【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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依託

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 遼が、焦ったような声を上げて悠に掴みかかる。

「失明っつったってなんか手があんだろーが! 破片を取り除くとか。
 なんでそんな簡単に諦めちまうんだ!」

 悠は、なぜそんなに遼が必死なのか理解出来なかった。そして、彼の熱心さに苛ついた。

「硝子の破片は手術の際に全て取り除いた。破片を取り除いたところで、目が見えるようにはならない」

 悠の口角が、片側だけ僅かに上がった。遼は、バカにされていると感じ、ムッとした。

「じゃあ、角膜移植したらどうなんだ?」

 なんで香西は、そんなに必死なんだ。俺の存在なんて、邪魔なはずなのに。

 悠はそう思いつつも、話すつもりのなかったことが口をついて出た。

「医師からは......角膜手術をすれば、再び目が見えるようになるかもしれないと言われた。
 俺は移植に同意し、現在ドナー待ちの状態だ」

「!!
 だったら、なんで......!?」

 角膜移植し、視力が戻るのなら、何も問題ないではないか。意識も戻ったのだし、なぜ別れる必要があったのか。

 遼には、理解出来なかった。

 遼に角膜移植の話をしてしまったことを、悠は早くも後悔した。胸の中からモヤモヤした苛立ちが全身に立ち込め、感情がまるで噴火寸前の火山のように急き立てられる。

「角膜移植は、ドナーからの提供があって初めて成立するものだ。提供者が見つかるまで、どのくらいの期間がかかるのか分からない。それに、手術を受けたからといって、絶対に目が見えるようになるという確証はない。硝子の破片によるものではなく、脳挫傷からの失明なら、視力が回復する望みはないと言われた。
 昏睡状態から意識は回復したが、今後なんらかの後遺症を発症する恐れだってある。実際、外傷性癲癇を発症する可能性を医師から示唆され、投薬を受けている。

 それだけじゃない」

 悠は、感情的になるうちにどんどん声が大きく、早口になっていた。堰を切った感情が溢れ出るのを止められず、怒涛の如く次から次へと言葉が矢継ぎ早に飛び出す。

「自分の足で歩くことも、寝返りさえも出来ない。ギプスでずっと固定したままでいなければならず、それが解けたところで、今度は長いリハビリ生活が始まる。医師からは、リハビリが順調にいったところで、完治には1年かかると言われた。
  
 そんな、俺が......薫子に、どうしてやれる?」

 普段感情を露わにすることのない悠の、吹き荒ぶ嵐のような激しい怒りと共に突きつけられた事実に、遼はただ......言葉を呑むしかなかった。

 そんな遼の気配を察した悠は、怒りをなんとか収めようと大きく肩で息を吐き出し、声のトーンを落とした。

「薫子は、駆け落ちの際に俺の励ましがあってすら、家から一歩も出ることが出来なかった......
 俺たちの関係を知られてしまった今、薫子が父親の意思に逆らって俺に会いに来続けることなど、出来ると思う?

 もし、出来たとしても......俺はここから、薫子を守ることは出来ない。彼女の傍にいることどころか、見守ってやることすら、出来ない......
 ック...出来ない、んだ......」

 悠は、唇を震わせた。
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