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24ぎゃあぎゃあうるさいから
しおりを挟む私は神殿を後にするとコリー家の屋敷に帰って来た。
かなり疲れた。シュナウトの執務の手伝いをして結界の練習もだがドーナン殿下の事までも…
スーザンが着替えを手伝ってくれて「お嬢様ちょうど良かったです。今から夕食ですよ。朝仰っていた鴨のステーキです。料理長が腕によりをかけたらしいですから」楽しそうに教えてくれる。
「ああ、そう言えばそんな事を言ったわね。はぁ、なんだか疲れて食欲ないのよ。でも、今朝あんなに言ったんだから行かなきゃ申し訳ないわね…」
「そうですよ。おいしいものを食べればきっと元気が出ます。さあ、お嬢様」
スーザンはにこやかに送り出してくれた。
私はダイニングルームに入った。
今までは私の席には貧相な食事が置かれていたが、今日は驚くほど豪華な夕食が並んでいる。
「まあ、おいしそう。みんなありがとう。早速いただくわ」
私は料理を作ってくれた使用人に感謝を言うと早速席に着いた。
すでに父と義理母ミシェルと異母妹アシュリーは席についていた。
「まあ、リンローズ。あなたそんなカロリーのあるお食事を取るなんて…ちょっと、ホリー(メイド)これはどういう事?私、鴨のステーキはあまり好きではないって知ってるでしょ!どうしてこんなものが出るのよ」
「申し訳ありません。ですがお嬢様が今夜は鴨のステーキがいいとおっしゃったので料理長もそう伺っていると言われて…」
「料理長が?まったく、何年この家の料理を作ってるのよ。ちょっと!」
ミシェルはしつこく料理長を呼ぶ。
私は次第に我慢の限界に達する。
「ったく、さっきから、ぎゃあぎゃあうるさいわね。‥一体誰のおかげでこんな料理が食べれると思ってるのよ。あなたはこのコリー侯爵と結婚していなかったらただの平民でしょ。いい気にならないで。鴨のステーキがいやだ?じゃ、何も食べなければいいでしょ。いやならさっさと部屋に下がれば?ったく。これだから身分の低い女は…」
「まあ、リンローズ。あなたいつからそんな偉そうなことが言える立場にんったのよ。あなたこそお父様から見放された娘のくせに偉そうな事を言うんじゃないわよ!」
ミシェルは顔を真っ赤にして怒鳴りちらす。
「そうよ。シュナウト殿下の婚約者でなくなったら義理姉様なんかほとんど価値なんかないじゃない!ふん、いい気味。私がシュナウト殿下の婚約者になったらすぐそんな事言えなくしてあげるんだから!」
アシュリーも見下すような視線を向ける。
「そうよ。お前なんかこの家から追い出してやる。殿下やアシュリーを眇めた罪で平民に落としてやるわ。ねえ、あなた」
ミシェルは父にすがるように甘い声音を出す。
「ばかな事を言うんじゃない。リンローズは国王の血を引きさらにロンドスキー公爵の孫だぞ。どんな状況になっても平民になんかなるはずがないだろう。いい加減にしないか。それにアシュリーをシュナウト殿下の婚約者にするために大人しくリンローズは引き下がると言ってるんだぞ。それなのに何なんだ?その態度は。リンローズに感謝こそするべきだろう?まったくお前という女は…もういいから黙れ!」
「……」
「鴨のステーキは私も大好物なんだ。こんなうまいものを食べないなんてミシェルお前食べないならもう部屋に下がったらどうだ?」
「ひどいわあなた。私とリンローズ。どっちの味方なのよ!」
「もちろんお前だ。でも、今のは言い過ぎだ。いいか。アシュリーをシュナウト殿下の婚約者にするつもりならもう少しその品のない態度を改めろ。アシュリーが恥をかくことになると分からないのか?いいから、もう部屋に戻れ!」
「ひどいわ」ミシェルは泣いているのかわからないがそんな態度で立ちあがるとダイニングから走り去った。
「そうよ。お母様の言う通り。ひどいわお父様。あんな言い方しなくても」
「アシュリーお前もそんな態度を改めろ。そんなんじゃ次期王妃など務まらんぞ。シュナウト殿下と本気で婚約したいならもっとしっかりしろ!」
「ひどい!お父様今までそんな事一言だって言わなかったじゃない!私だってそれくらいちゃんと考えてるわ!」
アシュリーもその後を追って出て行った。
私は3人の修羅場の中黙々と食事をしてアシュリーが出て行ったあと立ちあがった。
「すごく美味しかったわ。今日はとっても疲れてたけどおいしい料理で元気が出たわ。みんなありがとう。明日も朝早いの。朝食、無理を言うけどお願いね」
「はい、お嬢様。承知しました。おやすみなさい」
「ええ、おやすみ」
「リンローズ。話がある。後で書斎に来なさい」
「申し訳ありませんが私の事はコリー侯爵令嬢とお呼びください。私、もうあなた方を家族とは思っておりませんので。それで?お話は婚約解消が無理だったことですか?」
父はぐっと眉間に皺を寄せて怒りをあらわにする。まあ無理もないか。
一度大きく息をして怒りを収めようとしているのが分かる。
「そんな事を言うもんじゃない。それで婚約解消はお前から国王代理に申し出てくれないか。本人経っての希望ならうまく行くかもしれんだろう。それにしてもさっきの態度はさすがに…あれが義理母にする態度か?少しは…」
「お説教ですか?言う相手が違いますよ。まあ、今までがおかしかったんですから。もう私、遠慮はしないと決めたんです。私が貴方がたに指図される筋合いもありません。気に入らなければ3人で出て行ったらどうです?そう言えばコリー侯爵とお呼びしていましたがあなたは侯爵でもありませんね。コリー侯爵代理ですね」…なっ、何を…だが、婚約解消の件はどうする気だ?」
「あれ、しばらく保留にします。私とシュナウト殿下はしばらく忙しいので。それに無理なら自分で処理しますからご心配なくコリー侯爵代理の手を煩わせるまでもありませんので」
「だが…」
「話は以上です。では」
私はそう言うとそのまま部屋を出た。
この人達と二度とまともにかかわることはしたくない。
私は態度を改めるつもりもない。
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