【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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突きつけられた現実

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「だったら!!!」

 遼の怒号が飛び、薫子は大きく目を見開き、肩を震わせた。

「だったらお前は、駆け落ちが失敗したらどうするつもりだったんだ?
 家から一歩も出られるずに震えてたお前が、親父に真っ正面から刃向かえんのかよ? 風間と一緒になりてぇって言えんのかよ?

 だいたいお前は、自分から決断して行動したことが、今までにあったのかよ!!!」

 遼の勢いだけではない、その激しい感情の波に、薫子はただ彼を見つめることしか出来なかった。

 遼は、肩から大きく息を吐き出した。

「風間は、お前の性格をよく知ってる。内気で自分じゃ何も行動出来ないお前が、もし駆け落ち出来なかったら、もう自分たちにとっての未来はないと風間は考えたんだ。
 どんだけ風間ひとりが頑張ったところで、お前が何も行動出来ないんじゃふたりの関係を親に認めてもらうことなんてできねぇ。結局、引き離されるだけだ。
 風間だって、好き好んでお前を俺に託そうとしたわけじゃねぇ。お前のことを思って、苦渋の選択をしたんだ。

 だからこそ、あいつは......ック...お前と駆け落ちするために、必死......だったんだ......ゥグ」

 そう言った後、頭を俯かせ、唇をきつく噛み締めた。

 その言葉を聞き、薫子には反論することなど出来なかった。まさに、遼の言うとおりだった。

 薫子は、駆け落ちが失敗した先のことなど、考えていなかった。悠は、そんな悲愴な想いを胸にしまい、私と駆け落ちしようと覚悟していたんだ。

 駆け落ちするのが怖くなり、家から出られなくなった私を知り、どれだけ悠は失望しただろう。そして、この駆け落ちを成功させるため、私を失わないために、車を走らせ、迎えに行こうとしてくれていたんだ......

 薫子は、自分が弱いばかりに引き起こした現実に、打ちのめされた。

「風間、は......お前を嫌いになって別れたんじゃねぇ。
 これが 、お前の幸せになると信じたからこそ......お前を、手放したんだ」

 そ、んなことって......
 
 思いもよらなかった真実に、薫子は唖然とした。

 遼がハンドルに凭れ、ギュッと握り締める。

「あぃ...あい、つは......ッグも......おま、えを......守れねぇ、って......ッ...お前の...みら、いを......俺に、託し......ック」

 嗚咽を飲み下し、肩を大きく震わせた。

「遼、ちゃん......?」

 あまりにも感情的な遼の態度に、薫子は動揺した。

 どう、して......
 どう、して、遼ちゃんが泣いているの?

 遼は、頭をハンドルに凭れた。嗚咽を漏らした後、くぐもった声で告げる。

「ごめん、薫子。
 ごめ......風間。

 俺は、もう......黙って、られない......」

 黙ってられない、って......どういうこと?
 遼ちゃんは、私に何を隠しているの?

 薫子の中で、不安が渦を巻いて襲いかかる。

「ど、どうしたの?
 何が、あったの?」

 畳み掛けるようにして尋ねる薫子に、遼が歪めた顔を上げて見つめた。

「風間は、あの事故で......両目の視力を失った」
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