社畜から転生したらゆるゆるの婚活アドバイザーとして就職決まりましたが

はなまる

文字の大きさ
20 / 54

19出掛けます

しおりを挟む

 
 プリムローズたちはパン屋に寄って昼食のサンドイッチを買い相談所に戻って食事をする。

 「今、お茶煎れますね」

 「ああ、俺は奥の部屋で食べるからプリムローズは好きに食べたらいい」

 「はい…」

 アルナンドは淹れたお茶を持つとさっさと奥の部屋に引っ込んだ。

 (わたしって嫌われてるのかな?そんなに一緒が嫌ならもういいや)

 まだ、誰も帰っておらずアルナンドは別室と言ってもこの空間に二人きりという事がたまらなくなった。

 プリムローズは食事を済ませるとせっかくだからローリーに会いに行って来ようと思った。

 (ほんとは最初にローリーの所に行きたかったんだけど仕事だから遠慮したんだよね。ローリーに会うのはすごく久しぶりだから緊張するけどきっと心配してるだろうし会いに行ってきてもいいよね?)

 プリムローズはアルナンドに声をかけてから出掛けようと奥の部屋の扉をノックする。

 扉越しに声をかける。

 「アルナンドさん、私少し出かけてきますので」

 慌ててアルナンドが出て来る。

 「どこに行く?また変な男にでも絡まれたらどうする?俺も付いていく」

 「でも…大丈夫です。今度は機織り工房で働いている女友達の所に行くだけですから」

 「だが、道中は危険だ!俺は後ろからついて行くだけだ。お前の邪魔をするようなことはしない。だから…」

 アルナンドはぼそぼそ何か言うが聞こえない。それに髪をガシガシ掻きむしってその美しい白金の髪はぐちゃぐちゃになっている。

 「あっ、もう。髪ぐしゃぐしゃになってますよ。頭下げて下さいよ」

 プリムローズはアルナンドの頭の髪を何度も撫ぜつけてきれいにする。

 アルナンドは借りて来た猫みたいに固まってそれでいてうっとりしたような顔でされるままになっている。

 そんな顔に気づいてプリムローズは自分が何をしているか気づいてパッと手を離した。

 (もう、なんだか頼りないなぁ。アルナンドさんにはもっとしっかりしてほしいのに…)

 前世の会社で上司は圧倒的に恐い存在だった吉田あかねとしては、やる気のない少し抜けたようなアルナンドは何だか物足りないのだ。

 「これくらいでいいですかね。…あの、余計なことかもしれませんけど、アルナンドさんはこの結婚相談所の一応所長何ですからもっとこう…威厳のある態度と言うか…」

 「威厳?そんなもの必要か?」

 せっかく整えた髪をまた掻きむしられプリムローズは唖然とした。

 「いえ、何でもありません。でも、どうしてもついて来るなら黙ってついてきてくださいね」

 「ああ…」

 ぼそりとつぶやくアルナンドに更に腹立たしさが増した。


 ***


 機織り工房はセトリアの北側に集中している。カイトに聞いた話ではマルベリー通りからは馬車に乗ったほうがいいらしい。

 プリムローズは恥ずかしい話お金を持っていなかった。

 今日は会社から渡された交通費を預かっていたのでそれを使うことにして乗合馬車に乗る。もちろんアルナンドも一緒に。

 「ふたり分だ」

 先にお金を払ったのはアルナンドだった。

 「アルナンドさん私が払いますから」

 「どうして?これも仕事だろう?経費だ。遠慮することはない」

 (そう言えば昼食のパン代もアルナンドが払ってくれた。もう、私ったら何だかみっともないな。でも今は何もないからこれからしっかり働いてお返しするしかないか…あっ、しかもアルナンドさんって一応上司だし言葉遣い気をつけなきゃ)

 乗合馬車は混んでいて私とアルナンドはぴったりくっつくように座る。

 プリムローズは改めて挨拶をするべきだと…

 「あの、何もかもお世話になりっぱなしですみません。私頑張って仕事しますからよろしくお願いします所長」ぺこりと頭を下げる。

 「はっ?俺にそんなことする必要ないから、所長なんてやめてくれ。アルナンドでいいし…それから少し離れてくれ」

 アルナンドは何だか辛そうな顔をしている。

 「ごめんなさい」

 プリムローズは飛びのくように彼から離れると顔を真っ赤にして俯いた。

 「ありがとう」



 アルナンドはプリムローズとくっついたせいでずっとビリビリと激しい痛みに襲われていた。

 それも嫌だったが彼女に触れていると思うと何だかいけないような気もして来て…

 まさかそんな事を話すわけにもいかず彼女を傷つけたと思うとますます戸惑って何も言えなくなった。

 「はぁぁぁぁぁ…」アルナンドは聞こえないよう小さなため息をつくだけだった。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...