溺れるカラダに愛を刻んで【完結】

山葵トロ

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★お兄さん達の本音(*BL要素アリマス。注意要*)

8-11

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 『良いことを教えてやるなんて、口からのでまかせだったのになぁ 』


 見上げた先、部屋の窓から溢れる暖かい光。

 あそこには誰よりも愛しいコが、まだ慣れない手料理を作って自分の帰りを今か今かと待っている。


 やっぱりデザートが先かな?

 あの可愛らしい、ふっくりとした果実のようなあまい口唇に早く触れたい。

 思わず軽く、速くなった足取り。 気付いた浩峨は、『ホント、らしくなくなっちゃって 』と自分で自分を笑った。







 「兄貴……? 」


 思わず思い出し笑いをする浩峨に、弟が眉をひそめる。

 「普段の自分なら有り得ないようなことをするって時点で、それは相当ヤられてるってことだよな……」

 「そうだな。 基本、自分勝手で薄情な兄貴らしくはないからな」

 自分自身に確認した呟きに、律儀に答えを返す浩輔に浩峨はぶはっと吹いた。


 「ひでぇ……」

 「本当のことだろう? 」

 「本当のことって…… 」


 全く、何て言われよう。

 しかし、弟にまで《らしくない》と言われては、かなりのものだと自覚する。
 けれど、それがまた嫌では無いから重症なのだ。


 「コウちゃんたら、お兄ちゃんのこと嫌いなの? 」

 くっくっと止まらない笑いを押し殺しながら落ちてきた前髪をかき上げると、浩輔が「好きな訳あるか 」と吐き捨てた。

 「小さい頃から兄貴の弟でどんなに大変だったか……、でもまぁ、根っこのとこじゃあ信頼してるよ 」

 「ははっ。優しいね、コウちゃん 」

 訝しげな視線を寄越してきた浩輔に、浩峨は茶化した笑みを消す。


 「いい子なんだよ、物凄く 」

 浩峨が纏う空気の色を変えたのを感じ、浩輔は眉間のしわを更に深くした。


 「……? 」

 「この俺が本気で欲しいと思うくらいに……ね 」


 弟とその恋人に頼まれて仕方無く了承したが、美花のことを預かることは、初め正直面倒臭いなと思っていた。 只でさえ仕事が忙しいのに、煩わしいことを頼んでくるなと。

 でもきっと、あの部屋を見たら普通のコなら逃げ出すかなとも思っていた。
 部屋の本をリビングに投げといたのも、部屋を用意して、やるべきことはやりましたって体面。
 更に部屋が汚れたのも好都合だった。

 カップボードに多めの金を入れといたのも、持ってどっか行ってくれたら安いもんだと思ったから。

 しかし、美花は食事も取らずにあの部屋を一晩掛けて綺麗に片付けてしまった。頑張って頭に綿埃を付けていることにも気付かないのが、また可愛いかった。
 そんなコだから、用意した金に黙って手をつける筈もない。

 そして困ったことに、あの日、柔らかく射し込む光の中、リビングの真ん中で疲れて眠る美花を見た時、自分の部屋に天使がいると本気で思ってしまったのだ。いい歳して、柄にも無く。





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