫子には、無理だ。とても父親に正面切って、反論など出来ない。
「俺は、これから先、何があろうとも彼女を守り抜いてみせる」
それが、悠に今言える精一杯の言葉だった。
長く重い沈黙が続いた後、遼が大きく息を吐き出した。
「お前が、俺に直接打ち明けた。これは男と男の約束だ。俺はぜってぇ薫子の親父には話さねぇ。
だが...前にも話したように、薫子が戻ってきた時には、お前はもうあいつのことは諦めろ。それは自分の意思で戻った時だけじゃなく、連れ戻された時もだ」
「あぁ...分かってる」
遼が拳を震わせてサイドウィンドウを軽く叩き、その上に額を預けた。
「それ、で......何時に、出るんだよ......」
「15時20分のフライトだ」
遼が、チラと悠の顔に視線を投げる。
「......空港には 、行かねぇからな」
そう言うと、再びそっぽを向いた。
「あぁ...」
悠はギアに手を置くと、車を発進させた。
遼の家の前で、車が停まる。
「俺はまだ、諦めてねぇから」
「俺は薫子を手放さない......どんなことがあっても」
悠と遼は視線を交わした。互いの真剣な瞳の奥に潜む、愛しい人の姿。
もし、同じ相手を好きにならなければ、俺達の関係は変わっていたのだろうか......
ふと悠は、そんな思いが過った。
遼はその思いを知ってか知らずか、ニヤッと笑った。
「お前が勝負に負けて日本帰ってきても、ダチとして付き合ってやっから安心しろ」
「いや、そんなことにはならないから」
互いに軽口を叩き、悠も笑みを浮かべる。
遼が悠の肩をポンと叩いた後、扉を開けて助手席から降りた。
「またな!」
その言葉に悠は何も答えず、ただ片手を挙げ、車を発進させた。
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