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第十二話
道後乃湯
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~回想~
温泉の町【にきたつノ里】
温泉が大好きだったマツヤマドウゴは
陰陽導師の傍ら銭湯を営んでいる。
その銭湯の名は【道後乃湯】
日頃の疲れを癒すために里中の老若男女に愛されている銭湯である。
勿論ドウゴ達も家族でこの道後乃湯を利用しており。日々の狐狩りや悪狐との戦闘の後はこの銭湯で疲れと汚れを落とし癒されている。
ドウゴの息子クウコウとソウコウも幼少の頃からこの銭湯を利用していた。
【道後乃湯 男湯】
浴室内ではガタイの良い若い客や、腹の出た中年客、派手な鳳凰の刺青の入った強面の客などが身体を洗ったり、湯船に浸かっている。
そんな中、湯船の一部からぶくぶくと泡が出ている。
「兄ちゃん!兄ちゃん!」
そこへひとりの少年が何やら慌てた様子で、その泡の出ている所に向かって叫んでいる。
その少年はザブーンと湯船に入ると誰かを抱えて出てきた。
その2人の少年は体格はほぼ変わらない。
「あーりゃまー。ソウコウくん!クウコウくんはまた溺れたんかね。ちゃんと水吐かせてやりぃ。」
小太りで中年のおじさんが少年に言った。
「兄ちゃん!クウコウ兄ちゃん!大丈夫!?」
なぜか湯船の中で溺れていた兄クウコウを弟ソウコウが慣れた手付きで胸を何度も押しながら水を吐かせている。
「げふっ!げほっ!」
クウコウはなんとか息を吹き返して意識を取り戻しゆっくり目を開けた。
「クウコウ兄ちゃん!大丈夫?気が付いた?」
「あ、ああ。ソウコウか。俺はいったい。」
「またお風呂の中で溺れてたんだよ!これで3回目だよ?今度は何があったんだよ!」
「いや、ちょっとな。心配かけてしまったな。ごめん。」
「何があったのか言いたくなかったら良いけど、死んじゃったらどうすんだよ。兄ちゃんが死んだら僕嫌だよ!」
「ああ、すまない。今度からは気をつけるよ。」
「約束だよ!」
「ああ、約束だ。」
実はその日クウコウは近所にあるじゃこカツ屋の娘に恋をしていた。
そう、クウコウは何故か恋をするとそれにのぼせて風呂の中に潜ってさらにのぼせてそのまま寝てしまうクセがあるのだった。
この日もソウコウが助けるのが少し遅ければ危うく死んでいたところだった。
~回想終わり~
「ぷはぁーー!!!」
クウコウは勢いよく湯船から飛び出した。
「びっくりしたーー!!!なんすか急に!!」飛び出した勢いが良すぎたのかキスケの顔面に飛沫が飛び散った。
「キスケさんそろそろ出ましょうか。」
クウコウは笑顔でキスケを見て言った。
「ええ、そうしましょうか。
あっしも丁度のぼせてきたところですんで。」
クウコウとキスケはカシマが用意してくれていた浴衣に着替えて浴室から出て行った。
温泉の町【にきたつノ里】
温泉が大好きだったマツヤマドウゴは
陰陽導師の傍ら銭湯を営んでいる。
その銭湯の名は【道後乃湯】
日頃の疲れを癒すために里中の老若男女に愛されている銭湯である。
勿論ドウゴ達も家族でこの道後乃湯を利用しており。日々の狐狩りや悪狐との戦闘の後はこの銭湯で疲れと汚れを落とし癒されている。
ドウゴの息子クウコウとソウコウも幼少の頃からこの銭湯を利用していた。
【道後乃湯 男湯】
浴室内ではガタイの良い若い客や、腹の出た中年客、派手な鳳凰の刺青の入った強面の客などが身体を洗ったり、湯船に浸かっている。
そんな中、湯船の一部からぶくぶくと泡が出ている。
「兄ちゃん!兄ちゃん!」
そこへひとりの少年が何やら慌てた様子で、その泡の出ている所に向かって叫んでいる。
その少年はザブーンと湯船に入ると誰かを抱えて出てきた。
その2人の少年は体格はほぼ変わらない。
「あーりゃまー。ソウコウくん!クウコウくんはまた溺れたんかね。ちゃんと水吐かせてやりぃ。」
小太りで中年のおじさんが少年に言った。
「兄ちゃん!クウコウ兄ちゃん!大丈夫!?」
なぜか湯船の中で溺れていた兄クウコウを弟ソウコウが慣れた手付きで胸を何度も押しながら水を吐かせている。
「げふっ!げほっ!」
クウコウはなんとか息を吹き返して意識を取り戻しゆっくり目を開けた。
「クウコウ兄ちゃん!大丈夫?気が付いた?」
「あ、ああ。ソウコウか。俺はいったい。」
「またお風呂の中で溺れてたんだよ!これで3回目だよ?今度は何があったんだよ!」
「いや、ちょっとな。心配かけてしまったな。ごめん。」
「何があったのか言いたくなかったら良いけど、死んじゃったらどうすんだよ。兄ちゃんが死んだら僕嫌だよ!」
「ああ、すまない。今度からは気をつけるよ。」
「約束だよ!」
「ああ、約束だ。」
実はその日クウコウは近所にあるじゃこカツ屋の娘に恋をしていた。
そう、クウコウは何故か恋をするとそれにのぼせて風呂の中に潜ってさらにのぼせてそのまま寝てしまうクセがあるのだった。
この日もソウコウが助けるのが少し遅ければ危うく死んでいたところだった。
~回想終わり~
「ぷはぁーー!!!」
クウコウは勢いよく湯船から飛び出した。
「びっくりしたーー!!!なんすか急に!!」飛び出した勢いが良すぎたのかキスケの顔面に飛沫が飛び散った。
「キスケさんそろそろ出ましょうか。」
クウコウは笑顔でキスケを見て言った。
「ええ、そうしましょうか。
あっしも丁度のぼせてきたところですんで。」
クウコウとキスケはカシマが用意してくれていた浴衣に着替えて浴室から出て行った。
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