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ヒロインから溺愛されてます
第4話 私はただのモブ
しおりを挟むなんっで、後ろの席が攻略対象者?
こういうのって普通ヒロインの隣の席になるものだよね?
そう考える私はおかしくないよね?
じゃあさ、何で後ろの席に攻略対象者がいるのかな?
え?出席番号順だから仕方ない?出席番号も五十音順ただから?
そうか、そうか。なら仕方ないね……。
ってなるわけないでしょーっ!!
そこまで考えておいてよっ!運営っ!
たしかに私の存在はイレギュラーかもしれないけどさ、そこは、ヒロインと隣の席にするべきでしょ。
でもさ、私にとってはそんな君がイレギュラーな存在だよ、私の後ろの席に座っている攻略対象者の六車太陽くん。
内心、心が荒ぶりながらも、安定の無表情のはな。
トントンっと、肩を叩かれ振り返ってみると、そこには攻略対象者の六車太陽くん。
六車くんは、光の加減によっては金にも見える薄い茶色の髪にオレンジ色の瞳のイケメンで、太陽という名前の通り、明るく元気なムードメーカー的な存在だ。プレイヤーたちの間ではわんこと呼ばれていた。
「なあなあ、お前なんて名前?」
いきなり声をかけられ、ビクってしながらも小さな声で、「三咲……はな…」と答えられた。
「三咲はな、か。わかったっ!おれ、六車太陽っ!よろしくなー!」
ニコニコと笑いながら、手を差し出してくる六車太陽。おそらく握手しようってことだろう。
(元気だなー。プレイヤーたちにワンコって呼ばれる理由わかる。なぜか、見えるはずのない耳としっぽが見えてきたし)
おずおずと右手を差し出すと、六車太陽はにぱっと笑いながら私の右手を握ってブンブンと振る。
「おれのことは太陽でいいからなっ!おれもはなって呼ぶしっ」
戸惑いながらもコクリと頷くと、嬉しそうにニコニコとしている六車太陽、いや、太陽って呼ぶべき?うん、もう面倒だから、太陽でいいや。六車太陽って長いし。
(うわー。さすがのコミュ力。太陽は『花君』の公式設定でも、コミュ力高いってなってるし、納得だよね。さすがムードメーカーなワンコだ)
お気づきの方はいるかもしれないが、攻略対象者は全員苗字に数字関連が入っている。あっ、私は『三咲』って、3がついているけど、攻略対象者とは関係ないよ。無関係だよ。兄がいるけど、兄は攻略対象者ではないよ。私はただのモブだしね。ヒロインだったり、攻略対象者だったり、ゲーム関係者と関わりすぎてる気はするけどねっ!
「はなは部活って、いつから見学できるか知ってるか?」
「……明日から、だったはず…」
「マジか、今日はできないのか…。あっ、はなは部活何に入るか決めてる?もし決めてなかったら、おれ、弓道部入ろうと思ってるんだけど…、同じ部活入らないかっ?」
明日からときいて、シュンとした子犬のような顔をしたが、すぐに、とてもキラキラとした笑顔で、私にそう聞いてくる太陽。
「まだ、決めてない、よ…。…考えとく、ね…」
「おうっ。おれ、はななら大歓迎だからっ」
「…ん」
そう言う太陽は相変わらずのキラキラ笑顔である。
たしか、『花君』の公式設定で、太陽はスポーツ万能で勉強は出来ないバカ(やればできる)っていう典型的な元気少年だった。そして、弓道部の時の弓を引いてる時の真剣な顔とのギャップ萌え!!ていうのが、太陽の売りだった。
そして、頷いたところで、ガラガラと扉を開けて、私たち1-Aの担任が入ってきた。太陽も大人しく前を見たので、私も担当の先生を見る。
(やっぱり、攻略対象者なんだ…。先生が入ってきた途端ざわめく女子。さすが攻略対象者、顔、整ってるしね。そして、教壇に立つと、静まる。すごいな…。さて、千夏の反応は…)
あー、やっぱり…。
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