【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

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190.年内最後の営業日

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「あー、類くんいないね」
「厨房いっちゃってんだー。サーバーの方やればいいのに」
「せっかく来たのにね」

 年内最後の営業となる12月30日。今日も、類目当ての女子グループたちが店を賑わしている。

 類は基本、厨房で雑事をこなしてるのだが、ランチタイムにはヘルパーとして接客を手伝ってくれている。そのため、類目当てで通ってくる客たちも増えてきて、ランチタイムだけじゃなく、落ち着きを見せるカフェタイムでさえ満席になるほどだ。

 従業員側としては嬉しいが、個人的な心情としては複雑だった。

「美羽さーん、あと少しで2番のフルグラ出まーす」
「あ、ありがとう」

 カウンター越しに浩平に声を掛けられ、美羽はエスプレッソマシーンからカップを取り出した。

 カップルの女性の方が頼んでたよね……クマの絵柄にしようかな。

 ミルクスチーマーで少し緩めに泡立てておいたミルクフォームを手に取り、カップに慎重に丸く注ぎ込み、その中にもう一つ小さな丸を落とし込む。ラテアート用のピックを手に取り、周りの茶色のクレマ部分をインク替わりにして、鼻や目を描いていく。それから慎重にスプーンで泡を掬い、耳や手のパーツを描いた。
 時間が経てば経つほどに泡の形が変形し、冷めてしまうのでスピード勝負だ。表面を荒らさず、痛めないように素早く絵柄を描いていかなければならない。

 出来上がったクマの絵柄のカフェラテを、フルグラと共にトレイに載せた。

『フルグラ』とは『4種のベリーを添えたフルーツグラタン』の略で、熱々のアパレイユ(牛乳や卵などの材料を混ぜ合わせた生地)に入った、マスカルポーネと洋酒のちょっと大人なフレーバーが魅力の冬にぴったりなデザートで、バニラアイスが添えられている。

「お待たせしました。カフェラテと4種のベリーを添えたフルーツグラタンです」
「わぁっクマだぁ、可愛い♪」

 受け取った女性の顔が、途端に笑顔になる。

 良かった……喜んでもらえて。

 美羽もそれを受け、にっこりと微笑んだ。

 最初はフリーポアという、ミルクピッチャーからミルクを注ぐ動きが生み出す対流を利用してハートや葉っぱの絵柄を描くラテアートから練習し始め、今では複雑な絵を描くエッチングも出来るようになった。

 カラーを使った芸術的なエッチングや3Dラテアートまで作り出す萌に比べたらまだまだだが、美羽のラテアートもなかなか客から好評だ。

Lieuリュウ  deドゥ  detenteデタント 』はラテアートを売りにしているカフェではないのだが、萌がラテアートをやり始め、客から好評なのを受けて美羽や香織も自然と練習するようになった。それはひとえに、お客様に少しでも喜んでもらいたいという純粋な思いからだった。

 お陰で、今ではラテアートはこのカフェの名物のひとつとなっている。

 ちなみに芳子はラテアートが出来ず、そのまま普通に出したら苦情が出たため、彼女がカフェラテやエスプレッソの注文を取った時には、美羽か香織がラテアートをしていた。
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