黒色の石

冬城さな

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重い・・・なんて重い一撃なんだ、と思った

よくゲームとかでは、素早いキャラは力が弱くて
hit数を稼がないと相手を倒せない設定になっている
実際色んな相手と戦ってみて、それはある程度正しいとは思っていた、が、

目の前にいる赤髪の少年は、素早さも力も兼ねていた

こちらの攻撃は一切当たらないのに、
相手からの攻撃は一撃一撃が重く、且つ素早いのだから
もう勝敗は明らかで

俺は剣を大きく振り回し、
相手の少年が距離を取ったところで、降参を宣言した


表彰式が始まり、
優勝者である赤髪の少年剣士・カリュウ=フェリアと握手をした

「完敗だったよ」
「そりゃ、どーも」

彼の手を握った一瞬、妙な感じがした
彼の手は、少年にしては普通だが、剣士としては細すぎる
剣士たる者、剣を握っていれば自ずと手は硬くなる

その上、先ほどの戦闘ではそこまでよく見ていなかったから
分からなかったが、彼の腕や足は両方の太さが同じくらいだ

まるで、、、

「もしや、カリュウ君、戦種は剣士じゃないのか・・・?」
「折角黙っておこうと思ったのに、それ聞く?」

戦種・・・それは、自分が何を使って戦うのかを自称するもの
剣士の他に、格闘家、魔術師、超能力者、槍使いetc...

あくまで自称の為、分類できないほどの戦種が存在するが、
大体の人は、余程の事情がない限り、自分を偽らない
自分の戦い方に誇りを持っている為だ

カリュウは握手していた手をほどくと、ボソッと言った
「俺、術師なんだよね」

握手の為に伸ばした手をまだ引けないでいる俺に対して、
彼は擦れ違いざまに続ける
「あんたのプライドを傷つけたくなかったし、
 聞かれなかったから言わなかったけど、
 俺が剣士じゃないって気付いたのは見事な洞察力だぜ」

そこは誇っていいぞ、と言い残し彼は去っていった
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