【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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脅迫観念

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 そんな日々が続いたある日。

 トイレに行った薫子は、ふと便器に血の滴が1滴、2滴垂れているのを見て蒼白になった。

「ッ......」

 妊娠中は生理になることなんてない。まだ17週の私におしるしが来ることもありえない。
 もしかして、赤ちゃんの身に何かあったの......

 まるで心臓が凍りついたようになった。ネットで色々と検索してみたものの、考えれば考えるほど悪い方向に考えてしまう。

 後少しで健診日ではあるものの、もしその間にお腹の子供に何かあったら......と思うと怖くなり、薫子は病院に電話をすることにした。

 電話すると病院側はすぐに来るように言ってくれ、薫子は取るものも取り敢えず家を出ることにした。

「ちょっと、出かけてきます」

 ばあやには心配をかけたくなくて、病院に行くとは言えなかった。
 
 ひとりバスに乗り、病院へ向かう道のりの間、悪い事ばかり考えてしまう。

 私がずっと、無理ばかりしてたから......ごめんね。
 ごめんね、赤ちゃん......どうか、無事でいて。

 病院に着いて受付を済ませ、待っている間も動悸がおさまらない。周りにいる妊婦や走り回る子供達の姿や声すら入ってこなかった。

 ずっとお腹の子供の無事を祈りながら一人診察を待つのは、まるで永遠のように長く感じられる。

 こんな時、悠がいてくれたら......

 薫子は、そう思わずにはいられなかった。

 自分ひとりで抱え込むにはあまりにも大き過ぎる......その重圧と孤独が、薫子の上にズシリと覆い被さっていた。

「櫻井さん」

 ようやく名前が呼ばれ、担当の女医の顔を見た途端、薫子の張り詰めていた緊張の糸がプチンと切れた。

「せ、んせ......ッグ...おな......ヒクッ、ッグ......お腹の、赤ちゃ......ウッウッ......」

 女医が、大きく震える薫子の肩を優しく撫でた。

「櫻井さん、大丈夫ですよ。落ち着いて......
 ゆっくり、話してください」

 話を聞き終えた女医は、彼女を診察台に横たわるように指示した。

「では、診ていきましょう」

 薫子は緊張で喉を鳴らしながら、「はい...」と答えた。

 診察を終えた女医は、再び薫子に椅子に腰掛けるように勧めた。女医がカルテに入力を終えると、彼女の方を見つめる。

 薫子は、緊張と不安が絶頂に達しながらも、なんとか正気を保たなければと、お腹を両手で支えるように包み込んだ。

 どうか......何ともありませんように。
 無事で、いて。
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