13 / 14
眠りの番人たち。『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』
しおりを挟む眠るのが好きです。
ごろんと横になっているのが好きです。
とことんインドアなので、寝床でだらだらしていると心が休まります。
(あとで時間の使い方について色々反省しますが)
そのようなわけで、おふとんが大好きです。
おふとんさま、と言ってしまいたい。
そんな私がある日、素敵な絵本に出会いました。
もう、これは運命だと思います。
『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』
作・絵: 高野 文子
出版社: 福音館書店
表紙はとてもシンプル。
丸刈り頭でパジャマの裾をズボンにインした男の子が布団を敷いた和室の入り口に立っているところで、もうここから物語が始まります。
季節はおそらく晩秋から冬のちょっと肌寒い夜。
男の子は、しきぶとんさんと、かけぶとんさんと、まくらさんへ語りかけます。
『あさまでよろしくおねがいします』
『あれこれ いろいろ おたのみします』
男の子のお願いは、それぞれ一つずつ。
それに対し、しきぶとんさん、かけぶとんさん、まくらさんは、たのもしくも応えてくれます。
『まかせろまかせろ おれにまかせろ』
寝る前の、寝てからの不安のあれこれを、心強い味方が「まかせとけ」と答えてくれるお話です。
私のお気に入りはそれぞれの問答の前のページに必ずある、儀式めいた四コマの絵。
敷き布団の上に枕と畳んだ掛布団だけの図から、人が座り、掛布団に手を伸ばし、そしてそれを被って横になる。
台詞のない場面がちょっとしたアクセントになって次の場面へといざなうのです。
なによりも、高野文子さんのとても不思議な配色と絵と構図と繰り返される丁寧な言葉遣いのリズムは、誰の心にもすんなり溶け込めるのではないでしょうか。
また、そんなところが読み聞かせに向いているような気がするのです。
本のサイズは小さめですが、はっきりした線なので後ろまで見えるのではないかと。
なんなら、寸劇仕立てにして四人で語るのも面白いかな・・・。
男の子、しきぶとんさん、かけぶとんさん、まくらさん。
最後が輪唱または合唱のような感じになるので、そのような演出もありかと思います。
ただ短いから、声色を変えてみるというのも手かもしれない。
ついつい、そんな想像をしてしまう楽しい展開。
語り合いが素敵な、安心を届けてくれる優しい言葉運びになっていて、ゆっくり、ゆっくり楽しみたくなります。
そして何より。
日本の付喪神文化の良いところどりで、慣れ親しんだ寝具の一つにも感謝の気持ちを忘れない生活も大切だなあと思うのです。
それをおしつけがましく説くのではなく、楽しく優しく魅せてくれる作品です。
ところで、この布団に入る前の小さな不安と緊張感。
ここのところ眠りが浅くてどうにも体調のすぐれない私としては、わかるわかると深くうなずく状態になってきました…。
生まれたときからロングスリーパーとして名を馳せた私がなんてこと。
しきぶとんさん、かけぶとんさん、まくらさんへの感謝が足りないと言う事でしょうか。
歳を取ったからなどではない、感謝の気持ちが足りないのだ。たぶん。きっと。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
◆アルファポリスの24hポイントって?◆「1時間で消滅する数百ptの謎」や「投稿インセンティブ」「読者数/PV早見表」等の考察・所感エッセイ
カワカツ
エッセイ・ノンフィクション
◆24h.ptから算出する「読者(閲覧・PV)数確認早見表」を追加しました。各カテゴリ100人までの読者数を確認可能です。自作品の読者数把握の参考にご利用下さい。※P.15〜P.20に掲載
(2023.9.8時点確認の各カテゴリptより算出)
◆「結局、アルファポリスの24hポイントって何なの!」ってモヤモヤ感を短いエッセイとして書きなぐっていましたが、途中から『24hポイントの仕組み考察』になってしまいました。
◆「せっかく増えた数百ptが1時間足らずで消えてしまってる?!」とか、「24h.ptは分かるけど、結局、何人の読者さんが見てくれてるの?」など、気付いた事や疑問などをつらつら上げています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる