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After Story1 ー新しい命の誕生ー
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陣痛がきている間は苦しくきついが、まだ耐えられない程ではないと薫子は感じていた。陣痛が続くのは長くても1分程度なので、それさえ乗りきればまた緩い痛みへと変化する。
私は、すごく恵まれてるんだろうな。こうして早い段階からベッドに横にさせてもらって、皆がサポートしてくれて。
仕事を抱えていたり、子供がいたりする人は出産ギリギリまで忙しくしているだろうし。中には旦那さんや家族のサポートを受けられない人もいるだろうし、未婚のまま子供を産む人もいるよね。
もし、私があの時悠の元へと戻る勇気のないままになっていたら......私はひとりで、出産を迎えることになってたのかな。
そう思うと、恐くなった。
産科病棟に移ったら詳しい話をすると言われていたが、看護師は時々様子を見に来るものの、薫子を内診した医師は一向に現れることはなかった。
どうして、来てくれないの......
破水したら、早く出産しないといけないと言ってたのに。
何度も陣痛の波を乗り越え、不安と焦燥に駆られながらベッドの上でただジリジリと待っているのは苦痛以外のなにものでもなかった。
それから3時間程経ち、ようやく医師が姿を見せた。
「今、陣痛の間隔はどれぐらいですか」
詫びるでもなく飄々と尋ねる医師に、いつもは大人しく、人に対して怒りなど感じない薫子が珍しく苛立ちを感じた。それを抑え、少し考えてから答えた。
「えっと......10分間隔ぐらいです」
「分かりました。では、子宮口がどれぐらい開いてるか、確認しましょう」
その場で足を開かされ、薫子は死にそうなほどの恥ずかしさを覚えた。
悠人は気を遣って外に出てくれたものの、悠は傍にいる。いくら悠が見えないからといって、カーテンを引かれることもなく無様な格好をしていることは、薫子にとって恥辱だった。
「うーん、まだ2センチちょっとか。指1本分程度ですね」
薫子は母親学級でのことを思い出し、愕然とした。
2センチといえば、準備期の段階だ。これから活動期を経て分娩が出来る移行期になるまでは、まだまだ道のりは遠い。何しろ、分娩の許可が下りるには子宮口が10センチまで開かないといけないのだ。
医師が腕時計に視線を落とし、薫子を見つめた。
「では、また暫くしたら様子を見にきます」
医師は来てから5分も経たないうちに、さっさと帰ってしまった。その後ろ姿を不安げに見つめつつ、待つしかないのだと薫子は覚悟を決めた。
看護師が二人分の食事と悠の薬を運んできた。
「これから出産に向けて長いですから、食べられるうちに食べて、眠れる時に眠って、体力を温存しておかないと駄目ですよ」
婦長であるベテラン看護師に諭され、薫子は素直に頷いた。
悠人は眉を下げて薫子を見つめた。
「申し訳ないが、僕はこの後会社に戻らなければならない。静音から出産の連絡を受けたら、すぐに戻ってくるから。すまないね」
「いえ、とんでもないです。色々とありがとうございました」
薫子が頭を下げると、悠人は次にばあやに声を掛けた。
「ばあやさん、静音と外食をしてきてもいいかな。その後彼女はここに戻るから、交代でお昼ご飯を取るといい」
「はい、私のことはどうぞお構いなく。ここで適当にお食事しますので」
だが、静音は出て行くことを躊躇った。
「でも......薫子さんは陣痛が来てますし、悠もひとりでは食事が困難なんですよ」
心配する静音に、ばあやが安心させるように力強く答えた。
「私がちゃんとおふたりのお世話をしますから、任せて下さい」
「でも......」
「ささ! お二人がお食事に行かないと薫子様も悠様も食事を始められませんよ!」
同意するように頷く薫子と悠を見て歩き出すものの、その足取りにはまだ迷いがあった。ようやく扉の前まで来ると、静音はばあやに深々と頭を下げた。
「すみません、ばあやさん。すぐに戻りますから」
「はいはい、ごゆっくりどうぞ」
悠人にエスコートされ、静音は病室を出て行った。
私は、すごく恵まれてるんだろうな。こうして早い段階からベッドに横にさせてもらって、皆がサポートしてくれて。
仕事を抱えていたり、子供がいたりする人は出産ギリギリまで忙しくしているだろうし。中には旦那さんや家族のサポートを受けられない人もいるだろうし、未婚のまま子供を産む人もいるよね。
もし、私があの時悠の元へと戻る勇気のないままになっていたら......私はひとりで、出産を迎えることになってたのかな。
そう思うと、恐くなった。
産科病棟に移ったら詳しい話をすると言われていたが、看護師は時々様子を見に来るものの、薫子を内診した医師は一向に現れることはなかった。
どうして、来てくれないの......
破水したら、早く出産しないといけないと言ってたのに。
何度も陣痛の波を乗り越え、不安と焦燥に駆られながらベッドの上でただジリジリと待っているのは苦痛以外のなにものでもなかった。
それから3時間程経ち、ようやく医師が姿を見せた。
「今、陣痛の間隔はどれぐらいですか」
詫びるでもなく飄々と尋ねる医師に、いつもは大人しく、人に対して怒りなど感じない薫子が珍しく苛立ちを感じた。それを抑え、少し考えてから答えた。
「えっと......10分間隔ぐらいです」
「分かりました。では、子宮口がどれぐらい開いてるか、確認しましょう」
その場で足を開かされ、薫子は死にそうなほどの恥ずかしさを覚えた。
悠人は気を遣って外に出てくれたものの、悠は傍にいる。いくら悠が見えないからといって、カーテンを引かれることもなく無様な格好をしていることは、薫子にとって恥辱だった。
「うーん、まだ2センチちょっとか。指1本分程度ですね」
薫子は母親学級でのことを思い出し、愕然とした。
2センチといえば、準備期の段階だ。これから活動期を経て分娩が出来る移行期になるまでは、まだまだ道のりは遠い。何しろ、分娩の許可が下りるには子宮口が10センチまで開かないといけないのだ。
医師が腕時計に視線を落とし、薫子を見つめた。
「では、また暫くしたら様子を見にきます」
医師は来てから5分も経たないうちに、さっさと帰ってしまった。その後ろ姿を不安げに見つめつつ、待つしかないのだと薫子は覚悟を決めた。
看護師が二人分の食事と悠の薬を運んできた。
「これから出産に向けて長いですから、食べられるうちに食べて、眠れる時に眠って、体力を温存しておかないと駄目ですよ」
婦長であるベテラン看護師に諭され、薫子は素直に頷いた。
悠人は眉を下げて薫子を見つめた。
「申し訳ないが、僕はこの後会社に戻らなければならない。静音から出産の連絡を受けたら、すぐに戻ってくるから。すまないね」
「いえ、とんでもないです。色々とありがとうございました」
薫子が頭を下げると、悠人は次にばあやに声を掛けた。
「ばあやさん、静音と外食をしてきてもいいかな。その後彼女はここに戻るから、交代でお昼ご飯を取るといい」
「はい、私のことはどうぞお構いなく。ここで適当にお食事しますので」
だが、静音は出て行くことを躊躇った。
「でも......薫子さんは陣痛が来てますし、悠もひとりでは食事が困難なんですよ」
心配する静音に、ばあやが安心させるように力強く答えた。
「私がちゃんとおふたりのお世話をしますから、任せて下さい」
「でも......」
「ささ! お二人がお食事に行かないと薫子様も悠様も食事を始められませんよ!」
同意するように頷く薫子と悠を見て歩き出すものの、その足取りにはまだ迷いがあった。ようやく扉の前まで来ると、静音はばあやに深々と頭を下げた。
「すみません、ばあやさん。すぐに戻りますから」
「はいはい、ごゆっくりどうぞ」
悠人にエスコートされ、静音は病室を出て行った。
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