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約束
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「実は、俺もまだ悠には面会してねぇんだ」
大和が車を運転しながら、薫子に説明する。
あの後、薫子は大和に部屋の外で待ってもらうように伝え、着替えをした。
元々痩せている薫子だが、今は『痩せた』というよりも、『窶やつれた』と言う言葉が相応しい程、痩せ衰えていた。頬も痩け、白い肌は透明に近いのではないかと思うぐらいに色味がなく、薫子は急いでチークを足した。
今年の冬用にと購入したカシミアローズのワンピースは試着した際にはぴったりだった筈なのに、今はウェストや肩のあたりがスカスカしていた。
悠に、会いに行くのに......
薫子は残念な気持ちになったが、1日や2日待ってみたところで体重や体型が元に戻る筈もない。
コートを羽織り、化粧で誤魔化し、納得はしないものの、これ以上大和を待たせるわけにも行かず、薫子は部屋を後にしたのだった。
大和が悠に貸した車は廃車になった為、彼が運転しているのは次兄である大樹ひろきの車だ。薫子はこれから悠に会うのだと思うと座席に座っていても落ち着かず、気もそぞろでそわそわしていた。
「親父さんの話では、妻...悠のお袋さんが毎日見舞いに来てるそうだ。薫子がばったり顔を合わしちまうとまずいから、先ずは俺が様子見に行くから」
「うん、分かった......」
大和の言葉に、緊張で躰が強張った。
薫子はまともに悠の両親と話をするどころか、顔を合わせたことすらなかった。悠の父親を、パーティーで見かけたぐらいだ。悠の母親とは何の面識もなかったし、悠から時々父親の話を聞くことはあっても、母親のことを聞くことは滅多になかった。
唯一聞いたことがあるのは、妹が亡くなって以来、母親の自分への依存度が高くなったという話だけ。
娘を交通事故で亡くし、息子まで事故で亡くしかけ......きっと、心配で堪らないに違いない。そして、その原因が夫の元恋人の娘との駆け落ちだと知ったら、間違いなく薫子は責められ、二人の仲を終わらせられることになるだろう。
車が病院の駐車場のゲートをくぐり、助手席の窓から病院を目にした途端、薫子の緊張が更に高まる。家を出る前には悠に会えるのだという興奮に包まれていたのが、また不安へと急激に押し戻されていた。
大和が車を運転しながら、薫子に説明する。
あの後、薫子は大和に部屋の外で待ってもらうように伝え、着替えをした。
元々痩せている薫子だが、今は『痩せた』というよりも、『窶やつれた』と言う言葉が相応しい程、痩せ衰えていた。頬も痩け、白い肌は透明に近いのではないかと思うぐらいに色味がなく、薫子は急いでチークを足した。
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悠に、会いに行くのに......
薫子は残念な気持ちになったが、1日や2日待ってみたところで体重や体型が元に戻る筈もない。
コートを羽織り、化粧で誤魔化し、納得はしないものの、これ以上大和を待たせるわけにも行かず、薫子は部屋を後にしたのだった。
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「うん、分かった......」
大和の言葉に、緊張で躰が強張った。
薫子はまともに悠の両親と話をするどころか、顔を合わせたことすらなかった。悠の父親を、パーティーで見かけたぐらいだ。悠の母親とは何の面識もなかったし、悠から時々父親の話を聞くことはあっても、母親のことを聞くことは滅多になかった。
唯一聞いたことがあるのは、妹が亡くなって以来、母親の自分への依存度が高くなったという話だけ。
娘を交通事故で亡くし、息子まで事故で亡くしかけ......きっと、心配で堪らないに違いない。そして、その原因が夫の元恋人の娘との駆け落ちだと知ったら、間違いなく薫子は責められ、二人の仲を終わらせられることになるだろう。
車が病院の駐車場のゲートをくぐり、助手席の窓から病院を目にした途端、薫子の緊張が更に高まる。家を出る前には悠に会えるのだという興奮に包まれていたのが、また不安へと急激に押し戻されていた。
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