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脅迫観念
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それから、薫子は近所のエリアに絞り、自分が働けそうなバイトを探してみた。仕事探しは黙ってするものの、仕事が始まったらばあやには正直に打ち明けようと思っていた。
人と接することなく、重労働がなく、週に3日程度の短時間のアルバイトというのが希望だったが、歩いて通えるような場所で薫子の考えるようなバイトを探すのは簡単なことではなかった。たまに『簡単な仕分け作業』とあって電話してみると、実際には躰を使った仕事だったり、短時間と書いてありながらも、実際には週3日で4時間程と言うと断られたりした。
そんな薫子が、事務の職種で週に3日、4時間。しかも雇用期間は3ヶ月という、薫子にとっては願ってもない好条件のアルバイトの面接を受けられることになった。これなら途中で長期休暇をもらう必要がなくて後ろめたくないし、事務の経験を身につけることが出来るから今後に役立つかもしれない。
薫子は1着だけ持ってきていたスーツを紙袋に入れ、面接へと向かった。
会社は、ハローワークの隣にあるビルの中に入っていた。バスで通わなければならないが、家から会社までバスの時間を入れても20分と考えると十分通勤圏内だと考えなければならないだろう。
薫子は、ビルの1階にある公衆便所へ行くと、そこでスーツに着替えた。16週に入っているものの、小柄というせいもあるのか薫子のお腹はまだ大きくなく、スカートのホックを調整すれば余裕で入る。スーツを着ていても、よほど疑ってかからない限りは妊娠しているとは分からない程だった。
着替えの入った荷物はさすがに持って歩けないので1階ロビー正面にある受付兼警備にお願いして預かってもらい、スプリングコートを手に、履歴書の入っている鞄を持つ。
スーツを着ると、気持ちが引き締まってくる......
エレベーターで会社の入っているフロアまで上がり、受付で面接の旨を伝えると、小さな部屋に通された。ここで面接をするのだと思うと、緊張で躰が強張った。
「お待たせしました」
背中から声を掛けられ、薫子は肩をビクッとさせた。
落ち着かなきゃ......
薫子はゆっくりと立ち上がると、自分の目の前に名刺を持って立つ男性に丁寧にお辞儀した。
「本日、面接を受けさせていただきます櫻井 薫子と申します。どうぞ、よろしくお願い致します」
男性は、薫子のあまりにも丁寧な挨拶に一瞬面食らったように瞬くと、ハハッと笑った。
「まぁ、そう固くならないで。座って下さい。
あ、今日面接を担当します若原と言います。どうぞ、よろしく」
若原は名刺をサッと出し、薫子はそれを両手で受け取った。
見た目は30代前半に見えるが、実際はそれよりも年上なのかもしれない。スポーツで鍛えたのであろう頑丈な体躯を持つ彼は、短髪で爽やかな印象を受けた。
若原は薫子の目の前の椅子に座り、笑顔を見せた。
「頼みたいのは簡単なデータ入力だから、難しいことは何もないよ。週に3日、4時間とあるけど、その日のデータの入力が終われば早く帰ってもらって構わない。逆にデータが大量にある日は、もしかしたら残業になっちゃうかもしれないけど。そこは、大丈夫?」
薫子は少し考えてから、頷いた。
「そんなに遅くならなければ、大丈夫です」
「ハハッ、深夜まで引き止めるとかにはならないから心配しないで」
若原は白い歯を見せて笑った。
「他にも面接に来る子がいるから、明日明後日には結果を電話で報告すると思うけど、櫻井さんなら大丈夫だよ。見た目真面目そうだし、青海学園幼稚舎から高等部まで卒業って、かなりいいとこ行ってるよね」
若原が大学を中退していることについては何も触れなかったことに、薫子はホッとしながら「ありがとうございます」と小さく頭を下げた。
「それにどうせ働いてもらうなら、可愛い子の方が士気が上がるしね」
若原が少し下卑た笑顔を見せ、薫子は冗談だと思いつつも躰を固くした。
どうしよう......ちょっと、苦手かも。
そう思いつつも、仕事の面接だと思い、引き攣りながらもなんとか笑顔を返した。
「もし決まったら、来週の月曜から働いてもらうことになるからよろしくね」
もう薫子が既に採用されているような感じの話ぶりだった。
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
採用してもらえそう......
人と接することなく、重労働がなく、週に3日程度の短時間のアルバイトというのが希望だったが、歩いて通えるような場所で薫子の考えるようなバイトを探すのは簡単なことではなかった。たまに『簡単な仕分け作業』とあって電話してみると、実際には躰を使った仕事だったり、短時間と書いてありながらも、実際には週3日で4時間程と言うと断られたりした。
そんな薫子が、事務の職種で週に3日、4時間。しかも雇用期間は3ヶ月という、薫子にとっては願ってもない好条件のアルバイトの面接を受けられることになった。これなら途中で長期休暇をもらう必要がなくて後ろめたくないし、事務の経験を身につけることが出来るから今後に役立つかもしれない。
薫子は1着だけ持ってきていたスーツを紙袋に入れ、面接へと向かった。
会社は、ハローワークの隣にあるビルの中に入っていた。バスで通わなければならないが、家から会社までバスの時間を入れても20分と考えると十分通勤圏内だと考えなければならないだろう。
薫子は、ビルの1階にある公衆便所へ行くと、そこでスーツに着替えた。16週に入っているものの、小柄というせいもあるのか薫子のお腹はまだ大きくなく、スカートのホックを調整すれば余裕で入る。スーツを着ていても、よほど疑ってかからない限りは妊娠しているとは分からない程だった。
着替えの入った荷物はさすがに持って歩けないので1階ロビー正面にある受付兼警備にお願いして預かってもらい、スプリングコートを手に、履歴書の入っている鞄を持つ。
スーツを着ると、気持ちが引き締まってくる......
エレベーターで会社の入っているフロアまで上がり、受付で面接の旨を伝えると、小さな部屋に通された。ここで面接をするのだと思うと、緊張で躰が強張った。
「お待たせしました」
背中から声を掛けられ、薫子は肩をビクッとさせた。
落ち着かなきゃ......
薫子はゆっくりと立ち上がると、自分の目の前に名刺を持って立つ男性に丁寧にお辞儀した。
「本日、面接を受けさせていただきます櫻井 薫子と申します。どうぞ、よろしくお願い致します」
男性は、薫子のあまりにも丁寧な挨拶に一瞬面食らったように瞬くと、ハハッと笑った。
「まぁ、そう固くならないで。座って下さい。
あ、今日面接を担当します若原と言います。どうぞ、よろしく」
若原は名刺をサッと出し、薫子はそれを両手で受け取った。
見た目は30代前半に見えるが、実際はそれよりも年上なのかもしれない。スポーツで鍛えたのであろう頑丈な体躯を持つ彼は、短髪で爽やかな印象を受けた。
若原は薫子の目の前の椅子に座り、笑顔を見せた。
「頼みたいのは簡単なデータ入力だから、難しいことは何もないよ。週に3日、4時間とあるけど、その日のデータの入力が終われば早く帰ってもらって構わない。逆にデータが大量にある日は、もしかしたら残業になっちゃうかもしれないけど。そこは、大丈夫?」
薫子は少し考えてから、頷いた。
「そんなに遅くならなければ、大丈夫です」
「ハハッ、深夜まで引き止めるとかにはならないから心配しないで」
若原は白い歯を見せて笑った。
「他にも面接に来る子がいるから、明日明後日には結果を電話で報告すると思うけど、櫻井さんなら大丈夫だよ。見た目真面目そうだし、青海学園幼稚舎から高等部まで卒業って、かなりいいとこ行ってるよね」
若原が大学を中退していることについては何も触れなかったことに、薫子はホッとしながら「ありがとうございます」と小さく頭を下げた。
「それにどうせ働いてもらうなら、可愛い子の方が士気が上がるしね」
若原が少し下卑た笑顔を見せ、薫子は冗談だと思いつつも躰を固くした。
どうしよう......ちょっと、苦手かも。
そう思いつつも、仕事の面接だと思い、引き攣りながらもなんとか笑顔を返した。
「もし決まったら、来週の月曜から働いてもらうことになるからよろしくね」
もう薫子が既に採用されているような感じの話ぶりだった。
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
採用してもらえそう......
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