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1話 この世界で生き延びられますか?
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この世界には大きく2つに分類される能力が存在する。
『生成能力』と『操作能力』の2種類である。
『生成能力』とは物質を生み出す能力。
ただし、引き換えに空間に存在する《魔力》を消費する。
この能力を保持する者を『生成能力者』と呼ぶ。
対して『操作能力』は特定の物質を自在に操ることの出来る能力。
ただし、その練度によって可能な操作の幅は変動する。
保持者は『操作能力保持者』と呼ぶ。
これら2つの能力は10歳になった時、突然発現すると言われているが、個人差はもちろんある。
5歳で発現した子供もいれば、15歳になっても発現していない子だっているのだ。
原因は解明されていない。
更に謎は深まる。
この世界では全ての『生成能力保持者』が女性であり、全ての『操作能力保持者』が男性であるのだ。
この世界は不思議で満ちていた。
興味深い。
私はこの世界を更に掘り下げていこうと思う。
ーレポート1・観測者ー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
白河天音に能力が発現したのは8歳になってすぐだった。
目が覚めて、大きく伸びをしたらその能力が発動して驚いたものだ。
開花した能力は『風を生成する能力』。
能力的には大当たりの能力と言えるが、自分は所詮ジェネレーター。
生活に役に立たせられる程上手くは扱えない。
能力発現から8年。
天音は16歳、高校1年生になった。
能力も毎日の練習により、何とか生活の役に立つ程度には扱えるレベルに成長した。
しかし、天音の家は非常に貧乏である。
学校に通うことがやっとの生活を送ってきた。
そして、天音には2つ上の兄がいる。
名前は空太。
彼が原因の1つだ。
空太は18歳にして未だ能力が開花していなかった。
これは天音達の住む世界では大きな枷となる。
《15歳以上の無能力者1人につき、収入の3割を没収する》
こんな馬鹿げた法律のせいで、白河家は質素な生活を余儀なくされていた。
家での肩身が狭いのはもちろん、空太は高校生になって3年間いじめを受けている。
悪口などは優しいもので、殴ってくる者も少なくはなかった。
1番多いのは能力を使用した嫌がらせ。
靴をびしょびしょにされたり、服を焼かれたり。
数えだしたらキリがない。
だが、そんな空太を天音は嫌ってはいなかった。
むしろ尊敬していた。
天音にとって唯一の兄であり、それ以上に空太は妹思いだからだ。
天音が困っていた時、空太が助けに来なかったことはない。
自分が役に立たないと分かっていても声はかけてくれるし、出来るだけ助けようとしてくれる。
天音にとって兄はヒーローだった。
だから、そんな兄を「落ちこぼれ」「失敗作」と罵る奴らが許せなかった。
「兄さんは能力に目覚めたら、きっと誰よりも凄いヒーローになってくれる」
そう信じていた。
そんないつもの変わらないある日、『アレ』が起こらなければ……
天音と空太は近所の高校に通っていた。
空太の要望により、2人は別々の時間に登校するようにしている。
理由は明白、空太は歩いているだけで悪口の嵐だからだ。
今日は空太が先で、10分後に天音が登校した。
レンガ造りの西洋風な建物が点々と建ち並んでいる街。
いつもと何も変わらない空だが、風が少し不気味な感じがする。
能力保持者になってから、風の雰囲気を感じ取れるようになったのが原因だろう。
授業中も窓から吹く風が妙に気持ち悪かったのが印象に残る。
そして放課後、事件は起こった。
「え……」
提出の遅れたプリントを職員室に提出した矢先の廊下の先で、血だらけになって倒れている空太を見つけた。
その周りには3人の男子生徒。
靴の色から空太と同じ3年生だろう。
掲げられた右腕に赤く発光する幾筋ものラインが見えた。
あれは『操作能力』を使用している証。
男子生徒達は遠回しな嫌がらせでは満足いかず、直接空太に手を下す気なのだ。
「兄さん……ッ!」
プリントを投げ出して空太の方へ踏み込んだ。
その瞬間、男子生徒の1人が窓ガラスを叩き割った。
バリンッと荒々しい音が響いたが、ガラスは散乱することなくその場に浮遊している。
右腕を掲げた男子生徒の能力は『ガラスを操作する能力』。
割れて鋭利になったガラスを空太に叩きつけるのだとしたら……確実に命を奪える。
男子生徒がニヤリと笑って手を振り下ろす。
その瞬間、天音はその場に急停止して両手を前に突き出した。
男子生徒との距離は廊下の端から端、およそ30メートル。
今の天音の技量ではギリギリの射程だ。
届いても団扇で仰いだ程度の風。
だが今はそれでは足りない。
ありったけを……限界を超えなければ空太を救うことは出来ない。
「風よ……ッ!」
集中力を極限まで上げる。
両腕に水色に発光するラインが浮かび上がり、体温を上げた。
そんなこと気にせず、力を解き放つ。
ヒュンッと軽い音と同時に3人の男子生徒達が廊下の端の壁に叩きつけられた。
それも、壁に亀裂が残る威力で。
浮遊していたガラス片は一斉に落下し、血だらけの空太だけがそこに残っていた。
天音は急いで空太の元へ駆けつけ、肩を貸して立たせる。
「兄さん!大丈夫!?」
「天音……? はは……みっともないとこ……見せたな……」
空太は満身創痍といった様子で意識を朦朧とさせていた。
急いで病院に連れて行かないと……!
天音の脳内は混乱していた。
空太を救う事だけで精一杯だった。
だからその時、背後にガラスを割った時に使ったであろう木の棒を持った男子生徒が背後で鬼の様な形相で棒を振り上げたことに気付いていなかった。
天音から1番遠い場所に立っていたこの男は、ギリギリ気を失わずに済んでいたのだ。
「死ねぇぇぇッ!」
「ッ!」
男子生徒が絶叫を上げ、ようやく事態に気付いたがもう遅い。
ガラス片が所々に刺さった棒は振り下ろされていた。
俺が……守らなきゃ……ッ!
唯一動けたのは空太だった。
全身傷だらけで、本来ならピクリとも動かない身体を無理矢理動かして天音をその場から押し飛ばす。
驚愕の表情を浮かべる天音。
咄嗟の判断で能力を発動させようとしたが、不発に終わった。
空間の魔力が……足りない……!
先程の全力解放でこの周囲に漂う全ての魔力を風に変換してしまっていたのだ。
このままでは自分は助かっても兄が死んでしまう。
そんなのは嫌だ。
もう一度、祈るようにして能力を発動する。
お願い神様……!兄さんを助けて……!
想いは虚しく、天音の両腕にラインが現れることは無かった。
しかし、棒を振り下ろす男子生徒の動きは確かに停止した。
「え……?」
再び驚愕の表情を浮かべる天音。
なぜなら、男子生徒の腹から巨大な針のようなものが突き出ていたからだ。
いや、その背後に存在する異形に驚いたのか。
「なんだ……こ……れ……?」
男子生徒がそう呟いたと同時に、針が抜かれた。
ブシャッと生々しい音を盛大にたてながら。
力無くその場に倒れる男子生徒は既に絶命していた。
天音は困惑しながら空太を見た。
空太は天音を押し飛ばした事により力を使い切ったのか、意識を失っている。
安心……とはいかないだろう。
「グルル……ルルァ……」
巨大な羽と昆虫を彷彿とさせる頭部の口部からは緑色の粘液が滴っていた。
体長にして5メートルはある。
巨大な針は異形の尻尾だったようだ。
人間に似た腕と脚を力無くぶら下げながら、異形は満足気に尻尾を振り上げた。
まるでご馳走を前に何から食すか悩むように。
「ひ……ッ!」
殺される……ッ!
今すぐ空太を連れてここから逃げ出さなければ確実にこの異形のエサにされる。
しかし空太は気を失って動けない上に、天音自身腰を抜かして立つこともできない。
「何事だ……ッ!」
救世主か。
男性教員が騒ぎに気付いてやってきた。
教員は血まみれの空太と絶命した男子生徒を見て唖然とし、次に異形を見て絶望した。
異形も教員に視線を向け、巨大な尻尾をゆらゆらと振る。
ご馳走が増えたと認識したらしい。
教員は一瞬ふらつきながらも覚悟を決めた。
何が起きているか定かではない。
しかし、自分は教員として生徒を守らなければならない、と。
教員は走り出した。
右腕に赤いラインを迸らせながら。
「白河ッ!逃げるぞッ!」
「先生……!きゃッ!」
教員は天音を左腕で担ぎ上げ、右手を振るった。
同時に天音が投げ捨てたプリントが異形に向かって飛来し、眼球に直撃した。
「ギュラァァァッ!」
異形が叫び声を上げる。
男性教員の能力は『紙を操作する能力』。
視界にプリントが落ちている事に気付き、この方法しかないと考えたのだ。
教員は天音を抱えたまま全速力でその場から逃げた。
空太を残して。
「先生ッ!兄さんがッ!兄さんがぁッ!」
「うるさいッ!あの無能よりお前の命が最優先だッ!」
「離してッ!離してよッ!」
抱えられたまま暴れるが、教員の腕はビクともしない。
予想以上に力が強いのか、天音の力では及ばないらしい。
それでも天音は諦めきれなかった。
ヒーローを失いたくないから。
天音は離れていく空太に手を伸ばして叫んだ。
「兄さぁぁぁぁぁんッ!」
気付けば天音は学校のグラウンドにいた。
涙でビショビショになった顔を拭いながら空を見上げる。
空は血のような赤に染っていた。
それだけではない。
空の至る所に先程の異形が飛んでおり、街の至る所で火災が起きていた。
その風景は地獄そのものであった。
「兄さん……」
ポツリと呟く。
世界が真っ暗になった気分だ。
脱力したまま動けない。
周りでは他の生徒達が泣いていたり、喧嘩したりしている。
教員達はそれぞれの能力を用いて異形と戦っていた。
なるほど、このグラウンドでみんなが集まっているのはそういう事か。
ここにいれば教員達で守れる。
その自信があるのだろう。
確かに教員達は、学校に能力を使用して襲ってくる能力保持者を撃退するために、戦いのノウハウを学んでいる。
もちろんその為に私生活によくあるものを操作出来るマニューバーを多く採用している。
だが、所詮は対人間用のマニュアル。
異形相手にマニュアル通りの戦い方では勝ち目などあるはずもない。
「そっちに1匹行ったぞッ!」
「無理だッ!間に合わないッ!」
教員の1人が異形を逃したらしい。
天音が視線を移すと見知った女子生徒に異形が襲いかかろうとしていた。
かつて空太は言った。
「困っている人が目の前にいたら助けるのは当たり前だ」と。
今目の前にいる子はどうだ。
三国甘菜。
能力は『甘い物を生み出す能力』。
将来は能力を活かして菓子屋を営業する事が夢だと言っていた。
中学時代からの友達。
彼女は困っているだろうか。
甘菜は震え、瞳には涙を浮かべている。
「助けないと……ッ!」
空太ならそうする。
空太なら困っている人を目の前に何もしないわけが無い。
天音は勢いよく立ち上がり、今にも甘菜に襲いかかろうとする異形に片手を向けた。
右手を銃のように構え、左手で右腕を支える。
能力はイメージが大事だ。
異形を撃退するにはシンプルな強風では足りない。
両腕に水色のラインが浮かび上がる。
「風よッ!」
狙いを一点に凝縮された風は弾丸となり、異形の頭部を吹き飛ばす。
紫色の体液をそこら中に撒き散らし、巨大な異形の亡骸が勢いをそのままに地面に激突した。
「甘菜、大丈夫?」
「天音ちゃん……!」
甘菜が走り寄ってきて天音に抱き着いた。
号泣しながらかなりの力で締め付けてくる。
天音は甘菜の頭を撫でながら周りを見回した。
教員達にも焦りの表情が浮かんでいる。
操作能力は魔力ではなく体力を消耗するので疲れが出るのもおかしくはない。
この空間に魔力はまだ存在する。
私は……戦える。
天音は抱き着いていた甘菜に離れてもらい、1番近くにいる異形に指を向けた。
左目を瞑り、狙いを定める。
「風よッ!」
ビュンッと荒々しい音と共に風の弾丸が放たれた。
不可視の弾丸が異形の頭部に真っ直ぐ直撃する。
はずだったが、異形は自ら尻尾で防いだ。
尻尾が千切れ飛んだが、異形はまだピンピンしている。
「グギャァァァッ!」
異形が怒りの咆哮を上げた。
狙いはもちろん天音。
勢いよく飛んできた。
教員達も自分の相手で精一杯な様で、こちらまで対応出来ないらしい。
ならもう1発当てられれば……!
再び指を飛来する異形に向け、構える。
しかし、蛇行しながらこちらへ向かってくる異形に狙いがなかなか定まらない。
このままじゃ……間に合わない……!
天音は歯を食いしばった。
次の策だ。
考えろ、生きてここから逃げ出す。
兄さんはきっと生きている。
いつか兄さんと再び会うために……
「私は戦う……ッ!風よッ!」
弾丸が当たらないのなら別の方法を。
天音は広範囲に強風を生成した。
流石の異形もバランスを崩す。
次の攻撃へ天音が動き出した瞬間、ふらつく異形の身体が斜めに分断された。
同時に、空から灰色の軍服を着た何人もの人が落ちてくる。
彼らはパラシュート無しで着地し、各々の武器を構えた。
「君、なかなかやるね。でもここからは俺達《守護者》が請け負う!全員、戦闘開始ッ!」
「「「おぉぉぉッ!」」」
リーダー格の男は天音に優しく声を掛け、右手に握った剣を掲げ、叫んだ。
《守護者》達は返すように叫び、走り出す。
この国に存在する国家戦力、それが《守護者》。
いくつもの国に分かれたこの世界で能力戦闘に長けた者達を国々で集めた能力戦闘のエリート集団である。
主な仕事はテロの制圧などの荒事が多いので、日の目を浴びることは少ない。
彼らもまた教員と同じく対人間の戦闘訓練を行っているが、その練度は段違い。
異形相手でも遅れは取るまい。
数にして20人程度の《守護者》達はあっという間にその場を制圧した。
先程のリーダー格の男が安全を確認して天音達の方へやってくる。
「大丈夫だったかい?先生方、怪我人はいらっしゃいますか?こちらで手当します」
「ありがとう。おかげで被害は最小限に抑えられたよ。怪我人はそこに固まっている、よろしく頼む」
「了解です。治夜、任せたぞ」
「分かりましたー!」
状況がドンドン進んでいく。
治夜と呼ばれた小学生にしか見えない《守護者》のメンバーの1人は怪我人がまとまっている場所へ駆け付け、リーダー格の男は周囲の偵察を別メンバーに任せていた。
天音はその場に力無く座り込んだ。
その頬を涙が伝う。
空太を目の前で失った事は天音にとってあまりにも大き過ぎる出来事だった。
今の今まで生き残るという事だけ考えるようにしていたから戦えた。
だが、戦いが終わった途端これだ。
「兄さん……きっと会いに行くから……」
天音は涙ながらに呟いた。
ずっと隣にいた甘菜が何かを差し出す。
見ればカップケーキだった。
「辛い時は甘い物だよね!私にはこんな事しか出来ないから……それと、助けてくれてありがと」
「甘菜……こちらこそありがと、無事で本当に嬉しい」
天音は笑顔の甘菜から受け取ったカップケーキを口に放り込んだ。
甘い……とても甘かった。
自然と笑顔を浮かべる天音を見て、甘菜も満面の笑顔を浮かべる。
そこに1人の男が現れた。
先程のリーダー格の男だ。
「話は聞いてるよ、校舎に生存者は居なかった。見つかったのは3人の遺体、食われた後のね」
「ッ!そう……ですか……ありがとうございます」
3人の遺体。
それは誰の物だ。
1人は目の前で殺された男子生徒だろう。
残りの2人は……?
空太を虐めていた残りの2人か?
それとも……
天音はそれ以上考える事を辞めた。
空太が生きていると信じなければ、生きていけない。
リーダー格の男は続けた。
「君に提案がある。君のお兄さんが生きているとして、探すのにうってつけの提案だ」
「うってつけ……?」
「君に《守護者》のメンバーになって欲しい。この先恐らくあらゆる所であの化け物は現れる。化け物を討伐しつつ各地でお兄さんを探せる、どうだろう?」
《守護者》になるということは命の危険を冒し続けるという事だ。
だが、確かに空太に近付くことは出来るだろう。
空太なら困っている人を見捨てない。
目の前に異形が現れたら必ず戦う。
そうならばいずれ出会えるかもしれない。
ならば答えは1つしかない。
「分かりました。その提案に乗ります」
「本当か!助かるよや俺達も今後の戦力に困ってたんだ」
「私は白河天音。能力は『風を生み出す能力』です」
「俺は市ヶ谷衛。《守護者》のリーダーをしてる。能力は『鉄を操作する能力』だ!これからよろしく頼むよ、白河君」
かくして天音は空太を探す為、国家戦力《守護者》の一員となった。
果たして天音の行先で空太を見つけることは出来るのか。
彼女はまだ、今後の地獄を知らない。
『生成能力』と『操作能力』の2種類である。
『生成能力』とは物質を生み出す能力。
ただし、引き換えに空間に存在する《魔力》を消費する。
この能力を保持する者を『生成能力者』と呼ぶ。
対して『操作能力』は特定の物質を自在に操ることの出来る能力。
ただし、その練度によって可能な操作の幅は変動する。
保持者は『操作能力保持者』と呼ぶ。
これら2つの能力は10歳になった時、突然発現すると言われているが、個人差はもちろんある。
5歳で発現した子供もいれば、15歳になっても発現していない子だっているのだ。
原因は解明されていない。
更に謎は深まる。
この世界では全ての『生成能力保持者』が女性であり、全ての『操作能力保持者』が男性であるのだ。
この世界は不思議で満ちていた。
興味深い。
私はこの世界を更に掘り下げていこうと思う。
ーレポート1・観測者ー
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白河天音に能力が発現したのは8歳になってすぐだった。
目が覚めて、大きく伸びをしたらその能力が発動して驚いたものだ。
開花した能力は『風を生成する能力』。
能力的には大当たりの能力と言えるが、自分は所詮ジェネレーター。
生活に役に立たせられる程上手くは扱えない。
能力発現から8年。
天音は16歳、高校1年生になった。
能力も毎日の練習により、何とか生活の役に立つ程度には扱えるレベルに成長した。
しかし、天音の家は非常に貧乏である。
学校に通うことがやっとの生活を送ってきた。
そして、天音には2つ上の兄がいる。
名前は空太。
彼が原因の1つだ。
空太は18歳にして未だ能力が開花していなかった。
これは天音達の住む世界では大きな枷となる。
《15歳以上の無能力者1人につき、収入の3割を没収する》
こんな馬鹿げた法律のせいで、白河家は質素な生活を余儀なくされていた。
家での肩身が狭いのはもちろん、空太は高校生になって3年間いじめを受けている。
悪口などは優しいもので、殴ってくる者も少なくはなかった。
1番多いのは能力を使用した嫌がらせ。
靴をびしょびしょにされたり、服を焼かれたり。
数えだしたらキリがない。
だが、そんな空太を天音は嫌ってはいなかった。
むしろ尊敬していた。
天音にとって唯一の兄であり、それ以上に空太は妹思いだからだ。
天音が困っていた時、空太が助けに来なかったことはない。
自分が役に立たないと分かっていても声はかけてくれるし、出来るだけ助けようとしてくれる。
天音にとって兄はヒーローだった。
だから、そんな兄を「落ちこぼれ」「失敗作」と罵る奴らが許せなかった。
「兄さんは能力に目覚めたら、きっと誰よりも凄いヒーローになってくれる」
そう信じていた。
そんないつもの変わらないある日、『アレ』が起こらなければ……
天音と空太は近所の高校に通っていた。
空太の要望により、2人は別々の時間に登校するようにしている。
理由は明白、空太は歩いているだけで悪口の嵐だからだ。
今日は空太が先で、10分後に天音が登校した。
レンガ造りの西洋風な建物が点々と建ち並んでいる街。
いつもと何も変わらない空だが、風が少し不気味な感じがする。
能力保持者になってから、風の雰囲気を感じ取れるようになったのが原因だろう。
授業中も窓から吹く風が妙に気持ち悪かったのが印象に残る。
そして放課後、事件は起こった。
「え……」
提出の遅れたプリントを職員室に提出した矢先の廊下の先で、血だらけになって倒れている空太を見つけた。
その周りには3人の男子生徒。
靴の色から空太と同じ3年生だろう。
掲げられた右腕に赤く発光する幾筋ものラインが見えた。
あれは『操作能力』を使用している証。
男子生徒達は遠回しな嫌がらせでは満足いかず、直接空太に手を下す気なのだ。
「兄さん……ッ!」
プリントを投げ出して空太の方へ踏み込んだ。
その瞬間、男子生徒の1人が窓ガラスを叩き割った。
バリンッと荒々しい音が響いたが、ガラスは散乱することなくその場に浮遊している。
右腕を掲げた男子生徒の能力は『ガラスを操作する能力』。
割れて鋭利になったガラスを空太に叩きつけるのだとしたら……確実に命を奪える。
男子生徒がニヤリと笑って手を振り下ろす。
その瞬間、天音はその場に急停止して両手を前に突き出した。
男子生徒との距離は廊下の端から端、およそ30メートル。
今の天音の技量ではギリギリの射程だ。
届いても団扇で仰いだ程度の風。
だが今はそれでは足りない。
ありったけを……限界を超えなければ空太を救うことは出来ない。
「風よ……ッ!」
集中力を極限まで上げる。
両腕に水色に発光するラインが浮かび上がり、体温を上げた。
そんなこと気にせず、力を解き放つ。
ヒュンッと軽い音と同時に3人の男子生徒達が廊下の端の壁に叩きつけられた。
それも、壁に亀裂が残る威力で。
浮遊していたガラス片は一斉に落下し、血だらけの空太だけがそこに残っていた。
天音は急いで空太の元へ駆けつけ、肩を貸して立たせる。
「兄さん!大丈夫!?」
「天音……? はは……みっともないとこ……見せたな……」
空太は満身創痍といった様子で意識を朦朧とさせていた。
急いで病院に連れて行かないと……!
天音の脳内は混乱していた。
空太を救う事だけで精一杯だった。
だからその時、背後にガラスを割った時に使ったであろう木の棒を持った男子生徒が背後で鬼の様な形相で棒を振り上げたことに気付いていなかった。
天音から1番遠い場所に立っていたこの男は、ギリギリ気を失わずに済んでいたのだ。
「死ねぇぇぇッ!」
「ッ!」
男子生徒が絶叫を上げ、ようやく事態に気付いたがもう遅い。
ガラス片が所々に刺さった棒は振り下ろされていた。
俺が……守らなきゃ……ッ!
唯一動けたのは空太だった。
全身傷だらけで、本来ならピクリとも動かない身体を無理矢理動かして天音をその場から押し飛ばす。
驚愕の表情を浮かべる天音。
咄嗟の判断で能力を発動させようとしたが、不発に終わった。
空間の魔力が……足りない……!
先程の全力解放でこの周囲に漂う全ての魔力を風に変換してしまっていたのだ。
このままでは自分は助かっても兄が死んでしまう。
そんなのは嫌だ。
もう一度、祈るようにして能力を発動する。
お願い神様……!兄さんを助けて……!
想いは虚しく、天音の両腕にラインが現れることは無かった。
しかし、棒を振り下ろす男子生徒の動きは確かに停止した。
「え……?」
再び驚愕の表情を浮かべる天音。
なぜなら、男子生徒の腹から巨大な針のようなものが突き出ていたからだ。
いや、その背後に存在する異形に驚いたのか。
「なんだ……こ……れ……?」
男子生徒がそう呟いたと同時に、針が抜かれた。
ブシャッと生々しい音を盛大にたてながら。
力無くその場に倒れる男子生徒は既に絶命していた。
天音は困惑しながら空太を見た。
空太は天音を押し飛ばした事により力を使い切ったのか、意識を失っている。
安心……とはいかないだろう。
「グルル……ルルァ……」
巨大な羽と昆虫を彷彿とさせる頭部の口部からは緑色の粘液が滴っていた。
体長にして5メートルはある。
巨大な針は異形の尻尾だったようだ。
人間に似た腕と脚を力無くぶら下げながら、異形は満足気に尻尾を振り上げた。
まるでご馳走を前に何から食すか悩むように。
「ひ……ッ!」
殺される……ッ!
今すぐ空太を連れてここから逃げ出さなければ確実にこの異形のエサにされる。
しかし空太は気を失って動けない上に、天音自身腰を抜かして立つこともできない。
「何事だ……ッ!」
救世主か。
男性教員が騒ぎに気付いてやってきた。
教員は血まみれの空太と絶命した男子生徒を見て唖然とし、次に異形を見て絶望した。
異形も教員に視線を向け、巨大な尻尾をゆらゆらと振る。
ご馳走が増えたと認識したらしい。
教員は一瞬ふらつきながらも覚悟を決めた。
何が起きているか定かではない。
しかし、自分は教員として生徒を守らなければならない、と。
教員は走り出した。
右腕に赤いラインを迸らせながら。
「白河ッ!逃げるぞッ!」
「先生……!きゃッ!」
教員は天音を左腕で担ぎ上げ、右手を振るった。
同時に天音が投げ捨てたプリントが異形に向かって飛来し、眼球に直撃した。
「ギュラァァァッ!」
異形が叫び声を上げる。
男性教員の能力は『紙を操作する能力』。
視界にプリントが落ちている事に気付き、この方法しかないと考えたのだ。
教員は天音を抱えたまま全速力でその場から逃げた。
空太を残して。
「先生ッ!兄さんがッ!兄さんがぁッ!」
「うるさいッ!あの無能よりお前の命が最優先だッ!」
「離してッ!離してよッ!」
抱えられたまま暴れるが、教員の腕はビクともしない。
予想以上に力が強いのか、天音の力では及ばないらしい。
それでも天音は諦めきれなかった。
ヒーローを失いたくないから。
天音は離れていく空太に手を伸ばして叫んだ。
「兄さぁぁぁぁぁんッ!」
気付けば天音は学校のグラウンドにいた。
涙でビショビショになった顔を拭いながら空を見上げる。
空は血のような赤に染っていた。
それだけではない。
空の至る所に先程の異形が飛んでおり、街の至る所で火災が起きていた。
その風景は地獄そのものであった。
「兄さん……」
ポツリと呟く。
世界が真っ暗になった気分だ。
脱力したまま動けない。
周りでは他の生徒達が泣いていたり、喧嘩したりしている。
教員達はそれぞれの能力を用いて異形と戦っていた。
なるほど、このグラウンドでみんなが集まっているのはそういう事か。
ここにいれば教員達で守れる。
その自信があるのだろう。
確かに教員達は、学校に能力を使用して襲ってくる能力保持者を撃退するために、戦いのノウハウを学んでいる。
もちろんその為に私生活によくあるものを操作出来るマニューバーを多く採用している。
だが、所詮は対人間用のマニュアル。
異形相手にマニュアル通りの戦い方では勝ち目などあるはずもない。
「そっちに1匹行ったぞッ!」
「無理だッ!間に合わないッ!」
教員の1人が異形を逃したらしい。
天音が視線を移すと見知った女子生徒に異形が襲いかかろうとしていた。
かつて空太は言った。
「困っている人が目の前にいたら助けるのは当たり前だ」と。
今目の前にいる子はどうだ。
三国甘菜。
能力は『甘い物を生み出す能力』。
将来は能力を活かして菓子屋を営業する事が夢だと言っていた。
中学時代からの友達。
彼女は困っているだろうか。
甘菜は震え、瞳には涙を浮かべている。
「助けないと……ッ!」
空太ならそうする。
空太なら困っている人を目の前に何もしないわけが無い。
天音は勢いよく立ち上がり、今にも甘菜に襲いかかろうとする異形に片手を向けた。
右手を銃のように構え、左手で右腕を支える。
能力はイメージが大事だ。
異形を撃退するにはシンプルな強風では足りない。
両腕に水色のラインが浮かび上がる。
「風よッ!」
狙いを一点に凝縮された風は弾丸となり、異形の頭部を吹き飛ばす。
紫色の体液をそこら中に撒き散らし、巨大な異形の亡骸が勢いをそのままに地面に激突した。
「甘菜、大丈夫?」
「天音ちゃん……!」
甘菜が走り寄ってきて天音に抱き着いた。
号泣しながらかなりの力で締め付けてくる。
天音は甘菜の頭を撫でながら周りを見回した。
教員達にも焦りの表情が浮かんでいる。
操作能力は魔力ではなく体力を消耗するので疲れが出るのもおかしくはない。
この空間に魔力はまだ存在する。
私は……戦える。
天音は抱き着いていた甘菜に離れてもらい、1番近くにいる異形に指を向けた。
左目を瞑り、狙いを定める。
「風よッ!」
ビュンッと荒々しい音と共に風の弾丸が放たれた。
不可視の弾丸が異形の頭部に真っ直ぐ直撃する。
はずだったが、異形は自ら尻尾で防いだ。
尻尾が千切れ飛んだが、異形はまだピンピンしている。
「グギャァァァッ!」
異形が怒りの咆哮を上げた。
狙いはもちろん天音。
勢いよく飛んできた。
教員達も自分の相手で精一杯な様で、こちらまで対応出来ないらしい。
ならもう1発当てられれば……!
再び指を飛来する異形に向け、構える。
しかし、蛇行しながらこちらへ向かってくる異形に狙いがなかなか定まらない。
このままじゃ……間に合わない……!
天音は歯を食いしばった。
次の策だ。
考えろ、生きてここから逃げ出す。
兄さんはきっと生きている。
いつか兄さんと再び会うために……
「私は戦う……ッ!風よッ!」
弾丸が当たらないのなら別の方法を。
天音は広範囲に強風を生成した。
流石の異形もバランスを崩す。
次の攻撃へ天音が動き出した瞬間、ふらつく異形の身体が斜めに分断された。
同時に、空から灰色の軍服を着た何人もの人が落ちてくる。
彼らはパラシュート無しで着地し、各々の武器を構えた。
「君、なかなかやるね。でもここからは俺達《守護者》が請け負う!全員、戦闘開始ッ!」
「「「おぉぉぉッ!」」」
リーダー格の男は天音に優しく声を掛け、右手に握った剣を掲げ、叫んだ。
《守護者》達は返すように叫び、走り出す。
この国に存在する国家戦力、それが《守護者》。
いくつもの国に分かれたこの世界で能力戦闘に長けた者達を国々で集めた能力戦闘のエリート集団である。
主な仕事はテロの制圧などの荒事が多いので、日の目を浴びることは少ない。
彼らもまた教員と同じく対人間の戦闘訓練を行っているが、その練度は段違い。
異形相手でも遅れは取るまい。
数にして20人程度の《守護者》達はあっという間にその場を制圧した。
先程のリーダー格の男が安全を確認して天音達の方へやってくる。
「大丈夫だったかい?先生方、怪我人はいらっしゃいますか?こちらで手当します」
「ありがとう。おかげで被害は最小限に抑えられたよ。怪我人はそこに固まっている、よろしく頼む」
「了解です。治夜、任せたぞ」
「分かりましたー!」
状況がドンドン進んでいく。
治夜と呼ばれた小学生にしか見えない《守護者》のメンバーの1人は怪我人がまとまっている場所へ駆け付け、リーダー格の男は周囲の偵察を別メンバーに任せていた。
天音はその場に力無く座り込んだ。
その頬を涙が伝う。
空太を目の前で失った事は天音にとってあまりにも大き過ぎる出来事だった。
今の今まで生き残るという事だけ考えるようにしていたから戦えた。
だが、戦いが終わった途端これだ。
「兄さん……きっと会いに行くから……」
天音は涙ながらに呟いた。
ずっと隣にいた甘菜が何かを差し出す。
見ればカップケーキだった。
「辛い時は甘い物だよね!私にはこんな事しか出来ないから……それと、助けてくれてありがと」
「甘菜……こちらこそありがと、無事で本当に嬉しい」
天音は笑顔の甘菜から受け取ったカップケーキを口に放り込んだ。
甘い……とても甘かった。
自然と笑顔を浮かべる天音を見て、甘菜も満面の笑顔を浮かべる。
そこに1人の男が現れた。
先程のリーダー格の男だ。
「話は聞いてるよ、校舎に生存者は居なかった。見つかったのは3人の遺体、食われた後のね」
「ッ!そう……ですか……ありがとうございます」
3人の遺体。
それは誰の物だ。
1人は目の前で殺された男子生徒だろう。
残りの2人は……?
空太を虐めていた残りの2人か?
それとも……
天音はそれ以上考える事を辞めた。
空太が生きていると信じなければ、生きていけない。
リーダー格の男は続けた。
「君に提案がある。君のお兄さんが生きているとして、探すのにうってつけの提案だ」
「うってつけ……?」
「君に《守護者》のメンバーになって欲しい。この先恐らくあらゆる所であの化け物は現れる。化け物を討伐しつつ各地でお兄さんを探せる、どうだろう?」
《守護者》になるということは命の危険を冒し続けるという事だ。
だが、確かに空太に近付くことは出来るだろう。
空太なら困っている人を見捨てない。
目の前に異形が現れたら必ず戦う。
そうならばいずれ出会えるかもしれない。
ならば答えは1つしかない。
「分かりました。その提案に乗ります」
「本当か!助かるよや俺達も今後の戦力に困ってたんだ」
「私は白河天音。能力は『風を生み出す能力』です」
「俺は市ヶ谷衛。《守護者》のリーダーをしてる。能力は『鉄を操作する能力』だ!これからよろしく頼むよ、白河君」
かくして天音は空太を探す為、国家戦力《守護者》の一員となった。
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彼女はまだ、今後の地獄を知らない。
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