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After Story1 ー新しい命の誕生ー
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扉が軽くノックされ、悠人が立ち上がった。
「薫子、遅くなってごめん」
悠の声を聞き、薫子は一気に心が解きほぐされるように柔らかくなった。車椅子を押す静音に、悠人が話しかける。
「先生との話は大丈夫だった?」
「えぇ......今入院している患者さんで角膜移植を待ってらした方に譲る事が決まって。また、移植申請の手続きをしてきました」
悠人は一瞬残念そうな表情を浮かべてから、静音の肩を叩いた。
「また、機会はあるさ」
「えぇ」
悠は両親の話を聞きながら申し訳ないと感じつつも、出産を迎えた薫子の傍を離れることなど出来るはずないと強く思った。
扉がノックされ、悠の担当医が顔を出した。悠の内診を終えると、厳しい表情になる。
「外科医から手術がキャンセルになったと聞き、驚きましたよ。二度も角膜手術を見送った患者は、あなたが初めてです」
「たくさんの方にご迷惑をかけ、申し訳なく思っています」
頭を下げた悠に、医師が大きく息を吐いた。
「奥さんが出産するまではここにいることを許可しますが、出産後はご自分の病室に戻ってくださいね。
看護師に、薬と食事をここに届けるように伝えておきましょう」
「分かりました。ありがとうございます」
医師が立ち上がった。先ほどまでの厳しい表情はそこにはなく、眼鏡の奥から優しい眼差しを覗かせている。
「私は妻の出産に立ち会うことが出来ませんでしたし、それが当然だと思っていました。でも今頃になって、『あの時、傍にいて欲しかった』なんて言われましてね。
奥さんを、しっかり支えてあげて下さい」
「はい、ありがとうございます」
悠の言葉を聞いて頷いた後、薫子にも声を掛ける。
「どうか、元気な赤ちゃんを産んで下さい」
「はい......」
薫子が深い感謝を込めて、頷く。
医師は颯爽と病室を後にした。
それから暫く経たないうちに、大和が薫子の荷物を持って現れた。それは、美姫が帰らなければいけないことも指していた。
「本当に、ありがとう。予定よりも長く引き留めることになっちゃってごめんね」
悠が角膜移植を受ける前に少しだけ顔を見せるつもりが、こんなことになろうとは誰も予測していなかった。
大和が笑顔を見せる。
「いいって。少しでも役に立つ事ができてよかった。
薫子、がんばれよ」
美姫が薫子のお腹に手を当て、もう一方の手で薫子の手を握った。
「一緒にいてあげられなくて、ごめんね。どうか、元気な赤ちゃんを産んでね」
そう言って立ち上がろうとしてから、「あ!」と思い出したように叫んだ。鞄の中を探ると、白い小さな紙袋を薫子に渡す。
「これ、安産祈願のお守り」
受け取った紙袋から中身を取り出すと、可愛らしいピンクのお守り袋に『安産御守』の文字が入っていて、小さな鈴がついている。
「ありがとう、美姫......」
薫子は泣きそうになりながら、微笑んだ。
「薫子、遅くなってごめん」
悠の声を聞き、薫子は一気に心が解きほぐされるように柔らかくなった。車椅子を押す静音に、悠人が話しかける。
「先生との話は大丈夫だった?」
「えぇ......今入院している患者さんで角膜移植を待ってらした方に譲る事が決まって。また、移植申請の手続きをしてきました」
悠人は一瞬残念そうな表情を浮かべてから、静音の肩を叩いた。
「また、機会はあるさ」
「えぇ」
悠は両親の話を聞きながら申し訳ないと感じつつも、出産を迎えた薫子の傍を離れることなど出来るはずないと強く思った。
扉がノックされ、悠の担当医が顔を出した。悠の内診を終えると、厳しい表情になる。
「外科医から手術がキャンセルになったと聞き、驚きましたよ。二度も角膜手術を見送った患者は、あなたが初めてです」
「たくさんの方にご迷惑をかけ、申し訳なく思っています」
頭を下げた悠に、医師が大きく息を吐いた。
「奥さんが出産するまではここにいることを許可しますが、出産後はご自分の病室に戻ってくださいね。
看護師に、薬と食事をここに届けるように伝えておきましょう」
「分かりました。ありがとうございます」
医師が立ち上がった。先ほどまでの厳しい表情はそこにはなく、眼鏡の奥から優しい眼差しを覗かせている。
「私は妻の出産に立ち会うことが出来ませんでしたし、それが当然だと思っていました。でも今頃になって、『あの時、傍にいて欲しかった』なんて言われましてね。
奥さんを、しっかり支えてあげて下さい」
「はい、ありがとうございます」
悠の言葉を聞いて頷いた後、薫子にも声を掛ける。
「どうか、元気な赤ちゃんを産んで下さい」
「はい......」
薫子が深い感謝を込めて、頷く。
医師は颯爽と病室を後にした。
それから暫く経たないうちに、大和が薫子の荷物を持って現れた。それは、美姫が帰らなければいけないことも指していた。
「本当に、ありがとう。予定よりも長く引き留めることになっちゃってごめんね」
悠が角膜移植を受ける前に少しだけ顔を見せるつもりが、こんなことになろうとは誰も予測していなかった。
大和が笑顔を見せる。
「いいって。少しでも役に立つ事ができてよかった。
薫子、がんばれよ」
美姫が薫子のお腹に手を当て、もう一方の手で薫子の手を握った。
「一緒にいてあげられなくて、ごめんね。どうか、元気な赤ちゃんを産んでね」
そう言って立ち上がろうとしてから、「あ!」と思い出したように叫んだ。鞄の中を探ると、白い小さな紙袋を薫子に渡す。
「これ、安産祈願のお守り」
受け取った紙袋から中身を取り出すと、可愛らしいピンクのお守り袋に『安産御守』の文字が入っていて、小さな鈴がついている。
「ありがとう、美姫......」
薫子は泣きそうになりながら、微笑んだ。
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