52 / 54
51プリムローズ。今助けるからな
しおりを挟むカイトはライゼウスの屋敷に入り込んだがすぐに見張りに見つかった。
当然だろう。
ライゼウスの所に連れて行かれる。掴まれていた腕を見張りの男にやっと解放されると開口一番にライゼウスに噛みついた。
「ライゼウス。約束が違うじゃないか。宝珠を渡せばプリムローズに手は出さないって言ったじゃないですか!」
「気が変わった。と言うかセザリオ殿下がうるさくてなぁ。どうしてもプリムローズが欲しいと言って聞かないから仕方がないだろう?相手は王太子なんだ。逆らうとどんな目にあわされるか…相手はあのルジェス商会だ。機嫌を損ねたらこっちの商売にも影響が出る。まあお前はプリムローズを連れて来たから許してやろう。もう、帰っていいぞ」
「そんな事出来るはずがないでしょう。プリムローズはどこなんです?彼女、様子がおかしかったじゃないですか。とにかく彼女に合わせて下さい」
「ハハハ。プリムローズは俺の言うことを聞くよう束縛の術を宝珠にかけてもらった。今、殿下とお楽しみの最中だ。会わせることは無理だな。さあ、わかったら帰れ。おい、こいつを摘まみだせ!」
「クッソ!おい、兄は解放してくれるんだろうな?約束は守った。違えたのはそっちだ」
「そんな約束した覚えはない。嫌ならお前も鉱山で働いてもらうが?」
「どこまでも汚い奴らめ…」
「うるさい奴め!いいから摘まみだせ!」
ライゼウスは機嫌の悪い声でそう言った。
いきなりリビングルームの前に広がる庭に激しい風が吹き荒れる。まるで嵐のように激しい雨が降り始め雷が大きな音を立てて轟き稲光が光って庭の一番大きな木に雷が落ちた。
「なんだ?うそだろう?いきなり雷が落ちるなんて…」
ライゼウスが驚いて窓際のそばでつぶやいている。
『カイト、プリムローズはどこだ?』
カイトの脳内にアルナンドの声がした。カイトはその声にこたえるように叫んだ。
「プリムローズを助けてくれ。王太子に襲われてるらしい」
『なんだと!クッソ。屋敷ごと潰す』
『アルナンド早まるな。プリムローズも死ぬだろ』ブレディがすかさず止める。
「ああ、それはやめた方が…」カイトも小さな声でつぶやいた。
地響きがしたと思ったらすさまじい爆発音と砂煙が巻き上がった。
やっと砂煙が落ち着くと大きな竜が2匹表の庭にいた。
「「「おい、竜だ!竜がいるぞ!」」」
何人もの男たちは表で竜を遠巻きに囲んで騒いでいる。
もちろん竜はアルナンドとブレディだ。
アルナンドはあれから身体に異変が起きてここに来るのが少し遅れた。
異変と言うのは、アルナンドの誕生日が今日だった事と番と交わりを交わしたことでアルナンドの身体が覚醒を起こしたのだった。
彼の鱗はダイアモンドのような色から七色に変わりそれはもう美しい虹色の鱗になっていた。
光の加減で色が変わり見るたびに違う色合いに見える。
そして身体も一回り大きくなり力も倍増したらしい。
そのせいでアルナンドは力が漲って仕方がないらしく。鼻息も荒くこんな華々しいデビューとなったのだった。
「うるさい!プリムローズはどこだ?早く教えないとお前らみんな…」
アルナンドがそこまで言うとブレディが口から勢いよく水を吐き出した。
その水の勢いと言ったら…周りの木をなぎ倒しまるで斧か大きな剣を思わせた。
「あんなものでやられたらひとたまりもないぞ…言います。言いますからやめて下さい」
「早く言え!」
アルナンドは紫色の瞳ぎろりと睨みつける。瞳の中にはギラギラ血走った光が今にも氷の一撃を浴びせそうな勢いで…
「か、彼女は2階の寝室です。ほら、カーテンが閉まっているでしょう。あの部屋です」
「カーテン?」
アルナンドがそう呟くのと飛び上がるのはほとんど同時だった。
すぐに翼で一陣の風をおこしその部屋の窓をたたき割るとアルナンドは一瞬で人型になってその部屋に飛び込んだ。
「プリムローズ無事か?」
アルナンドは寝室に飛び込み中を見た。
「あ、あるなんど?」
「ぷりむろーず…それは一体?」
「ええ、私このままじゃやられると思って、そうしたら母の記憶がね、ばぁぁぁぁと蘇って来て、そしたらいきなり力が漲って。何か、殻を破るって言うの?きっとそれで束縛の術が…何て言ったらいいか…こう…パキッて宝珠の周りを取り囲んでいた鎖がちぎれたみたいになって」
プリムローズは下着姿のまま、身振り手振りで説明する。
「ああ、だがその前にこの状況は?」
「これ?こんなひ弱な男。一発で仕留めてやったわ」
ベッドの上。プリムローズの下で男が伸びている。
セザリオは下着姿で上半身は裸だが意識はない。
「ああ、いいからこっちへ、さあ服を着て」
「ええ、そうね。すぐに」
プリムローズは言われるまま脱いだ服を着始めた。
「プリムローズさっきの話だが…力が漲って来たって言うのはいつ頃だ?」
「そうね…30分も経ってないんじゃないかな」
アルナンドは驚く。ちょうどその頃だった。覚醒が始まったのは…
(もしかして俺とプリムローズは同時に?まさか…いや、でも。そうか。俺の鱗を持っているプリムローズは俺と同体と言うことかもしれん。番でしかも俺とは一度繋がってお腹には子供までいるんだ。きっと俺達はもう離れられない関係になっているって事なのか?そうなら、もう一緒になるしかないんじゃ?あいつらには悪いがもう遠慮なんかしてられない。こんな奴もいる事だし、今すぐにプリムローズを俺の者にしないと…)
11
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる