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175.苦渋の選択 ー類sideー
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揃えた人差し指と中指をそっと唇に押し当て、美羽の感触を辿り、類は瞳を閉じた。
本物の感触に触れることは……叶わない、から。
あの夜、慈しむような瞳で優しく抱き締めてくれた。
『類のこと受け入れるから……優しく、して。
ちゃんと、愛し合いたい』
そう、言ってくれたのに……
ようやく想いが遂げられると信じていたのに。
それは、打ち砕かれてしまった。
『やっぱり私には……
類を受け入れることなんて、出来ない』
流れ込んできた美羽の思いには、悲哀が滲んでいた。
LINEのお知らせ音が鳴り、類はスマホを手に取った。
『潜入は順調』
たった一言の簡素なメールは、リョウからのものだった。類がスマホに指を滑らす。
『もっと深部にまで食い込んで。また報告よろしくね』
打ち終わって送信した途端、既読がついた。
リョウは、どこまで上手くやれるかな……
僕がいない中、ちゃんと意思を汲み取ってくれるといいけど。
長い睫毛を揺らし、細かく震わせた。
ミューが僕を受け入れられない元凶を断たない限り、ふたりの世界は始まることすら許されない。
あの女を、なんとかしないと……
空いた拳をギュッと握り締める。
リョウは指示通りに動いている。
そして、ヨシも……自分では気づいてないけど、僕の導く方向へと向かい始めてる。
そこまで考えて、クッと類は唇をきつく噛んだ。
これから僕は、どれだけミューを苦しめることになるんだろう。
そして、僕自身も。
きっと、何度もそれを後悔し、やめたいと思うに違いない。
苦しくて、憎らしくて、殺したいぐらいに憎悪の気持ちが膨らんで、それでも止めてあげることが出来ない。
僕は……悪魔に魂を売ってしまったんだ。
でもこれは、すべてミューのため。
そして、僕のためでもあるんだ。
これから僕たちが、永遠に一緒にいられるための苦渋の選択……
類のパソコンに、美羽の寝顔が映し出されている。抱き締めたい、愛撫したい衝動を抑え、類はガラス細工を愛でるように繊細な指先でそっと画面の美羽を撫でた。
「愛してるよ、ミュー。
たとえどんなことになろうと……僕のミューへの愛情は変わらない。
どうか、信じて……」
ネックレスの小さな鍵を握り締め、そう呟いた類の瞳は切なく揺れていた。
本物の感触に触れることは……叶わない、から。
あの夜、慈しむような瞳で優しく抱き締めてくれた。
『類のこと受け入れるから……優しく、して。
ちゃんと、愛し合いたい』
そう、言ってくれたのに……
ようやく想いが遂げられると信じていたのに。
それは、打ち砕かれてしまった。
『やっぱり私には……
類を受け入れることなんて、出来ない』
流れ込んできた美羽の思いには、悲哀が滲んでいた。
LINEのお知らせ音が鳴り、類はスマホを手に取った。
『潜入は順調』
たった一言の簡素なメールは、リョウからのものだった。類がスマホに指を滑らす。
『もっと深部にまで食い込んで。また報告よろしくね』
打ち終わって送信した途端、既読がついた。
リョウは、どこまで上手くやれるかな……
僕がいない中、ちゃんと意思を汲み取ってくれるといいけど。
長い睫毛を揺らし、細かく震わせた。
ミューが僕を受け入れられない元凶を断たない限り、ふたりの世界は始まることすら許されない。
あの女を、なんとかしないと……
空いた拳をギュッと握り締める。
リョウは指示通りに動いている。
そして、ヨシも……自分では気づいてないけど、僕の導く方向へと向かい始めてる。
そこまで考えて、クッと類は唇をきつく噛んだ。
これから僕は、どれだけミューを苦しめることになるんだろう。
そして、僕自身も。
きっと、何度もそれを後悔し、やめたいと思うに違いない。
苦しくて、憎らしくて、殺したいぐらいに憎悪の気持ちが膨らんで、それでも止めてあげることが出来ない。
僕は……悪魔に魂を売ってしまったんだ。
でもこれは、すべてミューのため。
そして、僕のためでもあるんだ。
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類のパソコンに、美羽の寝顔が映し出されている。抱き締めたい、愛撫したい衝動を抑え、類はガラス細工を愛でるように繊細な指先でそっと画面の美羽を撫でた。
「愛してるよ、ミュー。
たとえどんなことになろうと……僕のミューへの愛情は変わらない。
どうか、信じて……」
ネックレスの小さな鍵を握り締め、そう呟いた類の瞳は切なく揺れていた。
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