【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都

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幸せな未来設計図

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 クロード様の特別な思い出でもあるのかしら?

 すると、クロードはルチアの肩を抱き寄せ、力強く告げた。

「グレートブルタン国とシュタート王国を統合し、ここに新たな首都を制定する」
「えっ……」

 新たな、首都……

 クロードとルチアの婚姻により、両国を統合するという話は以前から持ち上がっていた。ただ、どこを首都とするのかについてグレートブルタン国側とシュタート王国側の官僚で意見が合わず、揉めていた。

「両国の地理的中間地点となるここを、首都とする。首都は首都特別地域とし、計画都市として設計し、ここに全ての政治機能のための国会議事堂、高等裁判所、それぞれの官庁を置く」

 一息つくとクロードはルチアを見やり、言った。

「もちろん、グレートブルタン国の同意のもとに、だが」

 そこには、かつてクロードの母の祖国が父の大国に吸収されたような形にはしないという、彼の意思が籠もっていた。

 クロード様……

「はいっ!」

 ルチアの目の前に広がる草原に、国会議事堂や高等裁判所、さまざまな官庁が建ち並ぶ絵が浮かぶ。

「そして、ここに私達の新しい居城を建てる予定だ」
「私達の……」
「あぁ。一緒に暮らすための、居城だ」

 クロード様と、一緒に暮らせる……

 ルチアの躰は興奮し、沸き立つ幸せに打ち震えていた。

「ヒューバート」
「はい、クロード様……」

 ヒューバートが革の鞄から羊皮紙を取り出し、クロードに手渡した。

「これが私達の居城の設計図だ。まだ図案でしかないが。もちろん、お前の意見も取り入れるつもりだ」

 設計図には、間取りと共に部屋の名前が書かれていた。執務室、応接室、会議室、ダンスホール、厨房、騎士訓練場……部屋の名前を追っていくと、そこに二人の寝室もあった。

 一緒の部屋になっていますわ……

 ふと、その隣に小さい部屋があるのにルチアは気付いた。

 あ……

 そこには、『子供部屋』と記載されていた。

 ルチアの顔を見て察したクロードが、子供部屋を指差す。

「将来、必要になった時の為に、用意したのだ」
「そ、そうですか……」

 ルチアは少し頬を染め、クロードを見上げた。

 クロード様と婚姻できたことが嬉しくて、子供だなんて……考えたこともありませんでした。

「官僚達からは、早く世継ぎをと急かされているが、ルチアはどう思う?」
「えっ。私、は……」

 もちろん、クロード様とのお子は欲しいですけれど……

 急に聞かれて戸惑い、ルチアは答えあぐねる。

 クロードが口を開いた。

「まだ、私達にはやらなければならないことが山積みだ。首都だけでなく、それに伴う道路や水道、電気等の整備、両国の憲法と政令の見直しと制定、通貨の統一……」

 聞いているだけで、目眩がしそうなほど途方もない計画に思われた。

 けれど、クロード様ならきっとグレートブルタン国とシュタート王国とを平和的に統合し、繁栄させていけるに違いありませんわ。そして、私は妃としてクロード様を支えていける存在になりたいのです。

「私も、まだ子供のことは考えておりません。両国の妃として、クロード様を表と裏で支えていきたいのです」
「お前なら、そう言うと思っていた」

 クロードはふっと微笑むと、ルチアの肩を抱く手に力を込めた。

「それに、私は……まだルチアを独占していたいのかもしれぬな。我が子であっても、お前の愛情を私が独り占めしていたいと思ってしまうのだ」
「クロード様……」
「子供じみていると、自分でも分かっているが」
「いえ、私も……まだクロード様との二人きりの時間を……クロード様を独占したい気持ちは同じですわ」
「ルチア……」

 お互いの視線が絡み合い、惹き寄せられるように唇が近付く。
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