無能は超能力世界で生き延びられますか?

遠山ハルヒ

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2話 生き延びる術

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 空太は目を覚ました。
 そしてすぐ、地獄を見た。
 目の前に死体が3体並んでいたのだ。

「なんだ……これ……」

 身体の殆どを食われているが、この3人は空太を虐めていた集団に間違いないだろう。
 だが、問題はそこではない。
 目の前に異形がいた。
 この世の物とは思えない様な異形だ。
 それが空太を見て涎を垂らしている。
 次は……俺ってことか……
 覚悟は不思議と出来ていた。
 これもどれも自分が能力を持たない無能だからだ。
 全身痛んでピクリとも動けない。
 天音は無事に逃げられただろうか。
 最後に最愛の妹を守る事が出来て良かった。
 異形が鋭い針のような巨大な尻尾を空太に向ける。
 空太は目を瞑った。
 さあ、来い。
 早く俺をこのクソみたいな世界から解放してくれ。
 そう願いながら。

「クギャ……?」

 だが、神様はまだ空太を死なせてはくれないらしい。
 目の前で異形が真っ二つに分断された。
 異形は自分が斬られた事に気付くことなく絶命。
 そして目の前に淡い緑色の着物を着た男が立っていた。
 一瞬の内に様々な事が起きて理解が追いつかない。
 俺は……生きているのか……?
 困惑する空太に着物の男は不思議な物を見るような視線を向けた。

「ンだテメェ、生きてんのか?」
「あ、あぁ……何とか……」

 男は右手に握っていた刀のようなものを腰に下げていた鞘にチンと音をたてて納めた。
 空太は呆然と男を見上げる。
 着物の下にある筋肉は鍛え上げられていて、短い白髪は逆立っている。
 そして何より目立つのが眉間より少し上から伸びる1本の真っ黒なツノ。
 明らかに人間ではない。

「察しの通り、オレは鬼族だ。文句あっか?斬り殺すぞ」
「ほ、本当にいたんだ……」
「ったりめぇだろ。こちとら慎ましやかに生きてんだよ」

 鬼族と言えば絵本に出てくるような幻想の生物だというイメージが強い。
 もちろん絵本には悪役として登場する事が多い彼らだが……
 事実、空太は鬼族に助けられた。

「こんな所で突っ立ってねぇで行くぞオラ」
「行くってどこに……?あと俺、動けない……」
「放浪とするに決まってんだろ。鬼ヶ島なんてねぇからな?チッ、わーったよ連れてきゃいいんだろォ!」
「おわっ!」

 鬼族の男は軽々と空太を持ち上げる。
 そのままヒョイと窓から飛び降りた。
 担がれたままの空太に強烈な風が襲いかかる。
 喋る事も出来ず着地。
 とてつもない衝撃と重力が空太を襲う。
 鬼族の男は再び跳躍した。
 それも真っ直ぐに。
 再び風圧が。
 これ、死ぬんじゃないか俺……
 空太をそう思わせるには十分な体験だった。



 跳躍と風圧のセットを繰り返す事23回。
 空太は全く見覚えの無い村にいた。

「一体ここは……」
「オレのアジト。とりあえずオラ、これ飲め」

 そこは和風な雰囲気の漂う場所だった。
 鬼族の男は建物の中に入っていく。
 恐らく家なのだろう。
 男は空太に緑色の液体の入った小瓶を投げ渡した。
 言われるがまま液体を飲む。
 スーッとした清涼感と苦味が口の中に広がった。
 吐き出しそうになるのを我慢して飲み込む。
 するとたちまち身体の傷が塞がっていった。

「ポーションだ。飲んだらこっち来い」
「う、うん……?」

 いつも通りに動くようになった身体で男の元へ行く。
  男は「ここに座れ」と言わんばかりに隣の座布団を叩いた。
 空太はオドオドしながらも叩かれていた座布団に腰を下ろす。
 座ってみて改めて思った。
 この鬼、デカい……と。
 身長はゆうに2メートルを超えているだろう。
 更に、ムキムキの身体が加わることにより恐ろしい雰囲気が漂っていた。
 男は着物を少し着崩しながら空太を見た。

「テメェ名前は?」
「お、俺は白河空太……お前は……?」
「テメェお前ってなんだよ!こちとら命救ってやった恩人だぜ!?ったくこれだからガキは……オレは雷鬼らいきだ。能力は『電気を操作する能力』。空太、テメェの能力は?」
「鬼族にも能力はあるんだな……俺は無能力者だよ。能力は無い」

 雷鬼は目を丸くし、そして豪快に笑い出した。
 鬼族でも無能力者を笑うのか。
 空太の目が一瞬で外敵に向ける色に変わった。
 雷鬼はそれを感じ取って更に笑い出す。

「ガハハッ!テメェおもしれぇなッ!無能ときたか!ガハハハハッ!」
「お前も俺を馬鹿にするのか……助けてくれたのは感謝してるし薬も助かったよ。けど俺は俺を笑う奴に好意を向けられない」
「イヒヒッ!悪かったって!謝るから!この通り!ダハハッ!」
「お前……ッ!」

 雷鬼は明らかに空太を挑発していた。
 ここまでコケにされて黙っていられるほど空太も出来た人間ではない。
 雷鬼の着物の胸倉を掴む。
 すると雷鬼は笑う事を辞めた。
 空太は続けざまに拳を掲げ、雷鬼に振り下ろした。
 だが、それはいとも容易く受け止められる。

「テメェで無能を認めてるからテメェは弱ぇんだよ」
「うるさい……ッ!」
「だからなァ!テメェが弱ぇのは無能力が理由じゃねぇ!テメェ自身が弱ぇ事認めてるからだろうがッ!」
「ッ!ガハッ!」

 捉えられない速度で打ち出された雷鬼の拳が空太の腹を的確に打ち抜いた。
 肺に溜まっていた空気を勢いよく吐き出す。
 ふらつきながら3歩ほど下がるが空太は意地でも倒れない。
 雷鬼は「かかってこい」と挑発するように2回手招きした。
 馬鹿に……しやがって……ッ!
 空太に武術の心得は無い。
 それでもせめて1発。
 1発殴らなければ気が済まない。
 今まで散々な虐めにあってきた空太がここまで怒りを剥き出しにしたのは初めてだった。
 空太の拳を雷鬼は受け止めるのではなく、回避することに努めている。
 もちろん何度殴りかかっても当たりはしない。

「この……ッ!」
「まだまだァ!腰が入ってねぇぞッ!」
「うらぁッ!」
「踏み込みが甘ぇッ!」

 もう何度拳を振ったか分からない。
 空太はとっくに息を上がらせていた。
 それでもまだ殴りかかる。
 雷鬼もそれを延々と避け続けた。
 遂に空太が気を失う寸前に打ち出した拳を雷鬼は勢いよく掴んだ。

「こ……の……」
「テメェ、おもしれぇな。そんなに弱ぇのが悔しいならオレが強くしてやるよ。だからオラ……」
「雷……鬼……」
「空太テメェ……静って知ってっか?」
「おま……ッ!」

 バチンッと全身に電撃が走り、空太は完全に気を失った。
 雷鬼の操る電気には静電気も含まれているなんて誰が想像出来ただろうか。
 この日をきっかけに、空太は雷鬼に弟子入りする事となった。



 弟子入りから1ヶ月が経った。
 空太の成長速度は雷鬼ですら舌を巻くレベルだ。
 殴りかかられた時から気付いてはいたが……ったく、底が知れねぇ野郎だぜ……
 出会った時は殴られれば折れそうだった身体はひと回りほど大きくなり、黒髪は目を覆う程まで伸びていた。。
 この1ヶ月で、雷鬼は空太に体術を指導した。
 対人用体術だけでなく、規格外の生物と戦う時の体術も。
 空太はそれらをみるみるうちに吸収していった。
 今日はこれまで指導してきたことのテストを行う日となっている。
 雷鬼は首をコキコキと鳴らしながら空太を見下ろした。

「ルールは簡単。テメェがオレに1発でも食らわせたらテメェの勝ちだ。だが、もし無理なら無能はいらねぇ、ここで殺す」
「相変わらず笑えない冗談だな……そんなの余裕だよッ!」
「ハッ!笑わせんな!」

 まず空太の右拳が唸りながら雷鬼に打ち出された。
 その速度は1ヶ月前とは段違いだ。
 だがそんなこと、指導者である雷鬼が知らないはずがない。
 雷鬼は空太の拳を寸前で回避した。
 そして突き出された空太の腕を勢いよく左手で掴む。

「もらいッ!」
「そんなに馬鹿じゃないぞッ!」
「なにぃッ!」

 空太は掴まれた腕を軸に跳躍した。
 空太の身体は少し斜めで宙に放り出された形になる。
 これは空太の腕を雷鬼がかなり強く捕らえていたから可能な芸当だ。
 そこから空太は右脚を思い切り振り抜いた。
 跳躍の勢いを上乗せしたことにより、威力は先程のパンチの比ではない。
 更に雷鬼は左手で空太の腕を握っている。
 左側からの攻撃に対して対処出来ない。
 また、この形に持ち込めば左手を離されても何ともないのだ。
 確実に当てられると空太は確信した。
 だが、雷鬼は空太の想像以上の実力を有している。
 自分が置かれている状況を即座に理解した雷鬼は、本能的に掴んでいた空太の左腕を地面に叩きつけた。

「ぬぅんッ!」
「な……ッ!ガハッ!」

 とてつもない衝撃が空太の全身を駆け巡る。
 吹き飛びそうな意識を何とか繋ぎ止め、反撃を考えようとした。
 だが雷鬼の攻撃は終わっていない。
 雷鬼はまだ空太の右腕を握り締めていた。
 そして雷鬼は身体を一回転させ、その勢いのまま空太を放り投げる。
 投げ飛ばされた空太の身体は雷鬼のアジトの壁に叩きつけられた。
 激しく吐血する。
 あまりの威力に叩きつけられた壁は半ば砕けていた。

「高くつくぜぇ?」
「ぜぇ……ぜぇ……ッ!」
「もう限界かァ?それとも死にたくなったかァ?」

 震える両脚を叩き、やっとの思いで立ち上がる。
 雷鬼は既に空太の目の前にいた。
 息も絶え絶えな空太を雷鬼は無表情で見下ろしている。
 空太は雷鬼が冗談で殺すなんて言わないことを知っていた。
 雷鬼は本気で空太を殺すつもりでかかってきている。
 本気を出してもおそらく勝てない。
 だが、1発は当てられる。
 それくらいは強くなったつもりだった。
 雷鬼の実力は空太の遥か上を行く。
 それでもやらねばならない。
 空太は覚悟を決め、息を大きく吸い、吐き出しもせずに前へ突進した。
 予想外の動きに雷鬼の動きがほんの一瞬止まる。
 この一瞬で全てが決まる。
 空太は拳を握り締め、右アッパーを繰り出した。
 もちろんこれはフェイク。
 雷鬼もそれに気付いている様で、掴むのではなく回避した。
 次に左脚で全力の前蹴り。
 これも回避される。
 だが、この前蹴りを回避した事が雷鬼の命取りとなった。
 次の瞬間、空太が倒れた雷鬼にマウントを取っていた。

「俺の勝ちだ……!」
「ダハハッ!やっぱテメェ最高だなァ!」

 空太はアジトに叩きつけられた時、壁から零れ落ちた破片を左手に握り締めていたのだ。
 左脚の前蹴りとほぼ同時に投げずらい形ではあったが、破片を雷鬼の顔面に向けて投擲。
 それに気を取られた雷鬼の胴に掌底を叩き込み、転倒した所にマウントを取ったのだ。
 空太は自分の勝ちと宣言したが、実はそうでもなかった。
 雷鬼はこの状況から逆転する方法をいくつも持っている。
 だが、ルールはルールだ。
 1発当てられたのだから雷鬼の負け。
 空太は手を差し出して雷鬼を起き上がらせた。

「どうだ!満足か?」
「あァ、満足だ!体術は、な!」
「次は……雷鬼が持ってたアレか?」
「ご名答だ。ただし、アレの道は険しいぜ?」
「もちろんやるよ。俺は強くなりたいんだ」

 雷鬼は空太の両肩をバンッと叩いた。
 空太の不審がる顔を見た雷鬼はニカッと豪快に笑う。
 それに釣られた空太にも自然と笑みが浮かんだ。
 そして空太は膝から崩れ落ちた。
 とっくに限界を越えていたのだ。

「はぁ……強くなりたい、なァ……」

 雷鬼は溜め息を吐きながら空太を担ぎあげた。
 空太は確かに強くなれるだろう。
 だが、空太は何の為に強くなる?
 強くすると言ったのは雷鬼だ。
 雷鬼は出来るかもしれない事を挑戦する前から諦める奴が大嫌いである。
 だからその場ではそう言った。
 自分の考えが矛盾している事は分かっている。

「いや、違うな……オレはビビってんのか、こいつに……いけねぇ道に進んだ時、止められねぇから」

 このまま何年も修行を続ければ、空太は確実に雷鬼よりも強くなるだろう。
 そうなった時、師として悪しき道へ進んでしまった空太を止める事が出来ない。
 雷鬼はそれを恐れている。
 また同じ過ちを繰り返すのが嫌なのだ。

「テメェは正しい道に進んでくれよ……アイツみたいになられたらオレは二度と立ち直れねぇ……」

 かつての弟子の顔を想像しながら帰路を歩いた。
 しばらくすると嫌な事は頭からすぐ消える。
 我ながら気楽な奴だ。
 雷鬼は明日の修行メニューを考え始めていた。
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