黒色の石

冬城さな

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「まぁ、細かい所は追々説明するとして、、、
 とりあえず、宮殿図を渡しておこう」
「はい」
「王宮は広いからなー
 折角来た優秀な人材が迷子になってしまっては可哀相だ」

ロウランから手渡されたのは本当に王宮の地図
軽く広げてみると、立ち入り禁止箇所も書かれていた

「今は此処だね
 王宮の中には入るとヤバい所もあるから、そこは絶対に立ち入らないように」
リアルに首が飛ぶよ?とロウランは自分の首に手を添える

「あと、一応セレニン様の護衛という立場だけど、
 そこまで権力ないから、最初の頃は謙虚な方が良い
 誰がどこまで偉い人かなんてわからないだろう?」

確かに、アカラミアの王族なら一応顔は知っているので無礼はしないだろうが
内部は初めて知る人ばかり

「確実に覚えてほしいのはセレニン様の自室の場所だ
 此処だけは、宮殿図無しでも行けるようにして置く事」
「はい」

ケイルは方向音痴ではないが、王宮が広すぎる
宮殿図にペンでマークされた場所を確認すると、
王宮の様々な入り口からの行き方を記憶した


「じゃあ、入るよ?心の準備は良い?」
「は、はい」
今、2人は、セレニン王子の自室の前にいる
ケイルにとってセレニン王子は顔は知っているが、直接会うのは初めてだ

ケイルの知る限り、セレニン王子は綺麗な黒髪をした、まだ10代の少年
しかし、ライミン族への差別法を撤廃するなど、既に功績を残しており、
また、人柄も良く男女問わず人気の高い王子様だ

ロウランがドアをノックする
「ロウランです 新しい護衛を連れてきました」

「どうぞ」
中から声がする
ケイルは自分の心臓がバクバク鳴っている事にやっと気付いた

扉が開かれ、その中は高級そうなテーブルにソファ、本棚など
王族とは言え本当に生活しているのだな、と思わせる部屋だった

そして、その中心にいるのが、、、

「初めまして アカラミア王国第二王子・セレニン=リヴェンナです」

一瞬、王女かとも思ったくらい綺麗だった
噂で聞いていた黒髪だけでなく、容姿全てが綺麗だ
容姿端麗とはこの方の為にある言葉なんじゃないかと思ったくらいだ

黒いショートカットの髪に、まだ幼さが残る様な顔
白いタキシードの様な服は綺麗な黒髪をより綺麗に引き立てていた

すっと手を伸ばされ、ロウランに背中を軽く押されると、
握手を求めてられている事に気付く

恐る恐る手を伸ばすと、その細い手で、俺の手を掴んでくれた

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ
 僕はただの子供ですから」

その優しい口調は、王族人気No.1の噂は本当だったと
ケイルに思わせるには十分だった
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