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突きつけられた現実
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打ち合わせが終わると、遼は薫子とふたりで出かける旨を伝えた。
「薫子様は身重ですので、どうか無理はさせないで下さいまし」
ばあやに念を押され、頷くと、遼は薫子を車に乗せた。
「どこへ、行くの?」
そう言いながらも、薫子は興味なさげに車窓を見つめた。
「ちょっと、気分転換だ」
遼がギアに手を掛けた。
車は東関東自動車道から宮野木ジャンクションを抜け、京葉道路に入り、千葉東ジャンクションから千葉東金道路、東金インターを抜けて国道126号線へと入った。そこから東金九十九里有料道路へと入る。
「遼ちゃん......いったい、どこへ向かうの?」
ずっと黙っていた薫子もさすがに疑問になり、思わず口を開いた。
「もうすぐ着く」
車が海岸の見える駐車場に停車する。車内にいても吹き付ける風のゴォゴォという音が響き、フロントガラスからは荒れている波しぶきが寒々しく映っていた。
「前に......風間とここで、会った」
「え、悠と?」
思わず薫子は遼を見つめた。そんな話は悠から聞いたことがなかったため、薫子は驚きを隠せなかった。
「クリスマスの翌日だ」
それは、薫子と悠が恋人であることが発覚し、その翌日に遼の家族と一緒にクリスマスを過ごした翌日ということになる。
私の知らないところで、ふたりは会ってたんだ......
「俺たちは同じ女を好きになり、競い合うライバルだった。でも、俺たちはお互いを蹴落とそうとするようなことはせず、正々堂々と戦った。
俺は、薫子と婚約発表することをあいつに告げ、風間は駆け落ちすることを伝えた。」
薫子には、遼が意図するところが分からなかった。
なぜ、今になって薫子をふたりが会ったという場所に連れてきたのか。
なぜ今更こんな話をするのか。
もう、悠とのことは終わったのだ。
今更蒸し返したところで、どうにもなるはずもないのに。
「もう、いいの......」
もうこれ以上聞きたくない......そう告げるように、薫子は俯いた。
「いいから聞けよ」
遼が、強い語調で言った。
「風間がお前と駆け落ちするって話をした時、俺はあいつに言った。
もし、この駆け落ちが上手くいかなかったら......お前が駆け落ちする勇気がなかった時だけでなく、駆け落ちしてからも逃げ帰ったり、誰かに見つかって連れ戻されたりした時にも、俺は、お前を貰い受けると。
それに対して、風間も文句は言わなかった」
「ッ!!!」
そ、んな......
遼ちゃんだけでなく、悠までそんなことに同意していたなんて。
私が、誰を好きなのか。誰を求めているのか、無視して.....
まるで物を扱うみたいに、こんな大事なこと、勝手にふたりで決めるなんて。
私の気持ちは、まるで無視なの?
「ッ...ひど......酷い、よ......ふたり、とも......勝手に、そんなこと......決める、なんて」
薫子は、悠と遼からの愛情を感じながらも、自分の知らないところで取引されていたことに対し、憤りを覚えた。
「そうだ。俺たちは、お前の気持ちを無視して勝手に決めた。
これが、お前にとって一番いい選択だと思ったからだ」
私に、とって......
駆け落ちが失敗したら、私を手放し、遼ちゃんに渡すことが1番いい選択だと、悠は思ったの?
互いに愛し合い、想い合っていると信じていた悠が、駆け落ち前にそんな決断をしていたとは、俄かには信じ難かった。悠に、裏切られたような気分にさえなった。
薫子は唇を震わせながら、訴えた。
「駆け落ちが、上手くいかなかったからって......私の気持ちが、急に変わるわけ...ないんだよ?
そんな簡単に気持ちを切り替えられるなら......こんなに苦しい思いなんて、してない」
悠を、好きだから......
悠を、諦められないから......
こんなに苦しい思いをしているというのに。
私の人生の選択を、なぜふたりが勝手に決めてしまうの?
お父様だけでなく、悠と遼ちゃんですらそんなことをするなんて......
「薫子様は身重ですので、どうか無理はさせないで下さいまし」
ばあやに念を押され、頷くと、遼は薫子を車に乗せた。
「どこへ、行くの?」
そう言いながらも、薫子は興味なさげに車窓を見つめた。
「ちょっと、気分転換だ」
遼がギアに手を掛けた。
車は東関東自動車道から宮野木ジャンクションを抜け、京葉道路に入り、千葉東ジャンクションから千葉東金道路、東金インターを抜けて国道126号線へと入った。そこから東金九十九里有料道路へと入る。
「遼ちゃん......いったい、どこへ向かうの?」
ずっと黙っていた薫子もさすがに疑問になり、思わず口を開いた。
「もうすぐ着く」
車が海岸の見える駐車場に停車する。車内にいても吹き付ける風のゴォゴォという音が響き、フロントガラスからは荒れている波しぶきが寒々しく映っていた。
「前に......風間とここで、会った」
「え、悠と?」
思わず薫子は遼を見つめた。そんな話は悠から聞いたことがなかったため、薫子は驚きを隠せなかった。
「クリスマスの翌日だ」
それは、薫子と悠が恋人であることが発覚し、その翌日に遼の家族と一緒にクリスマスを過ごした翌日ということになる。
私の知らないところで、ふたりは会ってたんだ......
「俺たちは同じ女を好きになり、競い合うライバルだった。でも、俺たちはお互いを蹴落とそうとするようなことはせず、正々堂々と戦った。
俺は、薫子と婚約発表することをあいつに告げ、風間は駆け落ちすることを伝えた。」
薫子には、遼が意図するところが分からなかった。
なぜ、今になって薫子をふたりが会ったという場所に連れてきたのか。
なぜ今更こんな話をするのか。
もう、悠とのことは終わったのだ。
今更蒸し返したところで、どうにもなるはずもないのに。
「もう、いいの......」
もうこれ以上聞きたくない......そう告げるように、薫子は俯いた。
「いいから聞けよ」
遼が、強い語調で言った。
「風間がお前と駆け落ちするって話をした時、俺はあいつに言った。
もし、この駆け落ちが上手くいかなかったら......お前が駆け落ちする勇気がなかった時だけでなく、駆け落ちしてからも逃げ帰ったり、誰かに見つかって連れ戻されたりした時にも、俺は、お前を貰い受けると。
それに対して、風間も文句は言わなかった」
「ッ!!!」
そ、んな......
遼ちゃんだけでなく、悠までそんなことに同意していたなんて。
私が、誰を好きなのか。誰を求めているのか、無視して.....
まるで物を扱うみたいに、こんな大事なこと、勝手にふたりで決めるなんて。
私の気持ちは、まるで無視なの?
「ッ...ひど......酷い、よ......ふたり、とも......勝手に、そんなこと......決める、なんて」
薫子は、悠と遼からの愛情を感じながらも、自分の知らないところで取引されていたことに対し、憤りを覚えた。
「そうだ。俺たちは、お前の気持ちを無視して勝手に決めた。
これが、お前にとって一番いい選択だと思ったからだ」
私に、とって......
駆け落ちが失敗したら、私を手放し、遼ちゃんに渡すことが1番いい選択だと、悠は思ったの?
互いに愛し合い、想い合っていると信じていた悠が、駆け落ち前にそんな決断をしていたとは、俄かには信じ難かった。悠に、裏切られたような気分にさえなった。
薫子は唇を震わせながら、訴えた。
「駆け落ちが、上手くいかなかったからって......私の気持ちが、急に変わるわけ...ないんだよ?
そんな簡単に気持ちを切り替えられるなら......こんなに苦しい思いなんて、してない」
悠を、好きだから......
悠を、諦められないから......
こんなに苦しい思いをしているというのに。
私の人生の選択を、なぜふたりが勝手に決めてしまうの?
お父様だけでなく、悠と遼ちゃんですらそんなことをするなんて......
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