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幸せな未来設計図
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すると、コホン、コホン……と盛大な咳払いが響いた。
「これが、両国統合の意見を纏めた草案です」
ヒューバートが別の羊皮紙を取り出し、ルチアに手渡した。
す、凄い……
そこには、グレートブルタン国とシュタート王国の統合に関するさまざな条項が、事細かに記されていた。
いつからこの草案を作り始めたのだろう。誓約の儀の直後から始めたとしても、こんなに細部まできっちりと調べ上げて作るとすれば、相当な時間がかかるはず。グレートブルタン国の憲法や政令に精通していなければ盛り込めないような内容まで……
「グレートブルタン国の憲法や政令についてはユリアーノに橋渡し役を頼み、国王陛下や官僚達にも協力して頂きました。グレートブルタン国側の道路の整備については、騎士団長であるアルバート殿に意見を求めました」
自分の知らないところで皆が一丸となり、両国の統合に向けて尽力していたのだと知り、ルチアは己の不甲斐なさを感じた。
私は、グレートブルタン国のプリンセスだというのに……
「お前にもこの草案を読んで、どう思うのか、グレートブルタン国のプリンセスとして培った経験を踏まえた意見を聞かせてもらいたい」
グレートブルタン国のプリンセスとして、培った経験……
ルチアは背筋をピンと伸ばし、答えた。
「はい、分かりました。この草案、お借りしてもよろしいのですか」
「これは写しだ。ルチアに持たせるために用意させたのだ」
クロードに、伴侶としてだけでなく、政に関することでも信頼を寄せられているのだと思うと嬉しくなると同時に、国と国を統合するという大きな政務に緊張も感じた。
「ありがたく存じます」
グレートブルタン国に戻ったら早速草案に目を通して、シュタート王国の憲法や政令についても学ばなくては……
ルチアは思いを巡らせた。
「それとルチア、お前にはもっと重大な役割を頼みたい」
「重大な、役割……ですか?」
「あぁ。グレートブルタン国とシュタート王国、両国の『顔』となることだ」
『顔』となる……
「お前は、グレートブルタン国の国民から慕われ、愛されている。誓約の儀以降は我が国でもグレートブルタン国のプリンセスの認識が一気に広まり、国民の関心が寄せられている」
その言葉にルチアは真剣に耳を傾け、ゴクリと喉を鳴らした。
「私は今まで父の負い目から、国民に顔を晒すことをして来なかった。国民は、国王である私の顔を知らない者が殆どだ。だが、グレートブルタン国とシュタート王国が統合した暁には、新たな両国の国王として、私は国民に顔見せをしようと思う」
「クロード様……」
「私も、お前と共に統合した両国の『顔』となり、国民の指針、そして心の支えとなれるよう、ルチア……私の隣で支えてくれるか?」
「はい、クロード様。ずっと、クロード様のお傍で支えていきますわ」
きっと、クロード様は……グレートブルタン国、シュタート王国両国の国民から敬われ、愛される国王となりますわ……
いつのまにか日が落ちて、大きな夕陽が草原を燃えるように真っ赤に照らし出していた。それはまるで、クロードの心の内に秘める固い決意を反映しているかのようだった。
「これが、両国統合の意見を纏めた草案です」
ヒューバートが別の羊皮紙を取り出し、ルチアに手渡した。
す、凄い……
そこには、グレートブルタン国とシュタート王国の統合に関するさまざな条項が、事細かに記されていた。
いつからこの草案を作り始めたのだろう。誓約の儀の直後から始めたとしても、こんなに細部まできっちりと調べ上げて作るとすれば、相当な時間がかかるはず。グレートブルタン国の憲法や政令に精通していなければ盛り込めないような内容まで……
「グレートブルタン国の憲法や政令についてはユリアーノに橋渡し役を頼み、国王陛下や官僚達にも協力して頂きました。グレートブルタン国側の道路の整備については、騎士団長であるアルバート殿に意見を求めました」
自分の知らないところで皆が一丸となり、両国の統合に向けて尽力していたのだと知り、ルチアは己の不甲斐なさを感じた。
私は、グレートブルタン国のプリンセスだというのに……
「お前にもこの草案を読んで、どう思うのか、グレートブルタン国のプリンセスとして培った経験を踏まえた意見を聞かせてもらいたい」
グレートブルタン国のプリンセスとして、培った経験……
ルチアは背筋をピンと伸ばし、答えた。
「はい、分かりました。この草案、お借りしてもよろしいのですか」
「これは写しだ。ルチアに持たせるために用意させたのだ」
クロードに、伴侶としてだけでなく、政に関することでも信頼を寄せられているのだと思うと嬉しくなると同時に、国と国を統合するという大きな政務に緊張も感じた。
「ありがたく存じます」
グレートブルタン国に戻ったら早速草案に目を通して、シュタート王国の憲法や政令についても学ばなくては……
ルチアは思いを巡らせた。
「それとルチア、お前にはもっと重大な役割を頼みたい」
「重大な、役割……ですか?」
「あぁ。グレートブルタン国とシュタート王国、両国の『顔』となることだ」
『顔』となる……
「お前は、グレートブルタン国の国民から慕われ、愛されている。誓約の儀以降は我が国でもグレートブルタン国のプリンセスの認識が一気に広まり、国民の関心が寄せられている」
その言葉にルチアは真剣に耳を傾け、ゴクリと喉を鳴らした。
「私は今まで父の負い目から、国民に顔を晒すことをして来なかった。国民は、国王である私の顔を知らない者が殆どだ。だが、グレートブルタン国とシュタート王国が統合した暁には、新たな両国の国王として、私は国民に顔見せをしようと思う」
「クロード様……」
「私も、お前と共に統合した両国の『顔』となり、国民の指針、そして心の支えとなれるよう、ルチア……私の隣で支えてくれるか?」
「はい、クロード様。ずっと、クロード様のお傍で支えていきますわ」
きっと、クロード様は……グレートブルタン国、シュタート王国両国の国民から敬われ、愛される国王となりますわ……
いつのまにか日が落ちて、大きな夕陽が草原を燃えるように真っ赤に照らし出していた。それはまるで、クロードの心の内に秘める固い決意を反映しているかのようだった。
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