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第二十四話
胃中遭遇
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『生き地獄の門』の前に着いた白虎とタマモはとても大きなその門を見上げた。
「ひぇ~!頑丈そうな門だな!」
「安心しろ、あり1匹逃げられん。」
「あぁ、そりゃ安心だこと。」
すると生き地獄の門は、ゴゴゴゴというものものしい音を立てながらゆっくりと開きはじめた。
「さぁ、門は全開にはならない。入れる程の開き具合になれば入って良い。」
「はいはいはい、分かりましたよ。」
「『はい』は一度で良い。」
「は~い!」
門はタマモが入れる程の開き具合になった。
「そろそろ入れるだろう。さぁ行ってこい。」
「それじゃぁ行ってきます。短い間でしたがお世話になりました。」
「あぁ、しっかり改心しろよ。まぁ門の中からは紅虎がお前の胃の中でしっかり監視してるからな。」
「そりゃまた安心なことで。それじゃ行ってきます。」
タマモは白虎に背を向けて生き地獄の門の中へとゆっくりと入って行った・・・。
・・・その頃、タマモの胃の中へと入って行った紅虎は・・・。
「ここがタマモの第2の胃の中ね。胃の中に入るなんて初めての体験だわ。しかし胃が2つあるなんて、悪狐って変わった身体の構造してるわねぇ。なんで2つもあるのかしら。」
紅虎は無事にタマモの第2の胃の中へと潜入し、トンネルの様に暗く長いその胃の中を目を光らせて、辺りを注意しながら歩いていた。
「まずは、クウコウの奥さんのコーコさんを探さなくちゃね。この胃の中は一本道みたいだから隠れられる場所も無いしすぐに見つかりそうなんだけどなぁ。」
すると、ゆっくり歩く紅虎の足にドンッと何か障害物に当たった。
紅虎が足元を見るとなんと人が横たわっていた。
よく見ると長い黒髪で小柄なため、明らかに女性だという事が分かった。
紅虎はその人の服の襟元を軽く咥えるとそのまま少し浮かして仰向けにした。
仰向けになったその女性の顔を目の光で照らすと、やはりコーコだった。
「間違いないわ!コーコさんだ!早く見つかって良かった!」
しかし、コーコは目を閉じたまま起きる気配はなく顔は青白く見える。
「まさか死んでしまっているの?」と言って、心配になった紅虎は、みるみるサイズが小さくなって人型に変化した。
人型になった紅虎はコーコの右腕を手に取り脈拍を診た。そして体温が低い事を確認した。
「大丈夫、生きてる。でも、体温が著しく低いわ。とにかく体温を上げないと!来るのがもう少し遅かったら低体温による免疫力の低下で遅かれ早かれここで死んでしまうところだったわ。コーコさん、あなた相当強運の持ち主ね。私が来たからにはもう安心よ。」
紅虎はコーコの身体を両腕で包み込むように抱きしめた。
「温虎地神‼︎包土温‼︎」
するとコーコの身体の体温はゆっくりと上昇し始め、青白かった顔色は赤らみ血色が良くなった。心拍数も通常に戻った。
しばらくするとコーコは無事に意識が回復して目覚めた。
コーコは目を開けると目の前に知らない女性がいたため大変驚いたが、紅虎が事情を説明し、今の状況が飲み込めた。
「なんとお礼を申し上げれば良いのか、本当にありがとうございました!改めまして私の名前は。」
「コーコさんでしょ?知ってるわ。」
「あ、どこかでお会いしましたか?」
「だってあたしと同じ読み方だから嫌でも覚えちゃうでしょう?あたしもコウコっていうの。紅に虎でコウコね。」
「私と同じなんですね。なんか親近感が湧きますね。」
「まぁ、そうね。」
「私の名前は光に子供の子でコーコです。」
「光の子かぁ。素敵な名前ね。」
「ありがとうございます。紅虎さんも、紅の虎って素敵ですね。カッコいいです。」
「本当に?あたしカッコいいなんて言われちゃったら照れちゃうなぁ!」
紅虎は頭を掻きながら嬉しそうに照れている。
「でもさお互い同じ読みだとややこしいから、呼び方変えない?」
「良いですねそれ!何が良いかなぁ?」
「あたしはなんでも良いよ。」
「分かった。ベニちゃんとかどうですか?」
「良いそれ!なんかカッコいい!気に入った!それじゃあたしはミッちゃんて呼ぶわ。」
「良いですね!私も気に入りました!」
「ベニちゃん!」
「ミッちゃん!」
「「あははははは!」」
2人は楽しそうに笑い合った。
初めて会ったとは思えないほどの2人の相性の良さはまさに出会うべくして出会う運命だったのかもしれない。
「そうだ!ベニちゃんに会わせたい子がいるの。会ってくれる?」
「えっ?他に誰かいるの?」
「そうなの。私がここに来る前からずっといるんだって。」
「もちろん会わせて!」
コーコはその会わせたいという者の元へ紅虎を案内した。
「ひぇ~!頑丈そうな門だな!」
「安心しろ、あり1匹逃げられん。」
「あぁ、そりゃ安心だこと。」
すると生き地獄の門は、ゴゴゴゴというものものしい音を立てながらゆっくりと開きはじめた。
「さぁ、門は全開にはならない。入れる程の開き具合になれば入って良い。」
「はいはいはい、分かりましたよ。」
「『はい』は一度で良い。」
「は~い!」
門はタマモが入れる程の開き具合になった。
「そろそろ入れるだろう。さぁ行ってこい。」
「それじゃぁ行ってきます。短い間でしたがお世話になりました。」
「あぁ、しっかり改心しろよ。まぁ門の中からは紅虎がお前の胃の中でしっかり監視してるからな。」
「そりゃまた安心なことで。それじゃ行ってきます。」
タマモは白虎に背を向けて生き地獄の門の中へとゆっくりと入って行った・・・。
・・・その頃、タマモの胃の中へと入って行った紅虎は・・・。
「ここがタマモの第2の胃の中ね。胃の中に入るなんて初めての体験だわ。しかし胃が2つあるなんて、悪狐って変わった身体の構造してるわねぇ。なんで2つもあるのかしら。」
紅虎は無事にタマモの第2の胃の中へと潜入し、トンネルの様に暗く長いその胃の中を目を光らせて、辺りを注意しながら歩いていた。
「まずは、クウコウの奥さんのコーコさんを探さなくちゃね。この胃の中は一本道みたいだから隠れられる場所も無いしすぐに見つかりそうなんだけどなぁ。」
すると、ゆっくり歩く紅虎の足にドンッと何か障害物に当たった。
紅虎が足元を見るとなんと人が横たわっていた。
よく見ると長い黒髪で小柄なため、明らかに女性だという事が分かった。
紅虎はその人の服の襟元を軽く咥えるとそのまま少し浮かして仰向けにした。
仰向けになったその女性の顔を目の光で照らすと、やはりコーコだった。
「間違いないわ!コーコさんだ!早く見つかって良かった!」
しかし、コーコは目を閉じたまま起きる気配はなく顔は青白く見える。
「まさか死んでしまっているの?」と言って、心配になった紅虎は、みるみるサイズが小さくなって人型に変化した。
人型になった紅虎はコーコの右腕を手に取り脈拍を診た。そして体温が低い事を確認した。
「大丈夫、生きてる。でも、体温が著しく低いわ。とにかく体温を上げないと!来るのがもう少し遅かったら低体温による免疫力の低下で遅かれ早かれここで死んでしまうところだったわ。コーコさん、あなた相当強運の持ち主ね。私が来たからにはもう安心よ。」
紅虎はコーコの身体を両腕で包み込むように抱きしめた。
「温虎地神‼︎包土温‼︎」
するとコーコの身体の体温はゆっくりと上昇し始め、青白かった顔色は赤らみ血色が良くなった。心拍数も通常に戻った。
しばらくするとコーコは無事に意識が回復して目覚めた。
コーコは目を開けると目の前に知らない女性がいたため大変驚いたが、紅虎が事情を説明し、今の状況が飲み込めた。
「なんとお礼を申し上げれば良いのか、本当にありがとうございました!改めまして私の名前は。」
「コーコさんでしょ?知ってるわ。」
「あ、どこかでお会いしましたか?」
「だってあたしと同じ読み方だから嫌でも覚えちゃうでしょう?あたしもコウコっていうの。紅に虎でコウコね。」
「私と同じなんですね。なんか親近感が湧きますね。」
「まぁ、そうね。」
「私の名前は光に子供の子でコーコです。」
「光の子かぁ。素敵な名前ね。」
「ありがとうございます。紅虎さんも、紅の虎って素敵ですね。カッコいいです。」
「本当に?あたしカッコいいなんて言われちゃったら照れちゃうなぁ!」
紅虎は頭を掻きながら嬉しそうに照れている。
「でもさお互い同じ読みだとややこしいから、呼び方変えない?」
「良いですねそれ!何が良いかなぁ?」
「あたしはなんでも良いよ。」
「分かった。ベニちゃんとかどうですか?」
「良いそれ!なんかカッコいい!気に入った!それじゃあたしはミッちゃんて呼ぶわ。」
「良いですね!私も気に入りました!」
「ベニちゃん!」
「ミッちゃん!」
「「あははははは!」」
2人は楽しそうに笑い合った。
初めて会ったとは思えないほどの2人の相性の良さはまさに出会うべくして出会う運命だったのかもしれない。
「そうだ!ベニちゃんに会わせたい子がいるの。会ってくれる?」
「えっ?他に誰かいるの?」
「そうなの。私がここに来る前からずっといるんだって。」
「もちろん会わせて!」
コーコはその会わせたいという者の元へ紅虎を案内した。
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