裏切りの魔男

takupon

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異世界漂流編

兎人と狐人1

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「何驚いてんだ?元は魔人軍の仲間だった奴なんだろ?じゃ、魔王に近い俺が仲間になれって言えばなんとかなるんじゃなゲブュッ」

言い終わる前に制服の首元をミラに掴まれる。足を動かしているが、空中に浮いて進まない。

「ふざけないでください!!貴方様は私達の最後の希望なんですよ!それなのに死んでしまったら、わ、私達は……」

「そうだよ!彼方様は闘わずに遠くから見といてよ」

「それじゃあ俺が勇者として認められないんだよ。だから、俺が闘うか、魔王の正体隠し説得して引き返してもらしてうしかないだろ。んで、俺はヘタレ野郎だから闘いたくないの」

「このヘタレ野郎めっ!!」

「おいおい、未来の上司に向かってヘタレとはなんだ!!」

「君が言い出したんだよ」

ウルファにミラの鷲掴みの手を外すのを手伝ってもらいながら、彼方は二人をまず切言する。
しかし、険悪な顔つきのミラは今すぐにでも彼方をもと来た道に引き返そうとさせ、

「状況打開にはこれしかないんだよ!!」

ウルファとミラから距離を置き、走り出す。

「付いてくるなら来いよ」

そう言い残すと、彼方は路地裏を抜け出し表通りに躍り出る。
住民はもうとっくに非難したのか、人通りは少なく、騎士がちらほらと見える。建物を影に騎士が走り去る方向に足を向ける。

「ハァ、ハァ、ハァー!」

城を抜けてから走りっぱなしだったのが足枷となり、彼方のスピードを落としていく。城壁までは一向に着かない。
上腿に手を付き、呼吸を整える。
そこで、

「ねぇ、君さー彼方くんだよね?」

気配も感じることなく、肩を掴まれる。恐る恐る後ろを振り向くと、初めて見る顔ぶれであった。

「お嬢、今は民間人などに世話を焼いてる暇なんかないんですよ」

「モノクルはさっきの儀式みてなったのー?」

「本を読んでいました!」

逆切れ気味に声を張り上げる片眼鏡の狐人ヴォルペに、動きと喋り方の反比例が激しい兎人ラパン
両方獣人で、勇者の儀に列席していることから獣の王冠ビーストクラウンであることが推測できる。
獣人は差別がひどく、固まって騎士団を作り上げたのが獣の王冠ビーストクラウンである。その他の騎士団に所属している獣人は神憑りの切札トランスジョーカーのロットただ一人だけだ。

「期待した私がバカだったよぉー!」

兎人ラパンは怒ってます、と言わんばかりに頬を膨らませる。間の抜ける喋り方とは裏腹に、身体は今にも走り出したそうにジャンプしつづける。見てて鬱陶しくなりそうだ。
何あれ話している間が好機と見た彼方は、そっとその場から離れる。

「申し訳ありませんでした。あっ、その勇者様が逃げようとしてますよ。放心するのはよくないですよ、お嬢。それではその勇者様も連れていきましょう」

遠くへ逃げる彼方を兎人ラパンが大きな踏み込み一つで、距離を縮める。
捕まえた彼方をモノクルに渡し、何事もなかったかのように話をまた始めだした。

「モノクルに説明してたからー、逃げ出したんだー!それにー、彼方くんは勇者じゃなくてー逃亡者だよー!ハイッ、モノクルは彼方くん抱えてー」

「待てって!俺は誰よりも速く魔獣に会いに行かなくちゃいけないんだ、離せよ!!」

モノクルと呼ばれる狐人ヴォルペに抱えられる彼方は、動きを止めるために必死にもがく。

「だからー、彼方くんを逃がさないように一緒に連れて行くからー。一番速くにー、連れて行けばいいんでしょー?」

「あそっか。なら速くしてくれ!」

あっさりと納得してしまう彼方。

「あいあいさー!」

「何故に、捕まえられている分際でお嬢に命令しているんですか?!」

「ではではー、いざ出発っっ!!」

魔獣の襲来と逃亡者に少しずれた対応をするマイペースな二人。いざ、始動するとその速さは尋常じゃない。顔の皮膚が置いてかれそうになる。
あまりの速さに彼方は、

「・・・まさに脱兎の勢いだな、兎だけに」

頭のネジが吹き飛んだ。

「私のことよんだー?」

「何仕様しょうもないこといってるんですか?!」

その言葉に名前をまだ知らない兎人ラパン狐人ヴォルペのモノクルが三者三様の反応をする。

「・・・三月兎のように気が狂っているだったか?」

「先程からお嬢をバカにしているでしょ!?」

「・・・兎に角急ごうよー」

「貴方のせいでお嬢が真似し始めたじゃないですか!!」

「・・・犬兎の争いだな!」

「貴方は言いたいだけでしょ!!」

「モノクルよ。・・・狐目でこちらを睨まないでくれ」

「こちらにまで被害がきたっっ!!」

彼方は大物なのか、出会って数分の二人と仲良く魔獣がいるであろう、雲域が怪しい王都の壁の方角に向かう。まるで遠足気分だ。今から立ち向かう相手の怖さを知らない彼方だからこそだろう。
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