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第5話 友達?
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俺は彼を連れて自分の部屋に運び、とりあえず寝かせた。
腹も減っているのだろう。体はほとんど痩せこけていて、見るからに疲れ果てている。
俺はふと、彼の髪を撫でながらじっと顔を見つめてしまっていた。
(……なんで俺、こんなに見つめてるんだ?)
自問しながらも、気づけば目が離せない。
——トントン
突然、部屋の扉をノックする音がした。
俺はベッドから立ち上がり、ゆっくりと扉へ向かう。
扉を開けると、そこに立っていたのは……
「よっ!メビウス!母さんに内緒でお菓子でも食べないか?」
俺の……というか、メビウスの父親だった。
彼はニコニコしながら、お菓子の詰まった袋を手に軽く揺らしている。
「父上?」
俺がそう呼ぶと、父上はご機嫌に部屋へ入ろうとした。
しかし、次の瞬間——
バサッ!!
手に持っていたお菓子を全て床にぶちまけた。
「な、な、な、な、な、な、な……」
「父上?」
「なぜぇぇぇぇぇ!?サーーーーーガがおるのじゃあああああ!!!!!」
「父上!静かにぃぃぃ!!!」
俺が慌てて口を塞ごうとするが、すでに遅い。
「サ、サーガだぞ!?あのサーガ・フェンリルだぞ!?反逆の狼、血染めの刃、歩く災厄!!!」
「そんな二つ名あったの!?聞いてないんだけど!?てか、なんで全部物騒なの!?」
「そ、それを部屋に寝かせてるとは……こ、これは事件じゃ……!」
「事件にするな!!」
俺は父上の肩をガッと掴み、必死で落ち着かせようとする。
「父上、違うんだ。事情があって——」
「し、事情って、お前……まさかその、寝てる間に——」
「待て待て待て待て!!!何を想像してる!?違うから!!!」
俺は両手をブンブン振って否定した。
その時、ベッドから小さく呻き声が聞こえた。
「……うるせぇ……」
サーガが顔をしかめて、薄目を開けた。
「お、おぉぉぉぉぉぉ……!?」
父上が声にならない悲鳴を上げ、俺の後ろに隠れる。
「……なんだこの騒がしい親子は……」
サーガが呆れたようにため息をつく。
***
彼は頭を押さえながら俺を睨みつけると、低く静かな声で言った。
「……何故俺を助けた?」
俺は軽く息を吐き、肩をすくめる。
「言ったでしょ? 人を助けるのに理由なんていらないって」
サーガの目が細められる。
「……馬鹿じゃねぇのか」
「そうかもね」
俺はさらりと答えた。
「俺はお前のことが死ぬほど嫌いなんだよ」
吐き捨てるように言う彼の声には、鋭い棘があった。でも、それがどうした?
俺は一歩、サーガへと近づく。
「ねぇ、サーガ。」
「なんだよ……?」
「お前が俺を嫌いでも、俺が助けたいと思ったら助ける。それだけの話」
サーガの眉がピクリと動く。
「……ふざけるな」
俺はまっすぐに彼を見据えた。
サーガの拳をギュッと握りしめる。
「離せっ!俺は……俺は、お前みたいな奴が一番嫌いなんだ……!」
「そんなの関係ない。俺は、お前と友達になりたい」
サーガの表情が一瞬止まる。
「……は?…ふざけるな!!」
サーガは激昂し、俺の手を振り払おうとする——だが、俺はその手をしっかりと掴んだ。
「俺は、お前を知りたい」
サーガは押し黙る。
「敵だからとか、味方だからとか関係ない。お前がどういう人間なのか、俺はそれを知りたいだけだ」
サーガの瞳が揺れる。
「……お前、ほんとに馬鹿だな……」
「よく言われる」
俺が肩をすくめると、サーガは小さく鼻を鳴らした。
だが、その耳の先がわずかに赤くなっているのを俺は見逃さなかった。
「な、なんだよ」
「いや、別に?」
俺がにやりと笑うと、サーガは急に顔を背けた。
「……誰が、こんな奴と友達になるかよ」
「ええ? でも、顔赤いよ?」
「う、うるせぇ!!!」
サーガは俺から一歩距離を取ると、そっぽを向いた。
その時——
「メビウス!!!」
扉が勢いよく開かれ、父上が突入してきた。
「父上、落ち着いて」
「落ち着けるか!?」
「まぁ、とりあえずお茶でも飲んで……」
「貴様、私の可愛い息子に手を出したら!」
「うるせぇよ。」
サーガが小さく怒鳴ると、父上は「ひっ」と小さく後ずさった。
「怖いのぉぉ……」
サーガは顔を覆いながら、深いため息をついた。
「……ほんと、お前の周りは変な奴ばっかだな……」
俺はぐっと彼の前に顔を近づけた。
「ねぇ、仲良くなろう?」
サーガは一瞬こちらを睨みつけるが、顔がまた赤くなり、口を強く引き結ぶ。
「……ならねぇっつってんだろ!!!」
そう怒鳴る声は、どこか必死で——
俺はそれを見て、ますます笑みを深めた。
腹も減っているのだろう。体はほとんど痩せこけていて、見るからに疲れ果てている。
俺はふと、彼の髪を撫でながらじっと顔を見つめてしまっていた。
(……なんで俺、こんなに見つめてるんだ?)
自問しながらも、気づけば目が離せない。
——トントン
突然、部屋の扉をノックする音がした。
俺はベッドから立ち上がり、ゆっくりと扉へ向かう。
扉を開けると、そこに立っていたのは……
「よっ!メビウス!母さんに内緒でお菓子でも食べないか?」
俺の……というか、メビウスの父親だった。
彼はニコニコしながら、お菓子の詰まった袋を手に軽く揺らしている。
「父上?」
俺がそう呼ぶと、父上はご機嫌に部屋へ入ろうとした。
しかし、次の瞬間——
バサッ!!
手に持っていたお菓子を全て床にぶちまけた。
「な、な、な、な、な、な、な……」
「父上?」
「なぜぇぇぇぇぇ!?サーーーーーガがおるのじゃあああああ!!!!!」
「父上!静かにぃぃぃ!!!」
俺が慌てて口を塞ごうとするが、すでに遅い。
「サ、サーガだぞ!?あのサーガ・フェンリルだぞ!?反逆の狼、血染めの刃、歩く災厄!!!」
「そんな二つ名あったの!?聞いてないんだけど!?てか、なんで全部物騒なの!?」
「そ、それを部屋に寝かせてるとは……こ、これは事件じゃ……!」
「事件にするな!!」
俺は父上の肩をガッと掴み、必死で落ち着かせようとする。
「父上、違うんだ。事情があって——」
「し、事情って、お前……まさかその、寝てる間に——」
「待て待て待て待て!!!何を想像してる!?違うから!!!」
俺は両手をブンブン振って否定した。
その時、ベッドから小さく呻き声が聞こえた。
「……うるせぇ……」
サーガが顔をしかめて、薄目を開けた。
「お、おぉぉぉぉぉぉ……!?」
父上が声にならない悲鳴を上げ、俺の後ろに隠れる。
「……なんだこの騒がしい親子は……」
サーガが呆れたようにため息をつく。
***
彼は頭を押さえながら俺を睨みつけると、低く静かな声で言った。
「……何故俺を助けた?」
俺は軽く息を吐き、肩をすくめる。
「言ったでしょ? 人を助けるのに理由なんていらないって」
サーガの目が細められる。
「……馬鹿じゃねぇのか」
「そうかもね」
俺はさらりと答えた。
「俺はお前のことが死ぬほど嫌いなんだよ」
吐き捨てるように言う彼の声には、鋭い棘があった。でも、それがどうした?
俺は一歩、サーガへと近づく。
「ねぇ、サーガ。」
「なんだよ……?」
「お前が俺を嫌いでも、俺が助けたいと思ったら助ける。それだけの話」
サーガの眉がピクリと動く。
「……ふざけるな」
俺はまっすぐに彼を見据えた。
サーガの拳をギュッと握りしめる。
「離せっ!俺は……俺は、お前みたいな奴が一番嫌いなんだ……!」
「そんなの関係ない。俺は、お前と友達になりたい」
サーガの表情が一瞬止まる。
「……は?…ふざけるな!!」
サーガは激昂し、俺の手を振り払おうとする——だが、俺はその手をしっかりと掴んだ。
「俺は、お前を知りたい」
サーガは押し黙る。
「敵だからとか、味方だからとか関係ない。お前がどういう人間なのか、俺はそれを知りたいだけだ」
サーガの瞳が揺れる。
「……お前、ほんとに馬鹿だな……」
「よく言われる」
俺が肩をすくめると、サーガは小さく鼻を鳴らした。
だが、その耳の先がわずかに赤くなっているのを俺は見逃さなかった。
「な、なんだよ」
「いや、別に?」
俺がにやりと笑うと、サーガは急に顔を背けた。
「……誰が、こんな奴と友達になるかよ」
「ええ? でも、顔赤いよ?」
「う、うるせぇ!!!」
サーガは俺から一歩距離を取ると、そっぽを向いた。
その時——
「メビウス!!!」
扉が勢いよく開かれ、父上が突入してきた。
「父上、落ち着いて」
「落ち着けるか!?」
「まぁ、とりあえずお茶でも飲んで……」
「貴様、私の可愛い息子に手を出したら!」
「うるせぇよ。」
サーガが小さく怒鳴ると、父上は「ひっ」と小さく後ずさった。
「怖いのぉぉ……」
サーガは顔を覆いながら、深いため息をついた。
「……ほんと、お前の周りは変な奴ばっかだな……」
俺はぐっと彼の前に顔を近づけた。
「ねぇ、仲良くなろう?」
サーガは一瞬こちらを睨みつけるが、顔がまた赤くなり、口を強く引き結ぶ。
「……ならねぇっつってんだろ!!!」
そう怒鳴る声は、どこか必死で——
俺はそれを見て、ますます笑みを深めた。
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