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193.忘年会
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カフェのテーブルが2つ合わさり、オマール海老のビスク、シーフードのカクテルサラダ、柿のカプレーゼ、カボチャのキャセロール、ゴルゴンゾーラチーズのパスタ、ローストチキン、ミートローフ、トスカーナ風フライドポテト等、たくさんのご馳走が所狭しと並んでいる。
1年で最後の営業日には、店を閉めてから忘年会をやるのが毎年の恒例となっている。テーブルは奥から隼斗、香織、浩平、向かい側は美羽、類、萌が並んで座っていた。
「隼斗さーん、挨拶お願いしまっす!」
浩平に促され、隼斗がシャンパングラスを手に立ち上がる。皆は既にエプロンや帽子を外していて、萌にいたっては日常着である甘ロリドレスに着替えていたが、隼斗だけは帽子は外しているものの、コックコートを付けたままだった。
「皆1年、お疲れ様でした。今年は、『Lieu de detente 』にとって飛躍の1年だったように思う。店の集客率も上がったし、常連も増え、売上が大幅に上がった。それもひとえに、皆の努力のお陰だ。
特に、接客組はこちらから何も提案しなくてもひとりひとり自ら店の向上を目指して色々と働きかけてくれ、持ち帰り用の箱やラテアートなど、お客様から好評を頂いている。本当に、ありがとう」
隼斗が頭を下げると、香織は萌をチラッと盗み見た。
「まっ、あんま言いたくないけど、これは萌のお陰と言わざるをえないわね。箱のデザインしたのも、ラテアート始めたのも萌だし」
「うっそー、萌たんもしかしてかおたんに褒められてるぅ? 感激たーん!」
「ウザい返しがなければもっといいんだけど」
「うぐっ、かおたーん! つらみー!!」
萌は両人差し指を目の下に当て、泣き真似をした。
「そんなことするから、余計にかおりんに嫌われるんっすよ、萌たん」
浩平のツッコミに、萌が「ひどぉーい!!」と怒り出す。いつもならそんなやり取りを微笑ましく見つめている美羽だが、今日は隣に類が座っているせいか気持ちが落ち着かない。
隼斗がまだ話は終わっていないというように、咳払いをした。
「昨日芳子さんと電話で話したが、明日退院するものの、医者から出産まで安静にするよう言われているらしく、その後も半年は育児に専念したいとのことだった。ベテランが抜けたことで皆には負担を強いているが、新しく入ってきてくれた類くんと共に皆で力を合わせて今以上に店を盛り立ててくれると嬉しい。
じゃあ話はこれぐらいにして、楽しんでくれ。乾杯!」
シャンパングラスを掲げた隼斗に合わせ、皆も笑顔で『かんぱーい!』とコールし、グラスを重ね、甲高い音が店内に響き渡る。
「あーっ、今日はご馳走出ると思ってつまみ食いしてないから腹ペコっすよー!
早く食べましょ!」
待ちきれないというような浩平の言葉に、類がクスッと笑う。
「浩平くんのつまみ食いって全然摘んでないよね」
「うわっ、類くん! 大きい声で言わないっっ!!」
日を追うごとに二人の親密度は増しているように感じる。美羽に対して長年ずっと敬語の浩平が、類に対しては言葉を崩し始めている。
浩平の慌てた声は、一番遠く離れているはずの隼斗の耳にしっかり届いていた。
「おい浩平。お前の食べた分、給料天引きな」
「隼斗さーん、勘弁してくださいよー! まだ学生ローンも払い終わってないんすからー」
浩平は隼斗の元で働くにつれて調理補助だけでなくもっと本格的なことを学びたいと調理師学校に通い、1年かけて卒業し、調理師免許を取った。親からの援助は一切受けず、隼斗が一部負担したものの残りは全て学生ローンを組み、現在も返済中だ。ローンが払い終わったら、今度はパティシエ・ブランジェクラスを受講するつもりでいる。
1年で最後の営業日には、店を閉めてから忘年会をやるのが毎年の恒例となっている。テーブルは奥から隼斗、香織、浩平、向かい側は美羽、類、萌が並んで座っていた。
「隼斗さーん、挨拶お願いしまっす!」
浩平に促され、隼斗がシャンパングラスを手に立ち上がる。皆は既にエプロンや帽子を外していて、萌にいたっては日常着である甘ロリドレスに着替えていたが、隼斗だけは帽子は外しているものの、コックコートを付けたままだった。
「皆1年、お疲れ様でした。今年は、『Lieu de detente 』にとって飛躍の1年だったように思う。店の集客率も上がったし、常連も増え、売上が大幅に上がった。それもひとえに、皆の努力のお陰だ。
特に、接客組はこちらから何も提案しなくてもひとりひとり自ら店の向上を目指して色々と働きかけてくれ、持ち帰り用の箱やラテアートなど、お客様から好評を頂いている。本当に、ありがとう」
隼斗が頭を下げると、香織は萌をチラッと盗み見た。
「まっ、あんま言いたくないけど、これは萌のお陰と言わざるをえないわね。箱のデザインしたのも、ラテアート始めたのも萌だし」
「うっそー、萌たんもしかしてかおたんに褒められてるぅ? 感激たーん!」
「ウザい返しがなければもっといいんだけど」
「うぐっ、かおたーん! つらみー!!」
萌は両人差し指を目の下に当て、泣き真似をした。
「そんなことするから、余計にかおりんに嫌われるんっすよ、萌たん」
浩平のツッコミに、萌が「ひどぉーい!!」と怒り出す。いつもならそんなやり取りを微笑ましく見つめている美羽だが、今日は隣に類が座っているせいか気持ちが落ち着かない。
隼斗がまだ話は終わっていないというように、咳払いをした。
「昨日芳子さんと電話で話したが、明日退院するものの、医者から出産まで安静にするよう言われているらしく、その後も半年は育児に専念したいとのことだった。ベテランが抜けたことで皆には負担を強いているが、新しく入ってきてくれた類くんと共に皆で力を合わせて今以上に店を盛り立ててくれると嬉しい。
じゃあ話はこれぐらいにして、楽しんでくれ。乾杯!」
シャンパングラスを掲げた隼斗に合わせ、皆も笑顔で『かんぱーい!』とコールし、グラスを重ね、甲高い音が店内に響き渡る。
「あーっ、今日はご馳走出ると思ってつまみ食いしてないから腹ペコっすよー!
早く食べましょ!」
待ちきれないというような浩平の言葉に、類がクスッと笑う。
「浩平くんのつまみ食いって全然摘んでないよね」
「うわっ、類くん! 大きい声で言わないっっ!!」
日を追うごとに二人の親密度は増しているように感じる。美羽に対して長年ずっと敬語の浩平が、類に対しては言葉を崩し始めている。
浩平の慌てた声は、一番遠く離れているはずの隼斗の耳にしっかり届いていた。
「おい浩平。お前の食べた分、給料天引きな」
「隼斗さーん、勘弁してくださいよー! まだ学生ローンも払い終わってないんすからー」
浩平は隼斗の元で働くにつれて調理補助だけでなくもっと本格的なことを学びたいと調理師学校に通い、1年かけて卒業し、調理師免許を取った。親からの援助は一切受けず、隼斗が一部負担したものの残りは全て学生ローンを組み、現在も返済中だ。ローンが払い終わったら、今度はパティシエ・ブランジェクラスを受講するつもりでいる。
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