【BLーR18】5人との、甘美で危険な戯れ

奏音 美都

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葛藤

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 もう既に、カウンセリングが始まってから4年の月日が流れていた。

 大学生だった僕は卒業し、今は松ノ内コンツェルンの下請けのそのまた下にあたる企業の営業マンとして、会長の孫であることを隠して修行させられてる。

 敬語なんて使えず、上を敬うなんてありえないなんて言ってた僕が、今では立派なセールストークまで身につけてしまった。自分が最も嫌っていた、つまんない人間になりそうで恐い。

 そんな思いとは裏腹に、僕の上辺だけの笑顔と流れるような話術のお陰で営業成績はうなぎ昇り。僕は、会社で一番の売上を誇る営業マンと化していた。笑えるでしょ?

 そんな僕を、ある日お祖父様が呼び出した。

「夕貴。お前には明日から名古屋支店の営業部で、働いてもらう」

 お祖父様の鶴の一声で名古屋へと飛ばされた僕は、遠距離恋愛を余儀なくされた。

 もちろん今でも毎週の3つの課題は続いてるよ。お祖父様の優秀な執事がついてるからね。

 幸田のお陰で、僕は初めての1人暮らしでも生活に困ることはなかった。料理、皿洗い、洗濯、掃除……家事スキルはバッチリだ。今では靴下を脱ぎ散らかすこともないし、シャワーのノズルを床に垂らしたままお風呂からあがることもせず、ちゃんと換気扇もつけている。

 いわゆる、スパダリってやつ? 高身長は勘弁してよ、そこはなんともならないとこだからさ。

 本当は金曜の夜から会いに行きたいんだけど、社畜となってる僕には最終の新幹線にさえも乗れなかった。

 いつまで、こんな暮らしが続くんだろ……

 統合治療は、思うように進まなかった。それは、勝太が拒否しているからという理由だけでなく、直貴も自分の中にいる別人格の性格や人となりなどを知っていくにつれ、あまり統合に対して積極的でなくなってきたこともあった。

 そこでカウンセラーが提案したのは、催眠療法を使って治療しようということだった。

 多重人格者は短時間で深いトランス状態に入れる人が多いらしく、しかも催眠中は全員が催眠を施術している者の話が聞こえるし、呼び出された人物が話している声も全員聞くことが出来るため、統合しやすいのだという。ただ、これは本人の努力をあまり要しないため、今まで避けてきたのだった。

 僕は、催眠療法についての説明を受けながら愕然とした。


ーーいよいよ本当に、直貴の中に勝太も、ロイヤルも、ダリアも、創一様も取り込まれてしまうんだ。


 僕の世界が、急に色を失ってしまったように見えた。  
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