【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

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67.旅立ちの時 

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「ふっふふーん♪」

 上機嫌で鼻歌を歌いながら、類は荷物の整理をしていた。既に父のものは全て処分してある。

 ようやく、家が売却出来た。

 ハウスクリーニングやメンテナンス、リノベーション(改装)のために多少時間がかかったが、オープンハウスではたくさんの希望者が訪れ、予想以上の入札がかかり、こちらの言い値よりもかなり高い値で売ることが出来た。また、全ての家電と家具を置いていくと話したら、それに更に金額を上乗せしてくれた。現在の家を購入してから8年めになるが、その割にはmortgage(住宅ローン)の残額がそれほどなく、宏典はかなり返済したようだった。

 父さんも少しは使えたな……

 家具だけが並ぶ殺風景な広いリビングルームに、大きな空のスーツケースを2つ並べた。類はそのひとつに、美羽の写真が入ったアルバムを大切そうに収める。

 ーーそこには、類が知らないはずの大学生から現在の美羽の写真も含まれていた。

 玄関のインターホンが鳴り、類はスーツケースを閉めると立ち上がった。

「Hey, Rui! How's it going?」

 訪れたのは、ブラウン弁護士だった。
 美羽たちが帰国した後も、ブラウン弁護士とは何度かやりとりをしていた。殆どメールか電話だが、時にはブラウン弁護士が仕事の途中に立ち寄ったり、打ち合わせを兼ねて食事をしたこともあった。

 ブラウン弁護士は家の中を見回して大きなスーツケースに気づき、微笑んだ。

『すっかり旅立ちの準備が出来たようだな』
『えぇ。あとは貴方との最終確認だけです』

 ブラウン弁護士はソファに腰掛けると、早速鞄から書類を取り出した。

『ロイからこの家が売れたと聞いたよ、おめでとう』
『ありがとう』

 弁護士と一口に言ってもそれぞれ担当があり、ブラウン弁護士は主に遺産に関する手続きを扱い、同じ事務所に勤めているロイと呼ばれているマーチン弁護士はタイトルカンパニーと『Eskrow』の間に入って住宅売買の手続きを扱っている。

 『Eskrow』とは不動産引き渡しの事務手続きを一手に引き受ける第三者機関で、お金や権利証を当事者同士でやり取りすることがないので、不動産売買による詐欺やトラブルを防ぐことが出来ると、カリフォルニア州に住む殆どの人が不動産売買の際は『Eskrow』を利用している。

 類はブラウン弁護士の紹介により、マーチン弁護士と契約している『Eskrow』を紹介してもらい、家を売却したのだった。

『LA郊外で人気のあるエリアとはいえ、かなりの高値で売れたって、LAの不動産を相当扱ってきたロイもビックリしていたよ』
『ここにあるものも全部引き渡したからね』

 類の言葉に、ブラウン弁護士が一瞬口をつぐんでから、引き開いた。

『ルイ、本当に「Re-entry Permit(再入国許可証)」を申請しなくてもいいのか?』

『Re-entry Permit』とは、アメリカのグリーンカード保持者が他国に長い間滞在した時に、永住権を失わないためのシステムだ。通常、グリーンカードを保持するには『連続して180日以上米国外に滞在しない』ことが条件の1つとしてあげられているが、これを申請すると1回の申請で最長2年まで米国外に滞在することが出来る。
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