【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

文字の大きさ
168 / 498

162.取引

しおりを挟む
 美羽はその冷たく妖しい瞳にゾクリと身を捩らせた。

「類、まさか……」

 秘密を、暴露するつもりなの!?

「ねぇ、ミュー。
 ミューが僕と淫らな関係にあっただなんて、誰も思ってないんだろうねぇ」
「類!!」

 美羽の顔が引き攣る。

「ミューが何日も家に帰ってこなかったら、ヨシになんて言い訳していいか分かんないし、もしかしたらヨシがここにも連絡するかもね。

 そしたら、ヨシだけでなくここのみんなにも……僕たちの関係が知られちゃうかもしれない」

 困ったような表情を浮かべながらも、類の瞳は愉しそうに爛々と輝いていた。子供が無邪気に虫を引き千切るような残酷さがその瞳に垣間見え、美羽の背筋に悪寒が走る。

「やめ……お願い、やめて!!」

 類との過去を暴露されたら、私は唯一の癒しの場所と大切な人たちを失ってしまう……

 絶望の淵へと追い込まれながら、美羽は必死に縋り付くように類に懇願した。

「僕だってミューを困らせるようなこと、したくないよ。だって、ミューが大好きだもん」

 類はにっこりと微笑んだ。

「ミューは僕に、弟として振舞ってくれることを望んでるわけでしょ? 
 だったらミューも、姉として接してくれる?」
「え……」

 美羽の頭が混乱に陥る。普通の姉弟になることを類が望むはずなどない。それなのに、そんなことを言い出すなんて、そこに何かしらの計略が潜んでいるとしか思えなかった。

「もう決して逃げ出さないで。僕と普通に話して、普通に接して」
「わ、かった」

 あんなことがあった後で普通に話をして姉として接することが出来るのか自信はなかったが、やるしかない。それは、自分自身を守ることにも繋がるのだから。

 美羽が了承すると、類はグイと瞳を覗き込んだ。
 
「それから……僕が、ここの手伝いをするのを了承して」
「え。それは……」

 出来るはず、ないよ……

 俯いた美羽に、類の言葉が覆いかぶさってくる。

「じゃあミューは、彼らにどう言い訳するの? ただの皿洗いでもいいから手伝ってって困ってる人たちに、僕が既に引き受けてるのに、ミューはどうやってそれを断るつもり?
 下手な言い訳をすれば、ミューが僕のことを避けてるってことが明らかになって不審の目を向けられるよ」

 類の言う通りだ。美羽は類に働かせたくない一心で「ダメだ」と主張したが、今日は猫の手も借りたいぐらいの忙しさで、たとえ今日入った新人であろうと簡単な雑用をしてもらえるだけでかなり店にとって助かることは分かっている。

 私の我儘を押し通すわけには、いかない。

 類が顎をあげ、妖艶な表情で告げる。



「じゃあさ、ミューに選ばせてあげる。

 僕を今日ここで働かせる代わりに、カフェのみんなやヨシの前で僕に弟として振舞ってもらうか。
 それとも、僕を帰らせる代わりに……みんなに、あ、ヨシも含めたみんなって意味ね、僕たちの関係を暴露されるか……クスッ」



「そ、そんな……」

 そんな、選択肢……選べないよ。

 美羽は真っ青な顔で唇をブルブルと震わせた。

 今日、だけ……今日さえ乗り切れば、あとはなんとかなるはず。隼斗兄さんやかおりんや浩平くんも、時が経てば類のことは忘れて、気にしなくなるはず……

 でも本当に、類を働かせてもいいの? 他に道は、ないの?

 類が腕時計を人差し指でトントンと小突く。

「ほらほら、カフェのオープンまで時間ないよ。あと10秒! 9、8、7……」
「ま。待って……」

 けれど、類のカウントダウンは止まらない。焦っている間にどんどん時間は過ぎていく。

「3、2……」

 迫り来るタイムリミットを突きつけられ、美羽は瞳をギュッと瞑って覚悟した。
 
「お願い!! みんなには、私たちの関係は絶対に話さないで!!」
「ってことは、僕がここで働いてもいいってことだよね? わーっ、嬉しいな。僕、一度カフェで働いてみたかったんだよねー♪」

 パッと花が咲いたような笑顔を見せ、類が美羽に無邪気に飛びついた。

「フフッ、楽しみだなぁ」

 愉しげな類に、美羽の中から黒い感情が湧き出てくる。

「私を、恨んでるの? 憎んでるの?
 それほどに、私を苦しめたいの……類?」

 美羽の目尻に浮かんだ涙を類の指が掬い上げ、舌先でペロッと舐めた。

「何言ってるの? そんなわけないじゃーん。
 欠員が出て忙しいってことはミューも大変になるわけで、僕は弟としてミューを助けてあげたかっただけだよ。

 ね?……愛してるよ、お姉ちゃん♪」

 恐ろしいほどに美しい笑みを浮かべた類に、美羽の肌がゾクゾクと粟立った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...