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しおりを挟むにっこりと笑って、暗に今までにお前のやってきたことは知っているぞと言ってやれば、もう相手は反撃する術を持たない。
だが浩峨は、勝負の決した相手に更に追い討ちを掛ける。
「君、ホント、ビックリする位悪どいことしてるよねぇ。 美花ちゃん手に入れる為にどんだけのことしてんの?
余りにも気の毒だから、俺は君の被害に合った人達に力を貸してあげてもいいと思ってるんだけど 」
「……っ! 」
「うちの優秀な弁護士さん達に、協力してもらおうかな 」
美花のサラサラとした髪を撫でながら、本当は思ってもいないことを言って追い詰めると市之宮がガクン……と肩を落とした。
けれどそんな姿を見ても、これじゃあ足りないなと……浩峨は考える。
暖かくてドキドキしている傷付いた小さな仔猫。
腕の中で震えている美花を見ながら、いづれは言わなくてはならなかったとしても、こんな状況で素性を明かしたくはなかったと思う。
可哀想に、このちっちゃな頭の中はいっぱいいっぱいになっているだろう。
そう思うと、唯でさえ腹立たしく思っている市之宮に対して怒りが増したのだ。
そして、どうしてやろうかと思っていた時だった。
「アンタ、さっき言ったことは本当か? 」
「……? 」
「美花と結婚するって、言ったことだよ 」
いくら御老公の印籠をチラつかせても、結局最後に気になる所はそこか。
市之宮の問いに、これだな……と決めて心の中でほくそ笑む。
「……勿論、するよ 」
浩峨はサラリと答えると、瞠目して顔を上げた美花の薄い桃色の口唇に市之宮に気付かれないように、しっ……と指先を当てた。
市之宮は信じられないものを見るように、浩峨を見詰めて首を振る。
「本気、か……? 本気でその女、橘家に入れるって言うのか? そんな、何んの役にもたたない…… 」
「市之宮くん 」
全部を言わせずに、浩峨は市之宮の名前を呼んで止めた。
そうでなくとも怯えているのに、これ以上傷付けられては敵わない。
……解らせてやるのは、こちらの方だ。
「市之宮くんは、役に立つ、立たないで、結婚相手を決めるの? 」
「当たり前のことを聞くな。 そんなこと、家の為にも当然のことだ 」
「へぇ? 君も可哀想だね。君の家は、子どもの結婚相手まで仕事に使わなきゃやってけないの? 」
大袈裟に驚いてやると、そんなことを言われるとは思いもしなかったのか、市之宮が目を瞠った。
けれど直ぐに侮辱されたと理解して、浩峨を睨み付ける。
ふっ……と浩峨が、瞳を細めた。
「俺んトコは自慢じゃないけど、本人が惚れた相手なら誰も文句は言わないよ? そんなんで駄目んなる会社じゃないしね 」
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