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聖夜のプレゼント
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最後にモルテッソーニが舞台袖から悠然と歩いてくると、客席にいた全員が立ち上がった。大喝采を浴びながら彼は舞台の真ん中に立った。
モルテッソーニの演奏曲はプログラムに記載されておらず、観客達は「ピアノ界の巨匠」がいったい何の曲を演奏するのか、期待に胸を膨らませていた。
マイクが用意され、モルテッソーニが観客に向かって挨拶をする。立ち姿からだけでも荘厳な雰囲気と力強いオーラを感じた。
隣にいた凛子が美姫に通訳をしてくれる。ドイツに支社を持ち、傘下企業も多くある来栖財閥において、商談を進める上で、凛子は秘書としてだけでなく、ドイツ語の通訳も担っている。
「今日は皆さん、私の主宰するチャリティーコンサートへようこそ。クリスマスイブをこうして共に過ごせる喜びを噛み締めています。
これからクリスマスキャロルを演奏しますので、どうぞ皆さん立って一緒に斉唱して下さい、ですって」
まさか自分たちもコンサートに加わるとは思っていなかった人々は一瞬騒めいたが、モルテッソーニの言葉に従い、観客全員が彼がピアノの前に座っても立ったまま、曲が始まるのを待った。
誰もが知っている賛美歌の歌が流れ、皆が一斉に歌い出す。会場が一体となって歌声が天高くまで響き渡り、美しいピアノの旋律とともに心が震えるような感動を呼び起こす。
美姫は全身に鳥肌が立ち、感動で足が震えるのを感じた。
なんて素晴らしい一体感......すごい、すごい、すごい......
神殿のようなコンサートホールは神々しく静粛な空気に包まれた。神を祝福する歌を歌う自分たちが、まるで天上の世界にいるかのように美姫は感じた。
最後に全員が舞台に立って挨拶をすると、観客全員がスタンディング・オベーションで迎え、今まで以上の大喝采が湧き、拍手がいつまでも鳴り止まない。---アンコールのリクエストだ。
それに応えて全員が一旦舞台袖へと去り、再び戻ってきた時にはザックはクラリネット、カミルはチェロ、レナードはヴァイオリン、ミシェルはフルートを手にしていた。
レナードだけでなく、ザックやカミル、ミシェルもピアノ以外の楽器を演奏できるんだ、凄い......
秀一とモルテッソーニはピアノの前に二人で腰掛け、モルテッソーニの合図で演奏が始まった。
途端に会場からは「ワァッ」とどよめきが響いた。
子供の頃によく歌っていたクリスマスソングの楽曲が流れる。
モルテッソーニ始め、演奏している皆の表情は明るくイキイキとしており、心から音楽を愛し、楽しんでいるのが伝わってきた。美姫は秀一のその表情を見て、胸が痛み、嫉妬が湧き上がってくる。
秀一が彼らと共に遠くに行ってしまうのではないかという不安が押し寄せ、美姫は手を胸の前で握った。
こんなに秀一さんが楽しそうにしているのに、それを心から喜ぶことが出来ないなんて......
自分の独占欲と嫉妬深さに呆れてしまう。
そんな美姫の気持ちとは裏腹に、観客たちは心ゆくまでクリスマスイブの夕べを堪能した。
モルテッソーニの演奏曲はプログラムに記載されておらず、観客達は「ピアノ界の巨匠」がいったい何の曲を演奏するのか、期待に胸を膨らませていた。
マイクが用意され、モルテッソーニが観客に向かって挨拶をする。立ち姿からだけでも荘厳な雰囲気と力強いオーラを感じた。
隣にいた凛子が美姫に通訳をしてくれる。ドイツに支社を持ち、傘下企業も多くある来栖財閥において、商談を進める上で、凛子は秘書としてだけでなく、ドイツ語の通訳も担っている。
「今日は皆さん、私の主宰するチャリティーコンサートへようこそ。クリスマスイブをこうして共に過ごせる喜びを噛み締めています。
これからクリスマスキャロルを演奏しますので、どうぞ皆さん立って一緒に斉唱して下さい、ですって」
まさか自分たちもコンサートに加わるとは思っていなかった人々は一瞬騒めいたが、モルテッソーニの言葉に従い、観客全員が彼がピアノの前に座っても立ったまま、曲が始まるのを待った。
誰もが知っている賛美歌の歌が流れ、皆が一斉に歌い出す。会場が一体となって歌声が天高くまで響き渡り、美しいピアノの旋律とともに心が震えるような感動を呼び起こす。
美姫は全身に鳥肌が立ち、感動で足が震えるのを感じた。
なんて素晴らしい一体感......すごい、すごい、すごい......
神殿のようなコンサートホールは神々しく静粛な空気に包まれた。神を祝福する歌を歌う自分たちが、まるで天上の世界にいるかのように美姫は感じた。
最後に全員が舞台に立って挨拶をすると、観客全員がスタンディング・オベーションで迎え、今まで以上の大喝采が湧き、拍手がいつまでも鳴り止まない。---アンコールのリクエストだ。
それに応えて全員が一旦舞台袖へと去り、再び戻ってきた時にはザックはクラリネット、カミルはチェロ、レナードはヴァイオリン、ミシェルはフルートを手にしていた。
レナードだけでなく、ザックやカミル、ミシェルもピアノ以外の楽器を演奏できるんだ、凄い......
秀一とモルテッソーニはピアノの前に二人で腰掛け、モルテッソーニの合図で演奏が始まった。
途端に会場からは「ワァッ」とどよめきが響いた。
子供の頃によく歌っていたクリスマスソングの楽曲が流れる。
モルテッソーニ始め、演奏している皆の表情は明るくイキイキとしており、心から音楽を愛し、楽しんでいるのが伝わってきた。美姫は秀一のその表情を見て、胸が痛み、嫉妬が湧き上がってくる。
秀一が彼らと共に遠くに行ってしまうのではないかという不安が押し寄せ、美姫は手を胸の前で握った。
こんなに秀一さんが楽しそうにしているのに、それを心から喜ぶことが出来ないなんて......
自分の独占欲と嫉妬深さに呆れてしまう。
そんな美姫の気持ちとは裏腹に、観客たちは心ゆくまでクリスマスイブの夕べを堪能した。
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