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不慮の事故
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「どうして、直がここに……」
ショックを受ける僕同様、直もまた、ショックを受けていた。
「ゆ……き、お兄……ちゃ、ま……その、格好……」
直に言われ、僕は初めて自分が裸で手を拘束され、コックリングをつけた状態でいたことを思い出した。
勝太、ロイヤル、ダリア、創一様とは躰を重ねているけど、僕は直に対してはプラトニックな純愛を貫いている。
体格がいいからといって、直は10歳だ。いくら僕が淫らで快楽に弱いからと言って、直の躰を抱こうとは思わない。
直は僕の天使だから。厭らしくて穢れている自分を見せないようにしてたんだ。直には、いつまでも清くて純粋で、僕の隣で優しく笑っていて欲しかったから。
「な、に……こ、れ……」
直の顔が蒼白になっていく。
「……誰かに、酷いことされたの?」
「ち、違うんだ、直……」
上擦った声で聞く直に、カラカラに乾いて引っ付きそうな喉から声を絞り出して答える。
どう、しよう……また、直が壊れちゃう。
創一様はどこに行っちゃったの? あの時みたいに、助けてよ。
早く、早く……僕の元に、現れて……
直は、全身を震わせた。
「お母さん……お母さんに、されたんだ」
「違う!これは、虐待なんかじゃない! 僕は……ただ、遊んでただけなんだ」
「僕が、いい子じゃないから……それで、お母さんが怒って……お母さんが、僕なんか産まなければよかったって」
直は僕の目の前にいるのに、僕を通り越して過去の自分を見ていた。全身を震わせ、恐怖に怯えている。
僕は急いで縄を外そうと藻掻いたけど、しっかりと結ばれたそれは安易には解くことが出来ない。
直の傍に行き、安心させるように笑顔を見せた。
「ほら、僕は全然痛いことなんてされてないよ。大丈夫だよ、直。安心して?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、お母さん……いい子にするから、僕いい子にするから……ぶたないで、お願い……」
直は躰を小さくし、自らの躰を抱き締めた。
「直、お願いだから落ち着いて……病院に、病院に行こう?」
『病院』という言葉を聞き、直は大きく躰を震わせた。
「や、やだ……こ、こわ……病院、行きたくない……ウッウッ……ヒクッ」
やがて直は床に倒れると、激しく痙攣し始めた。空いた口をパクパクさせ、泡を吹き出している。
「直!直!しっかりして!!直ーーっっ!!」
必死で呼びかけるけど、直は白目を剥いたまま痙攣し続けた。
「ウッ……ウゥッ……ゃ、やだ……直……ウゥッ」
助けて。
誰でもいいから、助けてよ……
ショックを受ける僕同様、直もまた、ショックを受けていた。
「ゆ……き、お兄……ちゃ、ま……その、格好……」
直に言われ、僕は初めて自分が裸で手を拘束され、コックリングをつけた状態でいたことを思い出した。
勝太、ロイヤル、ダリア、創一様とは躰を重ねているけど、僕は直に対してはプラトニックな純愛を貫いている。
体格がいいからといって、直は10歳だ。いくら僕が淫らで快楽に弱いからと言って、直の躰を抱こうとは思わない。
直は僕の天使だから。厭らしくて穢れている自分を見せないようにしてたんだ。直には、いつまでも清くて純粋で、僕の隣で優しく笑っていて欲しかったから。
「な、に……こ、れ……」
直の顔が蒼白になっていく。
「……誰かに、酷いことされたの?」
「ち、違うんだ、直……」
上擦った声で聞く直に、カラカラに乾いて引っ付きそうな喉から声を絞り出して答える。
どう、しよう……また、直が壊れちゃう。
創一様はどこに行っちゃったの? あの時みたいに、助けてよ。
早く、早く……僕の元に、現れて……
直は、全身を震わせた。
「お母さん……お母さんに、されたんだ」
「違う!これは、虐待なんかじゃない! 僕は……ただ、遊んでただけなんだ」
「僕が、いい子じゃないから……それで、お母さんが怒って……お母さんが、僕なんか産まなければよかったって」
直は僕の目の前にいるのに、僕を通り越して過去の自分を見ていた。全身を震わせ、恐怖に怯えている。
僕は急いで縄を外そうと藻掻いたけど、しっかりと結ばれたそれは安易には解くことが出来ない。
直の傍に行き、安心させるように笑顔を見せた。
「ほら、僕は全然痛いことなんてされてないよ。大丈夫だよ、直。安心して?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、お母さん……いい子にするから、僕いい子にするから……ぶたないで、お願い……」
直は躰を小さくし、自らの躰を抱き締めた。
「直、お願いだから落ち着いて……病院に、病院に行こう?」
『病院』という言葉を聞き、直は大きく躰を震わせた。
「や、やだ……こ、こわ……病院、行きたくない……ウッウッ……ヒクッ」
やがて直は床に倒れると、激しく痙攣し始めた。空いた口をパクパクさせ、泡を吹き出している。
「直!直!しっかりして!!直ーーっっ!!」
必死で呼びかけるけど、直は白目を剥いたまま痙攣し続けた。
「ウッ……ウゥッ……ゃ、やだ……直……ウゥッ」
助けて。
誰でもいいから、助けてよ……
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