【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

文字の大きさ
322 / 498

316.義母に近づく弟の罠

しおりを挟む
 扉をそっと開けると、皆の視線が向けられた。

 あぁ……ついに、お義母さんが類に会っちゃったんだ。

 じっとりと背中が汗で濡れる。

「ミュー!! おかえりぃ」

 類がにっこりと美羽に微笑みかけた。もう、彼からは怒りは感じられない。安堵しつつ、「ただいま……」と返した。

「美羽、ひとりで行かせて済まなかったな。ご両親は、お元気だったか?」
「う、ん……変わり、ないよ」

 義昭も、機嫌がいいようだ。自分ひとりだけ蚊帳の外にいるような気がして立ち尽くしていると、琴子が美羽に歩み寄り、ダイニングテーブルへと導いた。

「美羽さん、せっかくご両親に会えたんだから、もっとゆっくりしてきても良かったのよ?
 ほらほら、座って。今、お茶入れるわねぇ」
「そんな、お義母さん! 私が……」
「大丈夫だから、ゆっくりしていて」

 諭されるように言われ、美羽は大人しく座った。自分の家なのにお客様扱いされて、居心地悪く感じる。

「ヨシママ、僕も手伝うよ」
「あらぁん、悪いわねぇ、類くん♪」

 ぇ。ヨシママって……お義母さんのこと!?
 出会ったばかりのはずなのに、もうそんな呼び方をしているの!?

 琴子は目尻をぐっと下げ、類に微笑んでいた。

 類と琴子の様子が気になりつつ、義昭とふたり取り残された美羽は、口を開いた。

「類、いつ帰ってきたの?」

 予定では、明日の夜に帰ってくるはずだったのに……

「今朝早く、帰ってきたんだ。僕も驚いたよ」

 その言葉を聞き、美羽は息を呑んだ。

 まさか、私たちの関係がバレて居づらくなって帰ってきた、なんてことはないよね? 類のことだから、なんとか上手く誤魔化してるはずだよね?

 でも……あの時の類の怒りようは、異常だった。

 そこで、スマホの電源を教団に預けた時からずっと落としたままで、返してもらってからもつけていなかったことに気づいた。

「ちょ、ちょっと……お手洗いに」

 美羽はテーブルの下に置かれたボストンバッグから素早くスマホを抜き取るとポケットに入れ、そそくさとお手洗いに向かった。

 電源を入れると、立ち上がる音が大きく響き、慌てて美羽は水を流して誤魔化した。

 LINEには、30件以上のメッセージが入っていた。一番遠い過去の未読から遡り、丁寧にメッセージを追っていく。

 やはり、美羽との電話の後、類はかなり荒れていたようで、誰とも口を聞かなかったらしい。スキーやスノーボードに誘っても部屋に閉じこもったきりで、食事すら摂らなかったのだとか。

 それほどまでに自分と隼斗が一緒にいたことにショックを受け、嫉妬していたのかと思うと嬉しい気持ちが湧き上がったが、それ以上に不安な気持ちも掻き立てられた。

『類くんって美羽さんのこと、大好きなんすね』
『ちょっとー、類くん。いくら弟とはいえ、心配し過ぎじゃない?』
『むー、類たん帰っちゃったん。萌たん、つまんないたーん!! 美羽たん、なんとかしてぇっっ!!』

 そんなメッセージを読む度に、胃がキュゥッと縮まっていき、キリキリと絞られる。

 そうだよね……こんなの、普通の姉弟の反応じゃない。
 みんな、私たちの関係に気付き始めてるかもしれない。疑われてるかもしれない。

 どう、しよう。どんな顔をして、仕事に行けばいいの?

 悶々としながらお手洗いを出て席に戻ると、琴子がお茶と茶菓子を運んできた。

「すみません、お義母さん……」

 恐縮しながらお辞儀すると、視界に芋羊羹が映った。美羽の視線に気づいた琴子が頰を緩める。

「これねぇ、類くんが買ってきてくれたのよ。私が芋羊羹が好きだってこと、美羽さんが類くんに話してくれたんですってねぇ? フフッ」
「ぇ……」

 そんな、こと……話したことないどころか、お義母さんの話すらしたことないのに。
 それ、だけじゃない。どうして類は、義昭さんの家にお義母さんがいることを知っていたの!?

「えぇ、まぁ……」

 美羽は、引き攣った笑いを浮かべながら、恐怖に慄いた。



 いったい類は、どこまで私と周囲のことを知っているの? 全ての行動を何年も……もしかしたら、義昭さんと出会う前から把握していたの?

 類の考えていることが、全然分からない……



 考えれば考えるほどに、出口のない迷路に閉じ込められているような気持ちになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...