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再会

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 貴之叔父さんの案内で、個室に通された。大の男が3人は余裕で座れる革張りのソファに深く腰掛け、僕は両腕を伸ばし、脚を組む。

「へぇーっ、扉からしたら狭いのかと思ってたけど、案外広いんだね。ねぇ、この個室はなんの目的で作られてるの? 気に入った相手を連れ込んで、お好きなようにってこと?」

 リラックスしてはしゃぐ僕とは対照的に、貴之叔父さんは緊張した面持ちで僕を見つめた。

「夕貴くん。どうして、君は……ここに……」
「安心して。貴之叔父さんを連れ戻しに来たわけじゃないから」

 笑顔で答えた僕の顔を見ても、貴之叔父さんの表情は晴れなかった。

「君は……ここが、どういう場所だか分かっているのか?」

 僕はクスッと笑みを浮かべた。

「知ってるよ? 僕みたいなゲイの人たちが集まる、バーでしょ? あ、ハッテン場っていうんだっけ?」

 貴之叔父さんの顔が青ざめた。

「夕貴、くんも……ゲイ、なのか!?」
「うん。お祖父様も知ってるよ? ちなみにね、僕の好きな人は貴之叔父さんのよーく知ってる人だよ。当ててみて?」
「夕貴くん! こんな時に、からかうのはやめてくれ!!」
「えぇーっ、酷いなぁ。からかってなんて、ないよ?あーあ、貴之叔父さんの負け。ノリ悪いなぁ。
 正解は……ジャーン、直貴でした!!」

 貴之叔父さんは、今にも倒れそうな表情を見せた。叔父さんの手が、僕のシャツを掴む。

「夕貴くん……本気で、言ってるのか!?」

 でも、そんなことされても僕は動じないよ。だって、これは直貴を取り戻すチャンスになるかもしれないんだから。

 僕は真剣な眼差しで、貴之叔父さんに告げた。

「本気、だよ。僕と直貴は……愛し合ってるんだ」

 心の底では、ね。

 可哀想なぐらい、貴之叔父さんの躰が震えている。

「お、お父様……は……この、ことを?」
「うん、知ってるよ。お祖父様に、平手打ちされちゃった。あれは痛かったなー。相当怒ってたみたい」

 貴之叔父さんの力が抜け、へなへなと躰を折り曲げた。

「そう、か……君、は……すごいな。お父様に、ゲイであるばかりか従兄弟の直貴と恋人であることまで告げるなんて」

 まぁ、ちょっと誤解はあるけど、だいたい合ってるかな。

「僕たちは今、離れ離れにさせられてる。ねぇ、そもそもの原因をつくったのはさ、貴之叔父さんなんだよ? 責任とってよ」
 
 貴之叔父さんは、僕の言葉にギョッとしたように目を剥いた。

「なん、だって!?」
「だから、責任とってよ。貴之おじさんはお祖父様にゲイであることを隠してて、それを言えなくて逃げ出したわけじゃん?
 お陰でこっちは酷いとばっちりだよ。特に、直貴はね」

 自分の息子の名前を聞き、叔父さんが躰を強張らせた。

「ねぇ、糸子叔母さんが死んだの知ってる?」
「ぁ、あぁ……」

 はっきりしない口調で、貴之おじさんが答える。

 まったくもう、しっかりしてよね。叔父さんが頼りなんだからさ。
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