魔王討伐パーティのご飯係は幼馴染の勇者に流される転生者

月下 雪華

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エピローグsideE

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 慣れないコルセットで巻かれた腰に広く細かなレース。頭に手、指には繊細な宝石飾りが飾られ、ヒールの高すぎない可愛らしい靴を履く。

 私が式に向け飾り立てられるのを後ろから2人が眺めている。
「エリナ様、やはりとても綺麗ですわ。とてもお似合いになるようで良かったです。デザインの都合上、首元に少々レースが詰まっておりますが苦しさなどありませんか?」
「はい。計測通りピッタリです。とても可愛い。この服って魔法で編み上げられているのですよね。とても素晴らしい技術で、びっくりします」
「あら、夫を褒めてくれるの?ありがとう。貴方は聞いていた通り小柄だから細やかなデザインでも作りやすくて助かったと言っていたわ。噂に聞いていた通り、ペトラさんのデザインセンスもなかなかのものですものね。私の時の結婚式を思い出しちゃう」
「褒めていただけるのですか?嬉しいです!ありがとうございます」
 1人は公爵令嬢でこの国の王子の婚約者のペトラ・ハーゲン。もう1人は勇者パーティとして魔王討伐を行った1人であり、ドゥラン・マードックが妻ヴィニーア・マードックであった。

 私たちが流れるようにあの宿で寝てから色々なことが起こった。
 ラズは少し王都に残っている間、国の中央でしかできない後処理をしていたらしい。その時の彼は誰も彼もに今後に続く勇者としての地位を求められているようだった。だが、ラズはそれを受け入れなかった。今の辺境の騎士の身分を残したいと固辞し、それを通し領地の受け取りも断った。名前は婚約する私のファミリーネームを取りラズ・フランシュへ変えたいとも決めてもいたので、苗字を与えることも出来ない。この国の王にそれほどまでの何もかもを断るのならお前は何が欲しいのかと言われたラズは盛大にする結婚式の協力と自分の所属する騎士団のために大金が欲しいと告げる。
 そして貰うことが出来たお金の中から私たちは国1番の魔法使いのドゥランさんの魔法を使ったドレスとスーツ、私たちが美味しい料理を作るための質のいい食材、式を美しくする飾り付けと設置式の音楽の魔法具を用意した。手早く、凝りに凝った結婚式だ。なんだが真実を伝えられた時と同様に嘘のようだった。嬉しいけれどびっくりし続けている。

 彼は急いで討伐の処理を終わらすと直ぐに結婚式をあげようと領地に飛んで帰った。数日後に結婚式を挙げると彼の仲間へ手紙を出して。


 そして、その結婚式をするのは今日。多くの人が集まる中の式だ。


「エリナ」
「わっ、ラズ!みんなに控え室へは行っちゃダメって言われてたでしょ?」
「別にいいだろ。規則って言ったって誰も怒らねぇよ……今日は特別、綺麗だな」
「ふふっ。ありがとう」

 私たちは大きなことを経て、日常へ戻る。ちょっと地位があがった騎士と騎士団のキッチンで料理を作り続ける私。そこで関係性が変わっても、新しいことを知っても変わらない。

「……ラズ、愛してるわ」
 私達の生活はこれからも続く。


 
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