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指名手配編
キルラ・ハイリーン
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私の名前はキルラ、キルラ・ハイリーン。
王国のスラム街生まれで、十七歳。職業は暗殺者。
私の経緯はこの際置いておきたい。生きる為に金を稼いでいるだけなのだ。
殺し屋と言っても殺すのは殆どが悪人。しかし、依頼を受ければ、仕事と割り切る。それが殺し屋。
私は今、王国の近くの森にいる。クエストに出ているのだ。
私の前を歩くのは、一人の少年。名前は桜。・・・本名は忘れちゃった。
容姿は人形のように真っ白い肌に、パッチリした眼。それに私の魔法で長くした髪の毛。ローブで顔を隠しているが、見る人の大半が美少女と答えるだろう。腰にしているのは、私があげた長剣だ。桜に内緒で枕元に置いたところ、号泣して抱きついてきた。勿論私にじゃなく長剣に。その時のことは今でも鮮明に覚えている。嬉し泣きする姿を見て、私は身体がカッと熱くなった。可愛かったのだ。一人称が『俺』と言うとこも、見栄っ張りで男の子らしく・・・可愛い。それとでいて時には男の顔になるんです。又それがかっこいいんです!!男らしくてやばいんです!
はっ!私は何を言っているんだ!口が勝手に動いたんです!桜にはどうか内緒で!!
ゔ、ゔんっ。取り乱してしちゃった。気を取り直していこう。
それで桜のことなのだが、名前以外の素性がサッパリなのです。
話しを聞こうとすると、いつもはぐらかす。ナックルやハチェットなら兎も角、私にまで隠し事ごとをするのはいけ好かない。
出逢ったのは、魔獣事件の時。
魔獣事件とは、一週間前ぐらいかな?それぐらいの時に、王都を混乱に渦に巻き込んだ魔獣の話。
ちょうどその日は勇者の儀があり、全ての騎士団が集まっていたので、魔獣の対応は速かった。
私は、市民が騎士に誘導される中、賞金首を狩っていました。これは、冒険者としてのお仕事ですね。決して市民に紛れて人殺しをしてたわけじゃないんだよ。
出逢いはその帰りのことなのです!
私がナックルの宿に向かう途中、大きな破壊音がし、近くにある馬車が大破したのです。馬車には人の血痕がべったりと残っていました。
私は、騎士が魔獣の攻撃でここまで吹っ飛ばされたのかと思っていました。
厄介事に巻き込まれるのは御免なので、見知らぬ振りをしようと仮面を被り裏道に入りました。
そこには雨に混じった血溜まりが大量に続いていたのです!
流石に、殺し屋をしているだけあるので、ピーンときました。この人は死ぬな、と。
私は悩みに悩みました。この先に進むと重傷者と逢ってしまうのです。しかし私の心とは裏腹に、身体は素直に歩き出しました。まだ私にも人間としての良心が残っていたのです。
悪魔の悪戯か、天使の導きか、将又神の気まぐれか、私は桜と出逢いました。
正に、運命の出逢いなのです!!
桜の身体はみるみると体温が失われていて、今にも天に帰りそうでした。天使の輪っかも見えるんじゃないかってぐらいでした!
私は急ぎナックルの宿に連れて行き、お湯に浸からせてあげました。幸いにもナックルは避難せず、宿に居ました。
桜の身体は無数の傷があり、最近出来たものではありませんでした。幼少期に何かあったのでしょう。微かに瞳の奥が黒く腐ってしまっているのです。
私には分かります。殺し屋としてでは無く、一人の女としてです。きっと似たような境遇だからでしょう。
いつか、桜は私に全て話してくれるのでしょうか?
私は桜が遠くに離れて行くのが淋しいのでしょうか?
「――――おい、おいってば!」
いつの間にか、彼方が眼の前に立っていた。
現実に引き戻された、キルラはすぐさま反応する。
「ご、ごめんなしゃい!な、何の話だっけ?」
彼方との距離の近さに、顔が赤くなる。言葉もたどたどしくなり、噛んでしまう。
「ゴブリンだよ、ゴブリン!どこにいんの?」
仏頂面の桜は前を向き直す。額に手を掛け、探す仕草をする。
そのポーズにキルラは口元が緩む。やはり可愛い、と。
王国のスラム街生まれで、十七歳。職業は暗殺者。
私の経緯はこの際置いておきたい。生きる為に金を稼いでいるだけなのだ。
殺し屋と言っても殺すのは殆どが悪人。しかし、依頼を受ければ、仕事と割り切る。それが殺し屋。
私は今、王国の近くの森にいる。クエストに出ているのだ。
私の前を歩くのは、一人の少年。名前は桜。・・・本名は忘れちゃった。
容姿は人形のように真っ白い肌に、パッチリした眼。それに私の魔法で長くした髪の毛。ローブで顔を隠しているが、見る人の大半が美少女と答えるだろう。腰にしているのは、私があげた長剣だ。桜に内緒で枕元に置いたところ、号泣して抱きついてきた。勿論私にじゃなく長剣に。その時のことは今でも鮮明に覚えている。嬉し泣きする姿を見て、私は身体がカッと熱くなった。可愛かったのだ。一人称が『俺』と言うとこも、見栄っ張りで男の子らしく・・・可愛い。それとでいて時には男の顔になるんです。又それがかっこいいんです!!男らしくてやばいんです!
はっ!私は何を言っているんだ!口が勝手に動いたんです!桜にはどうか内緒で!!
ゔ、ゔんっ。取り乱してしちゃった。気を取り直していこう。
それで桜のことなのだが、名前以外の素性がサッパリなのです。
話しを聞こうとすると、いつもはぐらかす。ナックルやハチェットなら兎も角、私にまで隠し事ごとをするのはいけ好かない。
出逢ったのは、魔獣事件の時。
魔獣事件とは、一週間前ぐらいかな?それぐらいの時に、王都を混乱に渦に巻き込んだ魔獣の話。
ちょうどその日は勇者の儀があり、全ての騎士団が集まっていたので、魔獣の対応は速かった。
私は、市民が騎士に誘導される中、賞金首を狩っていました。これは、冒険者としてのお仕事ですね。決して市民に紛れて人殺しをしてたわけじゃないんだよ。
出逢いはその帰りのことなのです!
私がナックルの宿に向かう途中、大きな破壊音がし、近くにある馬車が大破したのです。馬車には人の血痕がべったりと残っていました。
私は、騎士が魔獣の攻撃でここまで吹っ飛ばされたのかと思っていました。
厄介事に巻き込まれるのは御免なので、見知らぬ振りをしようと仮面を被り裏道に入りました。
そこには雨に混じった血溜まりが大量に続いていたのです!
流石に、殺し屋をしているだけあるので、ピーンときました。この人は死ぬな、と。
私は悩みに悩みました。この先に進むと重傷者と逢ってしまうのです。しかし私の心とは裏腹に、身体は素直に歩き出しました。まだ私にも人間としての良心が残っていたのです。
悪魔の悪戯か、天使の導きか、将又神の気まぐれか、私は桜と出逢いました。
正に、運命の出逢いなのです!!
桜の身体はみるみると体温が失われていて、今にも天に帰りそうでした。天使の輪っかも見えるんじゃないかってぐらいでした!
私は急ぎナックルの宿に連れて行き、お湯に浸からせてあげました。幸いにもナックルは避難せず、宿に居ました。
桜の身体は無数の傷があり、最近出来たものではありませんでした。幼少期に何かあったのでしょう。微かに瞳の奥が黒く腐ってしまっているのです。
私には分かります。殺し屋としてでは無く、一人の女としてです。きっと似たような境遇だからでしょう。
いつか、桜は私に全て話してくれるのでしょうか?
私は桜が遠くに離れて行くのが淋しいのでしょうか?
「――――おい、おいってば!」
いつの間にか、彼方が眼の前に立っていた。
現実に引き戻された、キルラはすぐさま反応する。
「ご、ごめんなしゃい!な、何の話だっけ?」
彼方との距離の近さに、顔が赤くなる。言葉もたどたどしくなり、噛んでしまう。
「ゴブリンだよ、ゴブリン!どこにいんの?」
仏頂面の桜は前を向き直す。額に手を掛け、探す仕草をする。
そのポーズにキルラは口元が緩む。やはり可愛い、と。
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