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王都編
最強の女
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ナタリアが騎士たちに囲まれ質問攻めになっている間に、リロイはアニーからタオルを受け取り、トリフォードとパール夫人のいる土手までやってきた。
「お疲れさま。なかなか良い勝負でしたね」
パール夫人がねぎらうと、リロイは首を振った。
「完全になまっていますね。レドルブ家でお世話になっている間も一応、自分なりに鍛錬してはいたのですが、ぜんぜんダメでした」
「実は、今日なら勝てるかもって思ったのでしょう」
「ええ。ナタリア様の生活が今は全く違いますからね…。正直ねらい目と思ったんだけどなあ。浅はかだったなあ」
顔が整って立ち居振る舞いも洗練されているリロイが、拗ねた少年のように口をとがらせる。
「ところで、ナタリア様を置いてきてよかったのですか」
つい二人の会話に引き込まれていたトリフォードは、我に返って尋ねた。
あれだけ激しい立ち回りをしたにもかかわらず、ナタリアはタオルで汗を拭きながらではあるが、次から次へと話しかけてくる男たちに時には笑いながら対応している。
「ああ、大丈夫。というか今のあれ、さっきの五本勝負込みの案件なので」
「え?」
「派手に大立ち回りを演じて、『さあ、君たち、男になりたくないかい?』っていう仕掛けで…」
「要するに、ダドリー家もしくは王立辺境騎士団への勧誘営業なのね」
「はい。俺はともかく、ナタリア様が抜けた痛手ははかり知れませんから」
今はレドルブ候の従僕扱いだがそもそもダドリーの騎士であるリロイは、見込みのありそうな下級騎士を引き抜くつもりなのだとあっさり手の内を晒す。
「ああ・・・」
朝の散歩時に鍛錬に付き合ってはいたがそれはまだ軽く流す程度で、本当は全く比べ物にならない実力だというのを思い知ったトリフォードは、その存在の大きさを思って嘆息する。
「あそこで一番強いのはもちろんダン・ベインズ騎士団長で、二番目がナタリア様の弟のルパート様。その次は…。まあ騎士団の連中も体格も経験もそこそこあるし長所はそれぞれなんで、一概には言えないのですが、とにかくナタリア様は別格です」
「そのせいで、嫁ぎ遅れちゃったのよね。彼女に勝てる男はなかなかいないし、なによりもルパート様とベインズ団長を倒せる人はいないから」
「・・・それはどういう・・・」
「俺、十五の時にナタリア様にひとめぼれして交際申し込んだのですが、返事が『・・・まずは、手合わせ、してみましょうか』で、一発で地面にたたき伏せられて。勝ったら告白できるのかもって頑張っているうちに、今度はいつの間にか『ダン・ベインズ団長に勝てたら』に変わったものだからもう…」
「ベインズ団長の実力派おそらく王都一ですからね。一生無理よ」
『交際を申し込んだ』ことをさらりと言うリロイにトリフォードは内心驚いたが、パール夫人も平然と話を続けたため、とりあえず相槌を打つ。
「なるほど」
ところが、そうして皆で守ってきたダドリーの宝が、思いもしない横やりでローレンス・ウェズリーのものになってしまった。
予想外どころの話ではない。
これもギルフォード一族のせいかと思うと、トリフォードは申し訳なさでいっぱいになる。
「そういやナタリア様の本領発揮は騎馬戦だから、あれも一度見せた方がよいのではないかしら」
思いに沈むトリフォードを横目に、パール夫人は勧誘の仕方についてさらなる提案をリロイに持ち掛ける。
「ああ、あれやられると、たいていの騎士はイチコロですよね」
頷くリロイにトリフォードは首をかしげる。
「確かに馬の扱いに長けておられますが…。騎馬戦ですか」
王都で年に何度か行われる騎士団の演習試合でも騎馬戦は別格だ。
馬上で剣をふるい続けるのはなかなか難しい。
しかもぶつかることも厭わない覚悟も必要だ。
貴族出身者の多い王都の騎士たちは、落馬すると重傷を負うかもしれない騎乗訓練を避ける傾向がある。
そもそもウェズリーの騎士団で上官たちはあらゆる訓練の指導を下官に任せ、ほとんど立ち会わない。名ばかりの騎士だ。
王都にいるあらゆる騎士たちも同じ傾向とみてよいだろう。
しかし、地方の騎士たちは違う。
治安次第では日々経験を積んでいる。
「槍や剣で戦うのはもちろんですが、早駆けしながら弓矢で的を射るのもナタリア様は得意ですね。どんな体勢でもほとんど外さない」
馬上で弾む細身でしなやかなナタリアの身体をトリフォードは思い浮かべた。
鞍なしでも乗れると、彼女から聞いた。
「ナタリア様が強すぎる理由の一つは、自分を囮にして戦うことに慣れている点ね。あれは男にはできないから」
一度、それを見たことがあるらしいパール夫人が話を続ける。
「囮?」
聞き捨てならない。
トリフォードは顔色を変えた。
「傭兵崩れの襲撃があったら、わざと女らしい髪形とか服装で参戦するの。もちろん、独りじゃないわよ。弟のルパート様と馬を相乗りして彼に操縦を任せてクロスボウをガンガン打ちまくるんだけど・・・曲芸乗りって表現したほうが分かりやすいわね」
賊の前を走る場合、弟の前に向かい合うようにナタリアは乗り、彼の身体越しにクロスボウを打つ。
確実に仕留めるナタリアの腕もさることながら、片手で姉を支え、視界が幾分遮られた状態で馬を操り、時にはもう一方の手で敵を切り伏せるルパートも尋常ではない。
「これが、先ほど説明した旅芸人たちに仕込まれて、さらに発展させた技術の一つなのだけど、こんなの、教えたところで誰も習得できないわ。十二年前からのコンビだから為せることでしょう」
大柄で雄々しいルパートと同乗すると、ナタリアの女らしさが際立つ。
しかも二人がつがいのようにぴったりくっついているさまは、戦いのさなか、男たちの欲をかき立てる。
アレからあの女を奪うのはどんなに楽しかろうと。
そこが、二人の狙いだ。
命をかけた戦いの中、少しでも雑念が混じれば…しめたもの。
ましてや、女をどう犯そうかと考え始めた時点で、戦闘能力は格段に落ちる。
それを片っ端から倒すのが姉弟の騎乗戦のやり方だ。
どんな汚い手を使っても、勝つことが一番。
生き残ることだけを考え、力を使い切れ。
それが、幼い二人が旅芸人たちに習ったことの一つだった。
「お疲れさま。なかなか良い勝負でしたね」
パール夫人がねぎらうと、リロイは首を振った。
「完全になまっていますね。レドルブ家でお世話になっている間も一応、自分なりに鍛錬してはいたのですが、ぜんぜんダメでした」
「実は、今日なら勝てるかもって思ったのでしょう」
「ええ。ナタリア様の生活が今は全く違いますからね…。正直ねらい目と思ったんだけどなあ。浅はかだったなあ」
顔が整って立ち居振る舞いも洗練されているリロイが、拗ねた少年のように口をとがらせる。
「ところで、ナタリア様を置いてきてよかったのですか」
つい二人の会話に引き込まれていたトリフォードは、我に返って尋ねた。
あれだけ激しい立ち回りをしたにもかかわらず、ナタリアはタオルで汗を拭きながらではあるが、次から次へと話しかけてくる男たちに時には笑いながら対応している。
「ああ、大丈夫。というか今のあれ、さっきの五本勝負込みの案件なので」
「え?」
「派手に大立ち回りを演じて、『さあ、君たち、男になりたくないかい?』っていう仕掛けで…」
「要するに、ダドリー家もしくは王立辺境騎士団への勧誘営業なのね」
「はい。俺はともかく、ナタリア様が抜けた痛手ははかり知れませんから」
今はレドルブ候の従僕扱いだがそもそもダドリーの騎士であるリロイは、見込みのありそうな下級騎士を引き抜くつもりなのだとあっさり手の内を晒す。
「ああ・・・」
朝の散歩時に鍛錬に付き合ってはいたがそれはまだ軽く流す程度で、本当は全く比べ物にならない実力だというのを思い知ったトリフォードは、その存在の大きさを思って嘆息する。
「あそこで一番強いのはもちろんダン・ベインズ騎士団長で、二番目がナタリア様の弟のルパート様。その次は…。まあ騎士団の連中も体格も経験もそこそこあるし長所はそれぞれなんで、一概には言えないのですが、とにかくナタリア様は別格です」
「そのせいで、嫁ぎ遅れちゃったのよね。彼女に勝てる男はなかなかいないし、なによりもルパート様とベインズ団長を倒せる人はいないから」
「・・・それはどういう・・・」
「俺、十五の時にナタリア様にひとめぼれして交際申し込んだのですが、返事が『・・・まずは、手合わせ、してみましょうか』で、一発で地面にたたき伏せられて。勝ったら告白できるのかもって頑張っているうちに、今度はいつの間にか『ダン・ベインズ団長に勝てたら』に変わったものだからもう…」
「ベインズ団長の実力派おそらく王都一ですからね。一生無理よ」
『交際を申し込んだ』ことをさらりと言うリロイにトリフォードは内心驚いたが、パール夫人も平然と話を続けたため、とりあえず相槌を打つ。
「なるほど」
ところが、そうして皆で守ってきたダドリーの宝が、思いもしない横やりでローレンス・ウェズリーのものになってしまった。
予想外どころの話ではない。
これもギルフォード一族のせいかと思うと、トリフォードは申し訳なさでいっぱいになる。
「そういやナタリア様の本領発揮は騎馬戦だから、あれも一度見せた方がよいのではないかしら」
思いに沈むトリフォードを横目に、パール夫人は勧誘の仕方についてさらなる提案をリロイに持ち掛ける。
「ああ、あれやられると、たいていの騎士はイチコロですよね」
頷くリロイにトリフォードは首をかしげる。
「確かに馬の扱いに長けておられますが…。騎馬戦ですか」
王都で年に何度か行われる騎士団の演習試合でも騎馬戦は別格だ。
馬上で剣をふるい続けるのはなかなか難しい。
しかもぶつかることも厭わない覚悟も必要だ。
貴族出身者の多い王都の騎士たちは、落馬すると重傷を負うかもしれない騎乗訓練を避ける傾向がある。
そもそもウェズリーの騎士団で上官たちはあらゆる訓練の指導を下官に任せ、ほとんど立ち会わない。名ばかりの騎士だ。
王都にいるあらゆる騎士たちも同じ傾向とみてよいだろう。
しかし、地方の騎士たちは違う。
治安次第では日々経験を積んでいる。
「槍や剣で戦うのはもちろんですが、早駆けしながら弓矢で的を射るのもナタリア様は得意ですね。どんな体勢でもほとんど外さない」
馬上で弾む細身でしなやかなナタリアの身体をトリフォードは思い浮かべた。
鞍なしでも乗れると、彼女から聞いた。
「ナタリア様が強すぎる理由の一つは、自分を囮にして戦うことに慣れている点ね。あれは男にはできないから」
一度、それを見たことがあるらしいパール夫人が話を続ける。
「囮?」
聞き捨てならない。
トリフォードは顔色を変えた。
「傭兵崩れの襲撃があったら、わざと女らしい髪形とか服装で参戦するの。もちろん、独りじゃないわよ。弟のルパート様と馬を相乗りして彼に操縦を任せてクロスボウをガンガン打ちまくるんだけど・・・曲芸乗りって表現したほうが分かりやすいわね」
賊の前を走る場合、弟の前に向かい合うようにナタリアは乗り、彼の身体越しにクロスボウを打つ。
確実に仕留めるナタリアの腕もさることながら、片手で姉を支え、視界が幾分遮られた状態で馬を操り、時にはもう一方の手で敵を切り伏せるルパートも尋常ではない。
「これが、先ほど説明した旅芸人たちに仕込まれて、さらに発展させた技術の一つなのだけど、こんなの、教えたところで誰も習得できないわ。十二年前からのコンビだから為せることでしょう」
大柄で雄々しいルパートと同乗すると、ナタリアの女らしさが際立つ。
しかも二人がつがいのようにぴったりくっついているさまは、戦いのさなか、男たちの欲をかき立てる。
アレからあの女を奪うのはどんなに楽しかろうと。
そこが、二人の狙いだ。
命をかけた戦いの中、少しでも雑念が混じれば…しめたもの。
ましてや、女をどう犯そうかと考え始めた時点で、戦闘能力は格段に落ちる。
それを片っ端から倒すのが姉弟の騎乗戦のやり方だ。
どんな汚い手を使っても、勝つことが一番。
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それが、幼い二人が旅芸人たちに習ったことの一つだった。
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