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再会
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僕は、貴之叔父さんの顔に近づき、内緒話するように小さな声で囁いた。
「じゃあ、糸子おばさんの死が事故じゃなくて、ガソリンを自らかぶっての焼身自殺だったってことも知ってる?」
「なんだって!?」
あまりの衝撃に大声を上げた叔父さんに、僕はシーっと人差し指を唇に当てた。
まだ、ドラマは始まったばかりなんだから。静かに鑑賞してくれなきゃ、困るよ。
「はい、ここでクイズです。糸子おばさんは、なんで焼身自殺をしたのでしょうか」
可愛く首を傾けてみたけど、叔父さんの視界には僕は映ってないみたいだ。貴之叔父さんは膝をガクガクと小刻みに震わせ、口を手で覆った。
「糸子が……糸子が、焼身自殺……僕の……僕の、せい……なのか……?」
「うーん、惜しい! 半分正解で、半分間違いだよ。
答えはね、ストレスをぶつける対象だった直貴がいなくなって、酒を大量に飲むようになって、精神錯乱の末に自殺したってのが正解!」
貴之叔父さんが顔を上げ、僕を悲愴な表情で見つめる。
「直貴は……虐待を、受けてたのか?」
まったく、これでもほんとに父親なの? って、どんな人が父親としてふさわしいのかなんて、僕には分かんないけど。
「叔父さん、知らなかったの? 僕が直貴が虐待されてることに気づいたのは、まだ小等部に上がる前……そう、叔父さんがまだ分家にいた頃だよ」
「そ、んな……」
愕然とする彼に、僕は容赦なく追い打ちをかける。
「きっとその頃の叔父さんは、外でのロマンスが大事でそれどころじゃなかったんだよね? 家でストレスに狂う母親から虐待されてる自分の子供のことなんて、これっぽっちも考えられないぐらいに、恋愛が大事だったんでしょ?
直貴はそんな辛さを父親にも、僕にすら話すことが出来ず、ひとり抱えて苦しんでたんだ……たった、5歳の身で」
「ック……」
「叔父さんが家を出てからは、虐待は更に酷くなっていったよ。それだけじゃない。直貴は自傷行為すら、するようになっていったんだ」
貴之叔父さんは大きく肩を震わせ、嗚咽を飲み込んだ。
目を逸らさないで。まだ、最大の山場が待ってるんだから……
「そして……そんな苦しみから逃れるため、直貴に別の人格が芽生えたんだ」
「な、に……?」
貴之叔父さんは眉を顰め、怪訝な顔をした。
「直貴はね、多重人格者なんだ」
ポカンと口を開ける貴之叔父さんに、思わず笑ってしまう。人間ってほんとに驚いた時って間抜けな顔になるもんだよねぇ。お祖父様の時のこと、思い出しちゃった。
そうそう、またここで使う機会が出来たじゃん。
僕はスマホを取り出した。
「紹介するね。直貴の中にいる彼らを……」
画像と共に僕の紹介を聞き終えた貴之叔父さんは、頭を抱えた。
「信じ、られない……」
うん。信じたくないんだよね。
「でも、真実だよ。彼らはそれぞれ独立した人格なんだ。
直貴とは、違う」
貴之叔父さんは抱えた頭に指を強く差し込み、髪の毛を掻き乱した。
あーあ、これじゃ仕事に差し支えあるんじゃない?
「じゃあ、糸子おばさんの死が事故じゃなくて、ガソリンを自らかぶっての焼身自殺だったってことも知ってる?」
「なんだって!?」
あまりの衝撃に大声を上げた叔父さんに、僕はシーっと人差し指を唇に当てた。
まだ、ドラマは始まったばかりなんだから。静かに鑑賞してくれなきゃ、困るよ。
「はい、ここでクイズです。糸子おばさんは、なんで焼身自殺をしたのでしょうか」
可愛く首を傾けてみたけど、叔父さんの視界には僕は映ってないみたいだ。貴之叔父さんは膝をガクガクと小刻みに震わせ、口を手で覆った。
「糸子が……糸子が、焼身自殺……僕の……僕の、せい……なのか……?」
「うーん、惜しい! 半分正解で、半分間違いだよ。
答えはね、ストレスをぶつける対象だった直貴がいなくなって、酒を大量に飲むようになって、精神錯乱の末に自殺したってのが正解!」
貴之叔父さんが顔を上げ、僕を悲愴な表情で見つめる。
「直貴は……虐待を、受けてたのか?」
まったく、これでもほんとに父親なの? って、どんな人が父親としてふさわしいのかなんて、僕には分かんないけど。
「叔父さん、知らなかったの? 僕が直貴が虐待されてることに気づいたのは、まだ小等部に上がる前……そう、叔父さんがまだ分家にいた頃だよ」
「そ、んな……」
愕然とする彼に、僕は容赦なく追い打ちをかける。
「きっとその頃の叔父さんは、外でのロマンスが大事でそれどころじゃなかったんだよね? 家でストレスに狂う母親から虐待されてる自分の子供のことなんて、これっぽっちも考えられないぐらいに、恋愛が大事だったんでしょ?
直貴はそんな辛さを父親にも、僕にすら話すことが出来ず、ひとり抱えて苦しんでたんだ……たった、5歳の身で」
「ック……」
「叔父さんが家を出てからは、虐待は更に酷くなっていったよ。それだけじゃない。直貴は自傷行為すら、するようになっていったんだ」
貴之叔父さんは大きく肩を震わせ、嗚咽を飲み込んだ。
目を逸らさないで。まだ、最大の山場が待ってるんだから……
「そして……そんな苦しみから逃れるため、直貴に別の人格が芽生えたんだ」
「な、に……?」
貴之叔父さんは眉を顰め、怪訝な顔をした。
「直貴はね、多重人格者なんだ」
ポカンと口を開ける貴之叔父さんに、思わず笑ってしまう。人間ってほんとに驚いた時って間抜けな顔になるもんだよねぇ。お祖父様の時のこと、思い出しちゃった。
そうそう、またここで使う機会が出来たじゃん。
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画像と共に僕の紹介を聞き終えた貴之叔父さんは、頭を抱えた。
「信じ、られない……」
うん。信じたくないんだよね。
「でも、真実だよ。彼らはそれぞれ独立した人格なんだ。
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貴之叔父さんは抱えた頭に指を強く差し込み、髪の毛を掻き乱した。
あーあ、これじゃ仕事に差し支えあるんじゃない?
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