社畜から転生したらゆるゆるの婚活アドバイザーとして就職決まりましたが

はなまる

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37アルナンドの決意一瞬で崩れる

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 そこにばたばたと人が入って来た。

 「殿下お怪我はありませんか?」

 きっと彼の護衛の者だろう。騎士の姿はしていないが身のこなしは近衛兵のものだと思われた。 

 彼はセザリオの前に跪き彼の様子を伺っている。


 そこにもうひとり男が。

 「プリムローズ大丈夫か。おい、お前何をしている。嫌がっている女を無理やりどうにかしようなどと。クッソ!いいから表に出ろ!俺が片を付けてやる」


 こちらはアルナンドだった。

 彼はプリムローズを諦めて別の女性と付き合おうと決めてやっと縁結び処にやって来たところだった。

 中から声が聞こえたと思ったら悲鳴が聞こえて急いで飛び込んだのだ。

 見れば男がプリムローズに無理やり抱きつこうとしていて彼女はそれを拒んでいた。


 かぁっと頭に血が上った。

 男と引きずり表に連れ出す。その後をその男の護衛がやめろとばかりに絡んで来る。

 3人三つ巴になりながら表に出た。

 「あなた。この方がどなたかご存じなのですか?この方はメルクーリ国第2王太子のセザリオ殿下なんですよ。すぐに手を離しなさい。そうでなければ…」

 「そうでなければどうする?言っとくが俺はゼフェリス国竜帝。アルナンド・エステファニアだ。身分で言えば俺の方が上だと思うが?」


 驚いたのはセザリオの方だった。

 「あなたがゼフェリス国の竜帝。アルナンド・エステファニア様?あの生贄の儀式を取りやめると宣言された?」

 「ああ、そうだ」

 「これは失礼したしました。知らなかったとはいえ申し訳ありません。ですがあなたがどうしてこんな所に?」

 「どうしてって。ったく。ここは俺の仕事場だ。プリムローズはここで働いている従業員だが。何か問題か?」

 「いえ、確か…これからはメルクーリ国とゼフェリス国都は友好関係を築いて行こうと言われたと聞いています。なので何に問題もありません。ああ…申し訳ありません。これから急ぎの用があったのを忘れておりました。では、私はこれで失礼します」

 セザリオは恐ろしく慌ててその場から立ち去った。



 アルナンドはセザリオが立ち去るとすぐに中に入って来た。

 「プリムローズ大丈夫か?」

 アルナンドはプリムローズの顔を用心深く見つめた。

 「ええ、すみません。少し驚いただけですから」

 プリムローズは何でもないとついてもいない服のほこりを払う。

 アルナンドは顎に手を当ててその様子を伺っている。

 「それであいつは何だって?」

 「それが…私と婚約したいと…」プリムローズは困った顔でそう言うと首をかしげて「まったく殿下の考えが分かりません」と首を振った。

 「こんやく?まさかあいつが結婚したいと言ったのか?」

 「はい、そうです」

 アルナンドは顎に乗せた手が滑ってがくんと身体を前のめりにずっこけた。


 アルナンドの数時間に及ぶ思慮は一瞬で崩壊する。脳内で激しい嫉妬が吹き荒れ怒りとイライラがむらむらと湧き上がる。

 (プリムローズを嫁に欲しいだと?何をふざけたことを…だ、誰があんな奴に。それくらいなら俺が嫁にするに決まってるだろうが!)

 アルナンドの怒りは頂点に達し魔力がふつふつと湧き起こり紫の瞳に一筋のダイアモンドのような光が宿る。

 「ひぇ~…アルナンド恐いです」

 「あっ!」

 気づけばアルナンドはフロアの半分を氷の海にしていた。

 「もう、どうするんです?私、知りませんからね」

 「いや、こ、これは。そうだ。レイモンドに片付けさせる。何せ俺は竜帝だ。あいつらは俺の言うことは何でも聞くから」

 「どうだか?」


 「こんにちは~」

 そこにやって来たのはカイトだった。

 「あっ、カイトどうしたの?」

 「どうしたって、そっちこそどうしたんだ?これ…」

 「あっ、いいのいいの。これは所長責任で片付けるって言ってるから。それより何?」

 「いきなりで悪いけどちょっと話があるんだ。プリムローズ少し出れないか?」

 「ええ、いいけど。ここじゃ出来ない話?とは言ってもねぇ…」

 プリムローズはそうはいったが周りを見てため息をつく。

 カイトは髪をがしがしかき回した。

 「いや、その…ふたりきりで話が…」

 プリムローズ(あっ、言いにくい事なんだと気づく。きっとだれか気に入った子がいたとか…男ってどうしてこうわかりやすいかな…)とも思うがそこは気づかぬふりで。

 「いいわよカイト。ちょうどひと息つきたっかの。でもそこのカフェは…アルナンド後はよろしくお願いしますね。じゃあ、ちょっと出てきます」

 プリムローズはアルナンドに向かって指先で床を指し示す。

 (帰ってくるまでにここを片付けて下さいよ)と合図を送った。

 「ああ、わかってる。気をつけろよ。まだあいつがその辺りにいるかもしれんからな」

 「ええ、ありがとう。意外と優しいんですね。行ってきます」

 アルナンドはしょんぼり手を振るしかなかったがふと気づく。

 これでも竜人。アルナンドの耳はすごくいい。

 (カイトとか言ったよな。あいつさっきふたりきりで話をしたいって言わなかったか?おい、結婚前の男女がふたりきりでなど…あってはならん事だろう?こうしてはいられない)

 アルナンドはすぐにプリムローズたちの後を追った。




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