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3 保護石のお守り
しおりを挟む「なんで、僕にお弁当持ってきたんですか?」
僕はゴロゴロと店から出たゴミたちを捨てながらマルクさんに問う。
「家庭的な男はモテるらしいから、料理をしてみたらどうかとメンバーから言われたんだ。慣れてはいなかったがそれなりには出来たつもりだったんだがな。味はどうだった?」
「ああ、そうだったんですね。美味しかったですよ。ありがとうございました。次、会う時に弁当箱を持っできますね。すみません」
彼の不安げな様子からして、僕の職場に対しての色々は何もなかったらしい。ただのアピールのようだ。だが、この前のものはなんとも言えない見た目と違い、美味しく、食べやすく、とてもいいものであったのでアピールなどなしに度々作ってきて欲しい。
あぁ、彼の健気な仕草が効いてきている自覚がある。そもそも僕は大家族の家から出て、ずっと傷心気味だったのだ。そんなところに、ここまで好きを表現されると揺らぐ気持ちがある。こんなにすぐ駄目だと思うのにふわふわと浮き上がる気持ちが止まらない。
「ああ。それなら良かったが最近、物取りだの盗難だのが多くなってきているらしい。貰うついでに帰りだけでも送っていこうか?」
「え、そうなんですか?僕、ここに住み込んでるので大丈夫ですよ」
だんと床に箱を置いて息をつく。重く、汚いこの作業は心身ともに疲れる。仕事を手伝うのはどうなのか分からないからと言っていたマルクさんは隣で僕をずっと見つめていた。
「へー、そうなのか。じゃあ、送り迎えは必要ないな。でも、いくら頼ってくれても構わないからな。俺は君を守りたいんだ」
「ありがとうございます……でも、大丈夫ですよ?」
手を叩いてもう一度箱を持ち上げようとした僕の首になにかがかけられる。
「いや、それでも俺が不安なんだ。出来れば、君はこれを持っていて欲しい。保護石だ。これが君を守ってくれるはずだ」
保護石という言葉に、びっくりして数歩下がり転びかけた所を彼の腕に抱き止められる。
「え、な、こ、これ!高いやつでは!?」
「ああ。大丈夫。俺が取ったものを仲間に加工してもらった俺のものだからな。元値も何も無いよ。気にしなくていい」
前に貰った魔石も綺麗で高価そうであったが保護石など。あの石の10倍はするだろうに軽々とくれると言うのか。
頭を抑えられているあいだマルクさんはニコニコと目線を合わせてくる。
「すみません。ありがとうございます」
「ううん。俺ができることしたいだけだからな」
……僕はそろそろマルクさんに落ちてしまうかもしれない。
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