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しおりを挟むその、《恋人》やらの所に行っているって言いたいのか……?
絶句した真祝を、隙を突いた央翔がタオルケットごと、ひょいと横抱きに持ち上げる。
「……っ!? 何するっ! 」
「ベッドに連れて行くんですよ 」
耳元で囁く艶めいた声に焦った。
「お、れはっ! もう二度とお前とはしないからなっ! 」
下ろせ、やめろと騒げば、「はいはい、僕も今すぐにどうこうしようとは思ってませんよ 」と、運ばれたベッドにそっと下ろされた。
寝かされて、上掛けを掛けられ、上からポンポンと叩かれる。
「我が儘言わないで、今はいい子に寝てくださいよ。くたくたでしょ? 身体もメンタルも。」
「誰のせいだと思ってんだよ! 嫌なことばっかり聞かされて、当然だろ! 」
起き上がろうとすると、上から押さえ付けられて動けない。同じ男なのにこんなに違うものなのかと、自分が情けなくなる。
「……俺は二海人に聞くまでは信じないからな 」
恨めしげに言ったら、央翔が口元に笑みを浮かべた。
「僕に番にされたことよりそっちのことの方が一大事なんですね、真祝さんは 」
言われた言葉に何故か後ろめたい気持ちになって、真祝は央翔から視線を逸らす。
「だから、言ってっだろ。俺を番にしたこと、気にするなって。二海人がお前にうちの鍵を渡したってんなら、尚更だ 」
「嵐柴さんの責任まで負うつもりですか? 貴方は、僕に対しても、嵐柴さんに対しても怒っていいんですよ? 」
真祝はふるふると首を振った。
「お前の気持ちを考えたら、怒るなんて出来ないよ 。二海人だってそうだ、アイツにはずっと振られてるのに、俺は気持ちをぶつけてばかりだし 」
央翔の話が全て本当だとしたら、やっぱり二海人は自分のことを本当に嫌になっちゃったのかもしれない。発情期の始末まで頼む友達なんて聞いたこともないし。
「……んとうに、……どい人です、ね」
「え……? 」
よく聞こえなくて聞き返せば、突然指先で顎を掴まれ、央翔の方を向かされた。
「でも、真祝さんが何を言ったって、僕が貴方の《番》である事実は変わりませんから 」
「俺は……、二海人が好きなんだ。その事実だって、変わらない 」
パチッと合わさった視線に火花が散った気がした。
言われていることの意味は分かる。だからって、こっちだって、引く訳にはいかない。
ぐっと睨み返せば、両肩を掴まれて揺すぶられる。
「どうして……、どうしてこれだけ言っても分かって貰えないんですか? 」
そんなの、分かってる。今までだって、何度もやめようと思った。だけど、やめられないから苦しいんじゃないか。
「俺は、そんな一方的な想いのために、《運命の番》から捨てられるんですか? 」
「だからっ、しょうがないって言ってる!皆が皆、《運命の番》が1番大事な訳じゃない! 俺は俺の気持ちが1番大事…… 」
感情に任せて言い返すと、揺さぶる手がピタリと止まった。
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