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15.雪が隠すもの
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まだシーンと静まりかえった早朝の時間帯。
冷んやりとした混じり気のない澄んだ空気を、セラフィーナは胸いっぱいに吸い込んでいた。
木々や草や土は、朝露に濡れて自然の匂いを濃く放っている。もう夏に片足を突っ込んだくらいの時期だが、山の朝は防寒着が必要なほど寒かった。
「セラ、寒くない? 僕の上着着る?」
「ケープを羽織ってるし、むしろ気持ち良いくらいよ。ありがとう」
「何も言わずに来ちゃったけど、気づいたらバルドさん達怒るだろうなぁ……」
「仕方ないじゃない。バルドさんのあの様子だと、何年かかっても許可してくれないわ。ただでさえ二年も経過してるのに、だらだらと先延ばしにする程リーアの遺品も骨も見つけづらくなる」
「……セラは、本当は自分の旅の資金を得る目的以上に、バルドさんとラーラさんのために動きたかったんだね」
セラフィーナは何も言わずに黙々と前を歩いている。
フィガロ皇子はその横顔を見てクスリと笑ってしまった。
「もう、人の顔見て何笑ってるのよ」
「ううん、別に」
「ムカつくわね。ほら、これ、よく見ておいて」
セラフィーナはスカートのポケットから折りたたんだスケッチ画を取り出してフィガロ皇子に渡した。
「これ、もしかしてリーアさん?」
「そうよ。部屋に沢山スケッチ画があったから、以前ラーラさんに聞いたらリーアさんが描いた自画像や風景画だって。何枚もあったから一枚だけ拝借したの」
「確かに……セラに似てるかも……」
バルドは顔は似ていないと言っていたが、リーアの服を着ているセラフィーナは、パッと見ただけならリーアと間違えてもおかしくないほど似ていた。
「やっぱりそう思う? バルドさんとラーラさんが素性のわからない私達にここまで親切なのは、きっと私を通してリーアさんを見ているのよね」
「それは……」
少し寂しそうに笑うセラフィーナの気持ちが、今のフィガロ皇子には痛いほどわかってしまった。
「でも私は……ちゃんと貴方を見ていますよ」
俯いてポツリと呟くフィガロ皇子に、セラフィーナは「え?」と聞き返す。
セラフィーナにははっきり聞こえていなかったようで、フィガロ皇子は何でもないと手を振り、ホッとしたような、残念だったような、複雑な感情だった。
「フィー、これ、足跡じゃない?」
セラフィーナは土の上についた足跡を指差した。
「本当だ。しかも、まだしっかりと跡が残ってる……」
ガサガサっと背後で草を踏む音がして二人は振り返った。
「ほら……リーアに似た私を狙ってるわ。リーアを襲ったのは絶対このスノーベアよ」
ベアと名はついているが、クマよりも遥かに大きな身体で、赤い目が真っ白な体毛との対比で強調されていた。牙をむき出しにして唸り声を上げているところを見れば、おそらくフィガロ皇子のことを自分の獲物を横取りした盗人だと思っているのだろう。
スノーベアが飛び掛かって来たタイミングで、フィガロ皇子は自分たちの周囲に魔法で火柱をいくつも上げていく。
慄くスノーベアに向かって火を投げると、さすがに勝てないと本能で悟ったようで、いそいそと山に向かって帰って行った。
「追うわよ」
セラに腕を引っ張られて、フィガロ皇子はスノーベアのあとを追う。追われていると気づいたスノーベアは四つ足で駆け出し、二人から逃げ始める。スノーベアが走り出せば、時速七十キロは出る。まともに追いかけられるわけがなく、二人は手を繋いで、スノーベアの近くに転移を繰り返して追いかけた。
中々足を止める気配のないスノーベアを追いかけていれば、どんどん転移先の標高が上がっていた。草や土の見えていた地面はすでに真っ白な雪景色に変わっており、セラフィーナの吐く息が白くなっていた。それを見たフィガロ皇子は、自分も寒さに凍えそうなのも構わず、上着を脱いでセラフィーナの肩に掛けた。
「何してるのよ。私は死なないって言ってるじゃない。あなたが凍死するでしょ」
「でも……寒さや……苦痛は……感じるでしょ?」
フィガロ皇子は余りに寒くて声が出せず、ブルブル震えながらそれ以上言葉が出せない。
セラフィーナはフィガロ皇子の腕を引いて、自分の正面に身体を向かせ、温めるように両腕で抱きしめた。
フィガロ皇子は背中に添えられたセラフィーナの両手から、温かい波が身体に流れ込んでくるのがわかった。
「このままフィーはスノーベアだけ見て、追いかけ続けて」
フィガロ皇子はセラフィーナが魔法で自分の身体を温めてくれていることがわかる。彼女を温めるものは着て来た防寒着と、フィガロ皇子の上着のみ。しかも、セラフィーナの魔力を回復できるものは、黒い水のない現代では休息と時間のみだ。
フィガロ皇子は、セラフィーナの身体が冷えないようにと、自分もセラフィーナを抱きしめる。腕を回して初めて彼女の身体が僅かに震えていることに気がつき、身体がだいぶ冷えていることがわかった。
(死ねない身体なら、苦痛が続いてもっと辛いじゃないか……)
フィガロ皇子の視線はスノーベアに集中し、転移を繰り返しながらあとを追う。
急いで巣穴を見つけないと、セラフィーナの体が心配でフィガロ皇子は焦っていた。
フィガロ皇子に注がれるセラフィーナの魔法が弱くなってきた時、スノーベアが雪山にぽっかり空いた穴へと駆けこんで行くのが見えた。
フィガロ皇子は一気にそこまで転移し、すぐに炎で周囲を照らした。
目の前にはスノーベアが前脚を上げて立っていた。
「セラ、相手を眠らせるような術式は知らないの?」
「ある。付与魔法よ」
「付与魔法は接触で発動するんじゃ……」
「そうよ。だから、あなたが私を連れてスノーベアの背中に転移して、すぐに私が接触して睡眠をかける。一瞬の勝負」
「そんな、セラが危険だ」
「だから、心をひとつにして行くわよ」
セラフィーナは身動きが取りやすいようフィガロ皇子から離れ、彼の手を握った。
「襲われる前に、さあ、早く!」
フィガロ皇子はスノーベアの背後に転移し、スノーベアの腕が飛んでくる前にセラフィーナがスノーベアに触れ、巨体は呆気なく崩れ落ち、気を失うように眠りについた。
「やった……」
「ええ、やったわ……」
放心状態だった二人は互いの視線が合うと、思わず抱き合ってジャンプした。
「やった! 勝った!! 魔法も使いこなせた!!!」
「そうよ! やったわ!! 私達、出来たわ!!!」
スノーベアに勝った興奮でしばらく抱きしめ合っていた二人だが、フィガロ皇子が先に正気に戻ると、途端に顔が赤くなる。慌ててセラフィーナから離れ、真っ赤な顔をセラフィーナから背けた。
「どうしたのよ」
「いや、なんでも」
「私、何か気に障る事でもしたかしら?」
「いや、本当、何でも……ほら、早くリーアさんを探さないと!」
セラフィーナはまだ少しフィガロ皇子の様子を気にしていたが、頷いた。
「そうね。もう私の魔力も僅かだし、スノーベアに魔法が効いてる間に見つけ出さないと」
二人は巣穴の中を探し回るが、捕まえた獲物は必ず巣穴に持ち帰るスノーベアにしては、気味が悪いほど何もなかった。
「食料になるものは別の場所に隠してるのかしら……だとしたら厄介ね」
セラフィーナの言葉を受け、フィガロ皇子は巣穴の入口に目を向ける。外の景色は真っ白で美しく、相変わらず寒そうであったが、巣穴でだいぶ身体は温まっており、少しなら外を動ける気がした。
フィガロ皇子が歩き出すと、セラフィーナもついて行く。外に出れば、凍てついた空気が容赦なく襲って来た。
「食料を巣穴から離れた場所に置くとは思えない」
フィガロ皇子は寒さに堪えながら、辺りを見まわす。だが、どこもかしこも真っ白な雪しかない。
フィガロ皇子は一か八か、巣穴周辺の雪を炎の魔法で溶かし始めた。すると、チリッと何かが焦げる音がし、煙が上がった。
「待って、フィー!」
セラフィーナが煙の上がった場所に駆け寄り、積もった雪を手でかき始める。すると、靴らしいものが見え始めた。
「フィー! ここを溶かして!!」
フィガロ皇子はそこに何かがあるなら燃やさないよう注意して、出来るだけ弱い火で上の方の雪をゆっくり溶かし、風も使って雪を払った。
女性の服が見え、なんとか服を引っ張ろうとしたが、雪の重みか引き上げられない。服の襟元にリーアの名前が刺繍されていればバルド達の娘でほぼ間違いない。二人で必死に手で雪を掻き出し、服の面積が広がると同時に予想以上のものが姿を現した。
「リーアさんだ」
「リーアさんだわ」
腹の部分は直視が出来なかったが、その他の部分は雪と冷気に守られ、生前のままの姿を残していた。あの、人物画の通りで、セラフィーナに似た若い女性の遺体。リーアの遺体の周辺にも、無数の人らしき身体の部分が見えたが、フィガロ皇子とセラフィーナは体力と魔力の限界が近かった。このまま周りまで掘り続ければ、フィガロ皇子に至っては生きて帰れる保証はない。とにかく、最初の目的のリーアだけを連れて帰ることを優先した。
「すぐに戻りましょう。フィー、リーアさんと、私と、それにスノーベアも一緒に転移出来る力は残ってる?」
フィガロ皇子は頷く。
「やってみせる」
冷んやりとした混じり気のない澄んだ空気を、セラフィーナは胸いっぱいに吸い込んでいた。
木々や草や土は、朝露に濡れて自然の匂いを濃く放っている。もう夏に片足を突っ込んだくらいの時期だが、山の朝は防寒着が必要なほど寒かった。
「セラ、寒くない? 僕の上着着る?」
「ケープを羽織ってるし、むしろ気持ち良いくらいよ。ありがとう」
「何も言わずに来ちゃったけど、気づいたらバルドさん達怒るだろうなぁ……」
「仕方ないじゃない。バルドさんのあの様子だと、何年かかっても許可してくれないわ。ただでさえ二年も経過してるのに、だらだらと先延ばしにする程リーアの遺品も骨も見つけづらくなる」
「……セラは、本当は自分の旅の資金を得る目的以上に、バルドさんとラーラさんのために動きたかったんだね」
セラフィーナは何も言わずに黙々と前を歩いている。
フィガロ皇子はその横顔を見てクスリと笑ってしまった。
「もう、人の顔見て何笑ってるのよ」
「ううん、別に」
「ムカつくわね。ほら、これ、よく見ておいて」
セラフィーナはスカートのポケットから折りたたんだスケッチ画を取り出してフィガロ皇子に渡した。
「これ、もしかしてリーアさん?」
「そうよ。部屋に沢山スケッチ画があったから、以前ラーラさんに聞いたらリーアさんが描いた自画像や風景画だって。何枚もあったから一枚だけ拝借したの」
「確かに……セラに似てるかも……」
バルドは顔は似ていないと言っていたが、リーアの服を着ているセラフィーナは、パッと見ただけならリーアと間違えてもおかしくないほど似ていた。
「やっぱりそう思う? バルドさんとラーラさんが素性のわからない私達にここまで親切なのは、きっと私を通してリーアさんを見ているのよね」
「それは……」
少し寂しそうに笑うセラフィーナの気持ちが、今のフィガロ皇子には痛いほどわかってしまった。
「でも私は……ちゃんと貴方を見ていますよ」
俯いてポツリと呟くフィガロ皇子に、セラフィーナは「え?」と聞き返す。
セラフィーナにははっきり聞こえていなかったようで、フィガロ皇子は何でもないと手を振り、ホッとしたような、残念だったような、複雑な感情だった。
「フィー、これ、足跡じゃない?」
セラフィーナは土の上についた足跡を指差した。
「本当だ。しかも、まだしっかりと跡が残ってる……」
ガサガサっと背後で草を踏む音がして二人は振り返った。
「ほら……リーアに似た私を狙ってるわ。リーアを襲ったのは絶対このスノーベアよ」
ベアと名はついているが、クマよりも遥かに大きな身体で、赤い目が真っ白な体毛との対比で強調されていた。牙をむき出しにして唸り声を上げているところを見れば、おそらくフィガロ皇子のことを自分の獲物を横取りした盗人だと思っているのだろう。
スノーベアが飛び掛かって来たタイミングで、フィガロ皇子は自分たちの周囲に魔法で火柱をいくつも上げていく。
慄くスノーベアに向かって火を投げると、さすがに勝てないと本能で悟ったようで、いそいそと山に向かって帰って行った。
「追うわよ」
セラに腕を引っ張られて、フィガロ皇子はスノーベアのあとを追う。追われていると気づいたスノーベアは四つ足で駆け出し、二人から逃げ始める。スノーベアが走り出せば、時速七十キロは出る。まともに追いかけられるわけがなく、二人は手を繋いで、スノーベアの近くに転移を繰り返して追いかけた。
中々足を止める気配のないスノーベアを追いかけていれば、どんどん転移先の標高が上がっていた。草や土の見えていた地面はすでに真っ白な雪景色に変わっており、セラフィーナの吐く息が白くなっていた。それを見たフィガロ皇子は、自分も寒さに凍えそうなのも構わず、上着を脱いでセラフィーナの肩に掛けた。
「何してるのよ。私は死なないって言ってるじゃない。あなたが凍死するでしょ」
「でも……寒さや……苦痛は……感じるでしょ?」
フィガロ皇子は余りに寒くて声が出せず、ブルブル震えながらそれ以上言葉が出せない。
セラフィーナはフィガロ皇子の腕を引いて、自分の正面に身体を向かせ、温めるように両腕で抱きしめた。
フィガロ皇子は背中に添えられたセラフィーナの両手から、温かい波が身体に流れ込んでくるのがわかった。
「このままフィーはスノーベアだけ見て、追いかけ続けて」
フィガロ皇子はセラフィーナが魔法で自分の身体を温めてくれていることがわかる。彼女を温めるものは着て来た防寒着と、フィガロ皇子の上着のみ。しかも、セラフィーナの魔力を回復できるものは、黒い水のない現代では休息と時間のみだ。
フィガロ皇子は、セラフィーナの身体が冷えないようにと、自分もセラフィーナを抱きしめる。腕を回して初めて彼女の身体が僅かに震えていることに気がつき、身体がだいぶ冷えていることがわかった。
(死ねない身体なら、苦痛が続いてもっと辛いじゃないか……)
フィガロ皇子の視線はスノーベアに集中し、転移を繰り返しながらあとを追う。
急いで巣穴を見つけないと、セラフィーナの体が心配でフィガロ皇子は焦っていた。
フィガロ皇子に注がれるセラフィーナの魔法が弱くなってきた時、スノーベアが雪山にぽっかり空いた穴へと駆けこんで行くのが見えた。
フィガロ皇子は一気にそこまで転移し、すぐに炎で周囲を照らした。
目の前にはスノーベアが前脚を上げて立っていた。
「セラ、相手を眠らせるような術式は知らないの?」
「ある。付与魔法よ」
「付与魔法は接触で発動するんじゃ……」
「そうよ。だから、あなたが私を連れてスノーベアの背中に転移して、すぐに私が接触して睡眠をかける。一瞬の勝負」
「そんな、セラが危険だ」
「だから、心をひとつにして行くわよ」
セラフィーナは身動きが取りやすいようフィガロ皇子から離れ、彼の手を握った。
「襲われる前に、さあ、早く!」
フィガロ皇子はスノーベアの背後に転移し、スノーベアの腕が飛んでくる前にセラフィーナがスノーベアに触れ、巨体は呆気なく崩れ落ち、気を失うように眠りについた。
「やった……」
「ええ、やったわ……」
放心状態だった二人は互いの視線が合うと、思わず抱き合ってジャンプした。
「やった! 勝った!! 魔法も使いこなせた!!!」
「そうよ! やったわ!! 私達、出来たわ!!!」
スノーベアに勝った興奮でしばらく抱きしめ合っていた二人だが、フィガロ皇子が先に正気に戻ると、途端に顔が赤くなる。慌ててセラフィーナから離れ、真っ赤な顔をセラフィーナから背けた。
「どうしたのよ」
「いや、なんでも」
「私、何か気に障る事でもしたかしら?」
「いや、本当、何でも……ほら、早くリーアさんを探さないと!」
セラフィーナはまだ少しフィガロ皇子の様子を気にしていたが、頷いた。
「そうね。もう私の魔力も僅かだし、スノーベアに魔法が効いてる間に見つけ出さないと」
二人は巣穴の中を探し回るが、捕まえた獲物は必ず巣穴に持ち帰るスノーベアにしては、気味が悪いほど何もなかった。
「食料になるものは別の場所に隠してるのかしら……だとしたら厄介ね」
セラフィーナの言葉を受け、フィガロ皇子は巣穴の入口に目を向ける。外の景色は真っ白で美しく、相変わらず寒そうであったが、巣穴でだいぶ身体は温まっており、少しなら外を動ける気がした。
フィガロ皇子が歩き出すと、セラフィーナもついて行く。外に出れば、凍てついた空気が容赦なく襲って来た。
「食料を巣穴から離れた場所に置くとは思えない」
フィガロ皇子は寒さに堪えながら、辺りを見まわす。だが、どこもかしこも真っ白な雪しかない。
フィガロ皇子は一か八か、巣穴周辺の雪を炎の魔法で溶かし始めた。すると、チリッと何かが焦げる音がし、煙が上がった。
「待って、フィー!」
セラフィーナが煙の上がった場所に駆け寄り、積もった雪を手でかき始める。すると、靴らしいものが見え始めた。
「フィー! ここを溶かして!!」
フィガロ皇子はそこに何かがあるなら燃やさないよう注意して、出来るだけ弱い火で上の方の雪をゆっくり溶かし、風も使って雪を払った。
女性の服が見え、なんとか服を引っ張ろうとしたが、雪の重みか引き上げられない。服の襟元にリーアの名前が刺繍されていればバルド達の娘でほぼ間違いない。二人で必死に手で雪を掻き出し、服の面積が広がると同時に予想以上のものが姿を現した。
「リーアさんだ」
「リーアさんだわ」
腹の部分は直視が出来なかったが、その他の部分は雪と冷気に守られ、生前のままの姿を残していた。あの、人物画の通りで、セラフィーナに似た若い女性の遺体。リーアの遺体の周辺にも、無数の人らしき身体の部分が見えたが、フィガロ皇子とセラフィーナは体力と魔力の限界が近かった。このまま周りまで掘り続ければ、フィガロ皇子に至っては生きて帰れる保証はない。とにかく、最初の目的のリーアだけを連れて帰ることを優先した。
「すぐに戻りましょう。フィー、リーアさんと、私と、それにスノーベアも一緒に転移出来る力は残ってる?」
フィガロ皇子は頷く。
「やってみせる」
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そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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