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一章.幸せになったのは王子様だけでした。
8-4.
ロイドが学園で情報収集や授業をサボろうとするギルフォードを諫めている時、マリーベルはサラと共に大聖堂に来ていた。
大聖堂にある豪華な一室では、白地に金をあしらった煌びやかな祭服を纏った高齢の大司教とその隣にシンプルな白の祭服を纏った初老の司教と大司教の2人とマリーベルは向かい合いながら長いテーブルの端と端に向き合って座っていた。
マリーベルと司教と大司教の3人は表面上はニコニコと和かに微笑んでいるが雰囲気はピリついており、マリーベルの後ろで控えているサラは居心地の悪さを感じていた。
「聖女マリーベル、貴女はまた恥ずかしげもなく我が教会にまたもや金の無心に来たのですか。」
大司教の棘のある言葉に和かな笑みを崩さずにいるマリーベル。
「とんでもないですわ大司教様。わたくしはただ、今までわたくしの名を使って教会を盛り上げてきた報酬を受け取りに来ただけですわ。まさか前回の分だけで終わりな筈はありませんよね?わたくし知っていますのよ、わたくしの名を使ってどれほどお金を集めたか・・・でしたらそのお金はわたくしのお金も同然。わたくしが欲しい時に欲しいだけ渡すのが道理というものですわ。」
大司教は表面上は穏やかに笑っているが司教の方は笑みが崩れ顔の皮膚がピクピクと引き攣っていた。
教会はマリーベルの人間味の無い美しい容姿と神秘的な雰囲気を利用してマリーベルを現世に現れた女神の生まれ変わりなどと宣い、信者達にマリーベルと歴代の聖女の為に教会に金品を捧げれは幸せになれると言って大量の寄付金を巻き上げていた。
マリーベルの名を勝手に利用し教会が甘い蜜を吸っている事を王妃は知っていたが、マリーベルを悪く言っている訳でも無いし名が知れ渡るならと黙認していた。
自分の名を勝手に利用されている事にマリーベルは不満に思っていたが、その事を訴えられる立場ではないと思っていた為今まで何も言わなかったが・・・。
今のマリーベルは色んな経験をして利用できる物は利用する質になってしまった。
以前マリーベルはルーベンスの復興の為に前触れもなく大聖堂にやってきて教会の面々に『わたくしの名で集めたお金ならわたくしの物も同然。渡さなければ大聖堂の中で暴れてやりますけどどうしますか?』と脅して多額の金をゲットしたのだ。
そして現在、またしても金を奪いにやってきたマリーベルに司教2人は表面上は和かに見えるが内心怒り心頭だ。
確かにマリーベルの名を使って集めたお金ならマリーベルの物も同然かもしれないが強欲な司教達はこれ以上金をマリーベルに奪われたくなかった。
「前回は無料で寄付金を貰いに来ましたが今回は違いますわ。」
ニコリと微笑むマリーベルを大司教は鋭く睨んだ。
「何を企んでいる?」
「企んでいるなんて心外ですわ。わたくしは教会が気持ち良くわたくしのお金を自ら差し出してくれる提案をしにきたのに。」
マリーベルは一枚の紙を目の前に出した。
「契約書?」
その紙は契約書で中央に高額な金額が書かれていた。
「定期的にわたくしが大聖堂にやってきて教えを説いて差し上げますわ。どうせわたくしの名前を出してやっていたんですものわたくしが直接やった方が良いでしょう。」
司教2人は数秒目を丸くして驚くと、理想の聖職者のように人の良い慈愛溢れる優しい笑みを浮かべた。
「私は貴女を勘違いしていましたよ聖女マリーベル。」
大司教は契約書を手前に引き寄せるとスラスラとサインをするとマリーベルに差し出した。
「人々の前で教えを説く貴女の姿を楽しみにしてますよ。」
マリーベルも慈愛溢れる優しい笑みを浮かべる。
「ええ、とっても楽しみですわ。とっても…。」
その後、司教2人ハーレン家の馬車の近くまでマリーベルを見送りに来た。
「聖女マリーベル、最後に一つ君に聞きたいことがある。」
馬車に足をかけようと思っていたマリーベルは振り返る。
「君の目的は、いや…君が欲しい物はなんなんだい?」
大司教の問いにマリーベルはキョトンとした後に不敵に笑った。
「権力」
「は?」
「誰にも邪魔されない揺るがない絶対的な権力。」
清い聖女のイメージとは程遠い答えに司教は頭痛がしたのか眉間を押さえ大司教はニヤニヤと笑う。
「なんとも呆れた答えだ。聖女の癖に権力を欲するとは。」
「まぁまぁタズマエ司教、私は正直で良いと思いますよ。」
マリーベルはいつもの聖女らしい微笑みに戻る。
「ではごきげんよう。」
こうしてマリーベルは定期的に聖女として教会で教えを説く代わりに高額な金銭を得られるようになった。
「これも仕事だと思えば信者達から金品を巻き上げる事への罪悪感も減るわね。」
場所の中でマリーベルとサラは向かい合って座っていた。
「お金を得る為とは言え、とてもお忙しいのに教えを説きに赴く事になって良かったのですか?」
「この方法が1番面倒くさいけど1番楽なのよ。」
「ロイド・ハーレンがしっかり領地を管理していればマリーベル様にたくさんの苦労をかける事もなかったのに・・・。」
「仕方ないわよサラ、我が未来の旦那様は未熟者なんだから。だから私が頑張るの。」
「頑張り過ぎです!これ以上無茶しないでくださいね?」
「フフ、その分私の好きにさせてもらうけどね。だって私の領地ですもの。」
楽しそうに笑うマリーベルに対してサラはマリーベルを心配そうに見つめた。
「もうすぐお茶会ね・・・ケーキ食べられるかしら・・・。」
ブラッドベリー家のお茶会に誘われたマリーベルはその不安そうな言葉とは裏腹に、その目には野心が宿っていた。
「目的の為にはケーキぐらい食べないとね。」
大聖堂にある豪華な一室では、白地に金をあしらった煌びやかな祭服を纏った高齢の大司教とその隣にシンプルな白の祭服を纏った初老の司教と大司教の2人とマリーベルは向かい合いながら長いテーブルの端と端に向き合って座っていた。
マリーベルと司教と大司教の3人は表面上はニコニコと和かに微笑んでいるが雰囲気はピリついており、マリーベルの後ろで控えているサラは居心地の悪さを感じていた。
「聖女マリーベル、貴女はまた恥ずかしげもなく我が教会にまたもや金の無心に来たのですか。」
大司教の棘のある言葉に和かな笑みを崩さずにいるマリーベル。
「とんでもないですわ大司教様。わたくしはただ、今までわたくしの名を使って教会を盛り上げてきた報酬を受け取りに来ただけですわ。まさか前回の分だけで終わりな筈はありませんよね?わたくし知っていますのよ、わたくしの名を使ってどれほどお金を集めたか・・・でしたらそのお金はわたくしのお金も同然。わたくしが欲しい時に欲しいだけ渡すのが道理というものですわ。」
大司教は表面上は穏やかに笑っているが司教の方は笑みが崩れ顔の皮膚がピクピクと引き攣っていた。
教会はマリーベルの人間味の無い美しい容姿と神秘的な雰囲気を利用してマリーベルを現世に現れた女神の生まれ変わりなどと宣い、信者達にマリーベルと歴代の聖女の為に教会に金品を捧げれは幸せになれると言って大量の寄付金を巻き上げていた。
マリーベルの名を勝手に利用し教会が甘い蜜を吸っている事を王妃は知っていたが、マリーベルを悪く言っている訳でも無いし名が知れ渡るならと黙認していた。
自分の名を勝手に利用されている事にマリーベルは不満に思っていたが、その事を訴えられる立場ではないと思っていた為今まで何も言わなかったが・・・。
今のマリーベルは色んな経験をして利用できる物は利用する質になってしまった。
以前マリーベルはルーベンスの復興の為に前触れもなく大聖堂にやってきて教会の面々に『わたくしの名で集めたお金ならわたくしの物も同然。渡さなければ大聖堂の中で暴れてやりますけどどうしますか?』と脅して多額の金をゲットしたのだ。
そして現在、またしても金を奪いにやってきたマリーベルに司教2人は表面上は和かに見えるが内心怒り心頭だ。
確かにマリーベルの名を使って集めたお金ならマリーベルの物も同然かもしれないが強欲な司教達はこれ以上金をマリーベルに奪われたくなかった。
「前回は無料で寄付金を貰いに来ましたが今回は違いますわ。」
ニコリと微笑むマリーベルを大司教は鋭く睨んだ。
「何を企んでいる?」
「企んでいるなんて心外ですわ。わたくしは教会が気持ち良くわたくしのお金を自ら差し出してくれる提案をしにきたのに。」
マリーベルは一枚の紙を目の前に出した。
「契約書?」
その紙は契約書で中央に高額な金額が書かれていた。
「定期的にわたくしが大聖堂にやってきて教えを説いて差し上げますわ。どうせわたくしの名前を出してやっていたんですものわたくしが直接やった方が良いでしょう。」
司教2人は数秒目を丸くして驚くと、理想の聖職者のように人の良い慈愛溢れる優しい笑みを浮かべた。
「私は貴女を勘違いしていましたよ聖女マリーベル。」
大司教は契約書を手前に引き寄せるとスラスラとサインをするとマリーベルに差し出した。
「人々の前で教えを説く貴女の姿を楽しみにしてますよ。」
マリーベルも慈愛溢れる優しい笑みを浮かべる。
「ええ、とっても楽しみですわ。とっても…。」
その後、司教2人ハーレン家の馬車の近くまでマリーベルを見送りに来た。
「聖女マリーベル、最後に一つ君に聞きたいことがある。」
馬車に足をかけようと思っていたマリーベルは振り返る。
「君の目的は、いや…君が欲しい物はなんなんだい?」
大司教の問いにマリーベルはキョトンとした後に不敵に笑った。
「権力」
「は?」
「誰にも邪魔されない揺るがない絶対的な権力。」
清い聖女のイメージとは程遠い答えに司教は頭痛がしたのか眉間を押さえ大司教はニヤニヤと笑う。
「なんとも呆れた答えだ。聖女の癖に権力を欲するとは。」
「まぁまぁタズマエ司教、私は正直で良いと思いますよ。」
マリーベルはいつもの聖女らしい微笑みに戻る。
「ではごきげんよう。」
こうしてマリーベルは定期的に聖女として教会で教えを説く代わりに高額な金銭を得られるようになった。
「これも仕事だと思えば信者達から金品を巻き上げる事への罪悪感も減るわね。」
場所の中でマリーベルとサラは向かい合って座っていた。
「お金を得る為とは言え、とてもお忙しいのに教えを説きに赴く事になって良かったのですか?」
「この方法が1番面倒くさいけど1番楽なのよ。」
「ロイド・ハーレンがしっかり領地を管理していればマリーベル様にたくさんの苦労をかける事もなかったのに・・・。」
「仕方ないわよサラ、我が未来の旦那様は未熟者なんだから。だから私が頑張るの。」
「頑張り過ぎです!これ以上無茶しないでくださいね?」
「フフ、その分私の好きにさせてもらうけどね。だって私の領地ですもの。」
楽しそうに笑うマリーベルに対してサラはマリーベルを心配そうに見つめた。
「もうすぐお茶会ね・・・ケーキ食べられるかしら・・・。」
ブラッドベリー家のお茶会に誘われたマリーベルはその不安そうな言葉とは裏腹に、その目には野心が宿っていた。
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