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302.初めて、認めてくれた人
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ナルシストであるなら、ゲイではないはず。それなら、この男に襲われる心配はないだろう。いや、これほどの美人なら、たとえ同性であっても相手に困ることはない。現に、取り巻きの中には男も少なからず混じっていた。
どうして、僕なんかに興味を持つんだ。
リョウは落ち着きなく視線を泳がせたが、 ルイが彼の顎をくいと持ち上げ、阻止した。現実離れした端正な顔立ちに妖しげな雰囲気を纏ったルイの顔が目の前に近づき、リョウの鼓動が激しく高鳴る。あの映像が脳の中で再び鮮烈に浮かび、記憶の海馬に強く刻み込まれる。
ルイは濡羽色の美しい前髪を搔きあげ、リョウの鼻先まで迫った。
「ねぇ……どうして僕に、双子の姉がいるって知ってるの?」
『双子の姉』と聞き、リョウはハッと目を見開いた。それなら、同じ顔がもうひとりいたわけも、相手が異性であったことも納得がいく。
……だが、そうなると、ルイは双子である姉と、そういう関係にあるということになる。
リョウの背筋に悪寒が走った。遠くから見つめていた時には見えなかったルイのオーラが、今ははっきり見える。感じる。
彼の力強く光り輝く豪奢なオーラは、禍々しい黒い影に覆われていた。そこには、とんでもない深い闇を感じた。
「ねぇ、答えてよ。同じ顔がふたりって、ミューのことをあんた知ってるの?」
「し、知らないっっ!! 知りま、せんっっ!!」
リョウはブルブル震えながら、必死に首を振った。彼の黒いオーラが炎のようにメラメラと燃えながら、リョウに迫ってくる。
「ねぇ、ミューのことをどこで知ったの? 今、どこで何してるか知ってるの?」
鬼気迫るルイに詰め寄られ、後退りしたリョウは壁に追い詰められた。
「ほ、ほんとに知らない! 会ったこともないんだ、本当だ!!」
黒い禍々しいオーラが、リョウにまで侵食してくる。
熱いっっ!! 痛いっっ!!
リョウは必死で手を振り払い、それを追いやろうとした。いつもなら、寄ってくる黒いオーラなど一払いで十分なのに、彼のオーラはリョウの霊力をもってしても強大で、振り払っても振り払っても、放たれるオーラに次々と絡みとられる。
「でも、君はもうひとり、僕と同じ顔があることを知ってる。
そうでしょ?」
暗闇に光る猫のような鋭い眼差しが、刃のようにリョウを貫く。
すると突然、ルイのオーラの炎が小さく柔らかくなり、侵食がピタッと止まった。
「大丈夫、恐れないで。僕は恐れない。
僕が恐れているのは君じゃない、別のものなんだから」
無意識なのかもしれないけど……彼は、自分のオーラをコントロールできるのか。
闇夜にひいたレースカーテンのような美しいオブシディアンの宝石色をした大きなルイの瞳がリョウの顔を飲み込み、ドクンと心臓がスキップする。ルイの言う通り、彼の瞳にはなんの恐れも侮蔑も憐れみも映し出していない。
美しくて深い……けれど、哀しげな瞳だ。
こんなオーラ、今まで感じたことがない。なんて強大で脆くて、危険なんだ。
この、人は……違う。今までに出会ったどんな人間とも、違う。
ルイなら自分のことを理解してもらえるという確信ともいうべき思いが、フツフツと内側から湧いてくる。
ついにリョウは、観念して頷いた。
「み、見えたんだ……ぶつかった時に。あなたと、もうひとり同じ顔の女性が……いる、ところが」
さすがに裸で抱き合っていたとは、言えなかった。
「そうか、君にはそんな能力があるんだね」
リョウは口をぽかんと開け、ルイを見つめた。まるでそんなことは何でもないと言うように受け止めるルイに、驚きを隠せなかった。
「……驚か、ないの? 気味悪がらないの?
ど、どうして僕の言葉をそう素直に……平然と、受け止められるの!?」
「フフッ。なに? 自分で言い出した癖に、疑って欲しいわけ?」
ルイは魅惑的な笑みを見せてから、答えた。
「君とはちょっと違うけど、僕もさ……生まれた時からミュー。あ、ミューっていうのは僕の双子の姉さんのことね、と繋がってる感覚があって。まぁ一部の双子にはあるらしいんだけど、離れてても相手の痛みが伝わってきたり、同じこと考えてたり、同じものを買ったり。それに、テレパシーみたいな感じで相手の意識とも繋がったりね。
だから、君みたいな能力がある人のことも、別に不思議とは感じないよ」
双子には特別な絆があり、不思議な共通点があると聞いたことはあったが、実際にルイからの話を聞き、強く心を惹かれた。それは、リョウの霊力とは異なるものではあるが、ルイはリョウに対して理解を示すだけでなく、仲間意識まで持ってくれた。
そんな人間は、初めてだった。
どうして、僕なんかに興味を持つんだ。
リョウは落ち着きなく視線を泳がせたが、 ルイが彼の顎をくいと持ち上げ、阻止した。現実離れした端正な顔立ちに妖しげな雰囲気を纏ったルイの顔が目の前に近づき、リョウの鼓動が激しく高鳴る。あの映像が脳の中で再び鮮烈に浮かび、記憶の海馬に強く刻み込まれる。
ルイは濡羽色の美しい前髪を搔きあげ、リョウの鼻先まで迫った。
「ねぇ……どうして僕に、双子の姉がいるって知ってるの?」
『双子の姉』と聞き、リョウはハッと目を見開いた。それなら、同じ顔がもうひとりいたわけも、相手が異性であったことも納得がいく。
……だが、そうなると、ルイは双子である姉と、そういう関係にあるということになる。
リョウの背筋に悪寒が走った。遠くから見つめていた時には見えなかったルイのオーラが、今ははっきり見える。感じる。
彼の力強く光り輝く豪奢なオーラは、禍々しい黒い影に覆われていた。そこには、とんでもない深い闇を感じた。
「ねぇ、答えてよ。同じ顔がふたりって、ミューのことをあんた知ってるの?」
「し、知らないっっ!! 知りま、せんっっ!!」
リョウはブルブル震えながら、必死に首を振った。彼の黒いオーラが炎のようにメラメラと燃えながら、リョウに迫ってくる。
「ねぇ、ミューのことをどこで知ったの? 今、どこで何してるか知ってるの?」
鬼気迫るルイに詰め寄られ、後退りしたリョウは壁に追い詰められた。
「ほ、ほんとに知らない! 会ったこともないんだ、本当だ!!」
黒い禍々しいオーラが、リョウにまで侵食してくる。
熱いっっ!! 痛いっっ!!
リョウは必死で手を振り払い、それを追いやろうとした。いつもなら、寄ってくる黒いオーラなど一払いで十分なのに、彼のオーラはリョウの霊力をもってしても強大で、振り払っても振り払っても、放たれるオーラに次々と絡みとられる。
「でも、君はもうひとり、僕と同じ顔があることを知ってる。
そうでしょ?」
暗闇に光る猫のような鋭い眼差しが、刃のようにリョウを貫く。
すると突然、ルイのオーラの炎が小さく柔らかくなり、侵食がピタッと止まった。
「大丈夫、恐れないで。僕は恐れない。
僕が恐れているのは君じゃない、別のものなんだから」
無意識なのかもしれないけど……彼は、自分のオーラをコントロールできるのか。
闇夜にひいたレースカーテンのような美しいオブシディアンの宝石色をした大きなルイの瞳がリョウの顔を飲み込み、ドクンと心臓がスキップする。ルイの言う通り、彼の瞳にはなんの恐れも侮蔑も憐れみも映し出していない。
美しくて深い……けれど、哀しげな瞳だ。
こんなオーラ、今まで感じたことがない。なんて強大で脆くて、危険なんだ。
この、人は……違う。今までに出会ったどんな人間とも、違う。
ルイなら自分のことを理解してもらえるという確信ともいうべき思いが、フツフツと内側から湧いてくる。
ついにリョウは、観念して頷いた。
「み、見えたんだ……ぶつかった時に。あなたと、もうひとり同じ顔の女性が……いる、ところが」
さすがに裸で抱き合っていたとは、言えなかった。
「そうか、君にはそんな能力があるんだね」
リョウは口をぽかんと開け、ルイを見つめた。まるでそんなことは何でもないと言うように受け止めるルイに、驚きを隠せなかった。
「……驚か、ないの? 気味悪がらないの?
ど、どうして僕の言葉をそう素直に……平然と、受け止められるの!?」
「フフッ。なに? 自分で言い出した癖に、疑って欲しいわけ?」
ルイは魅惑的な笑みを見せてから、答えた。
「君とはちょっと違うけど、僕もさ……生まれた時からミュー。あ、ミューっていうのは僕の双子の姉さんのことね、と繋がってる感覚があって。まぁ一部の双子にはあるらしいんだけど、離れてても相手の痛みが伝わってきたり、同じこと考えてたり、同じものを買ったり。それに、テレパシーみたいな感じで相手の意識とも繋がったりね。
だから、君みたいな能力がある人のことも、別に不思議とは感じないよ」
双子には特別な絆があり、不思議な共通点があると聞いたことはあったが、実際にルイからの話を聞き、強く心を惹かれた。それは、リョウの霊力とは異なるものではあるが、ルイはリョウに対して理解を示すだけでなく、仲間意識まで持ってくれた。
そんな人間は、初めてだった。
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